著者
太田 英明 與座 宏一 中谷 明雄 椎名 武夫 井尻 勉 石谷 孝佑
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.106-111, 1991-10-15 (Released:2011-05-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

低密度ポリエチレン (LDPE) の30μmおよび50μm厚を対照にして, 市販の「機能性フィルム」6種類のエチレン透過性を簡易なパウチ法とLyssy法で, また窒素・酸素・二酸素, 二酸化炭素透過性もLyssy法で測定し, 併せて20℃の貯蔵条件下で個別包装したプロッコリーの品質安定性を検討した。1) エチレン, 酸素, 二酸化炭素ともガス透過性の高いフィルムは, EVAフィルム, 無機多孔質混入フィルム1種類および対照のLDPE (30μm) であった。代表的な無機多孔質混入フィルムのエチレン透過性は, LDPE (50μm) とほぼ同じ値であった。2) 簡易法とLyssy法で得られたエチレン透過性の値はほぼ同程度であり, 本簡易法が有用であることを示した。3) エチレン, 酸素等の透過性の高いフィルムが, 貯蔵中におけるブロッコリーの異臭の発生が少なく, 総合的な官能評点も他のフィルムより高かった。以上の結果から, 市販「機能性フィルム」のエチレン透過性とブロッコリーの品質安定性をガス透過性との関連で考察した。
著者
平田 孝 渡辺 直哉 石谷 孝佑
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.685-689, 1986
被引用文献数
1

二重包装した焼きのりと味付けのりの水分変化を予測する手法について検討した.まず,焼きのり,味付けのりの水分収着等温線を作成し,経験式に当てはめた.各種の包装形態に適用できるように一般化した数学モデルと水分収着等温線の経験式を用いて,二重包装した焼きのり,味付けのりの水分変化をシミュレートした.開発した数学モデルによって計算された予測値は実測値と良く一致した.コンピューターシミュレーションは乾燥食品の防湿包装設計に有益であると考えられた.
著者
石谷 孝佑 梅田 圭司 木村 進
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.480-485, 1976-10-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

リコピンとβ-カロチンを用い,光分解に関与する光の波長について検討した。(1) n-ヘキサン溶液では, 225~350nmの紫外線で著しく色素の分解が促進され, 500nm以上の可視光線ではほとんど分解が見られなかった。リコピンは, β-カロチンに比べ数倍不安定であった。(2) リコピンの微結晶は,紫外線で著しく退色したのと同時に, 500nmまでの可視光線でも比較的分解が促進された。濾紙に吸着した状態のリコピンは,水に懸濁した状態と比較し,非常に不安定であった。
著者
深井 洋一 松澤 恒友 石谷 孝佑
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.367-375, 1997-05-15
被引用文献数
16 7

1. 無洗米は,普通精米と比較し水分含量および明度(L値)が高く,タンパク質含量,粗脂肪含量および総遊離脂肪酸含量が低かった.方法の異なる無洗米間では,総遊離脂肪酸含量で若干の差異が認められた.また無洗米の調製残渣は,タンパク質および粗脂肪の含量が高かった.これらの特徴は無洗米化処理により,糊粉層が普通精米と比べ十分に除去されていることが示唆された.<BR>2. 含気包装による貯蔵試験では,無洗米は初発の高い明度が保持され,糊化特性では,同じ玄米を用いている普通精米と比較して糊化開始温度が低く,最高粘度および最終粘度の経時的な上昇が小さかった.総遊離脂肪酸含量では,無洗米は普通精米と比較して貯蔵中の増加率が低かった.<BR>これらの傾向は,室温のポリエチレン包装貯蔵で顕著であり,Kナイロン包装は若干抑えられる傾向にあった.15℃の低温貯蔵では,貯蔵に伴う経時変化が小さく,無洗米と普通精米との差異も小さかった.<BR>脂肪酸度とADAMの遊離脂肪酸含量との間には,一次式y=2.4x-0.15が成立し,相関係数0.995,危険率1%で有意であった.<BR>貯蔵1年後の食味試験では,無洗米Aは普通精米と比較し,香りでは5%危険率,粘りでは1%危険率でそれぞれ有意差が認められた.この有意差は,低い遊離脂肪酸含量に由来していると推察された.