著者
深井 洋一 小泉 真治 宮沢 潤 押田 光義
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.138-147, 2008-04-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

長野県内において良食味米のコシヒカリを生産する飯山市には,タニシが群生する水田地帯が存在していた。その当該水田の2水系6箇所を選定し調査した。環境調査では,土壌調査,水質調査および残留農薬調査により,タニシ生息に好適な水田環境であることが示された。米の品質調査では,玄米品質,精米品質,炊飯品質,糊化特性および官能評価により,良食味の特性がそれぞれ示された。環境調査(残留農薬を除く)と品質調査から主成分分析を行ったところ,試験区と対照区とはその特性が大きく異なり大別された。これらのことから,タニシが宿る試験区の米は環境性と食味に関る品質が優れることが分かった。
著者
深井 洋一 坂槇 秀夫 塚田 清秀
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.347-351, 2007-10-20
被引用文献数
1

天日干しと熱風乾燥の乾燥手法の差異が品質に及ぼす影響を検討した。官能検査では,総合,味および硬さの3項目において,天日干しは熱風乾燥と比べ,有意に優れることが評価された。炊飯品質では,天日干しは熱風乾燥より,食味スコア等の5項目において品質指標が向上する傾向を示した。糊化特性は,天日干しは熱風乾燥と比べて,糊化開始温度が低く,最高粘度は高かった。電子顕微鏡では明確な差の断定には至らなかったが,天日干しと熱風乾燥の澱粉粒の形状の違いが膨潤性に影響している可能性が考えられた。これらのことから,本条件下では,天日干しは熱風乾燥を上回る米の品質を具備している可能性が示唆され,米本来のおいしさを損なわない乾燥処理に起因すると推察した。
著者
深井 洋一 坂槇 秀夫 塚田 清秀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.347-351, 2007-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
15
被引用文献数
1

天日干しと熱風乾燥の乾燥手法の差異が品質に及ぼす影響を検討した。官能検査では,総合味および硬さの3項目において,天日干しは熱風乾燥と比べ,有意に優れることが評価された。炊飯品質では,天日干しは熱風乾燥より,食味スコァ等の5項目において品質指標が向上する傾向を示した。糊化特性は,天日干しは熱風乾燥と比べて,糊化開始温度が低く,最高粘度は高かった。電子顕微鏡では明確な差の断定には至らなかったが,天日干しと熱風乾燥の澱粉粒の形状の違いが膨潤性に影響している可能性が考えられた。これらのことから,本条件下では,天日干しは熱風乾燥を上回る米の品質を具備している可能性が示唆され,米本来のおいしさを損なわない乾燥処理に起因すると推察した。
著者
深井 洋一 松沢 恒友
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.839-841, 1999-12-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

スイカの肉質悪変化である,うるみ果(コンニャク果)について食品化学的な測定を行った.その結果,うるみ果は,健全果と比べて,水分およびpHが有意に高いのに対して,明度,硬度,遊離糖組成含量,可溶性固形分およびアミノ酸組成含量が有意に低くなることが認められた.
著者
深井 洋一 塚田 清秀
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.587-591, 2006-11-15 (Released:2007-09-29)
参考文献数
17
被引用文献数
4 4

米の収穫された年産および品種を異にした3試料を供試し,洗米時の研ぎ回数1回および3回で炊飯後,ジャー炊飯器内保温を24時間まで行い,保温時間の経過に伴う,品質・食味差を検証した.炊飯食味計測定値,色調およびにおい識別値の測定結果から,保温時間の経過に伴う,研ぎ回数別の傾向は,研ぎ回数1回よりも3回の方が,品質劣化の度合が小さかった.主成分分析により,研ぎ回数別で散布傾向が異なるグループ形成をすることを明らかにした.研ぎ回数を増やすことにより,炊飯米の保温中の品質保持に一定の効果があることが示唆された.
著者
深井 洋一 酒井 長雄 齊藤 康一
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.341-350, 2010 (Released:2014-08-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1

平成20年に長野県農事試験場で栽培したコシヒカリを用いて,稲の収穫時期別に成熟期前から成熟期後までの6段階について,食味,外観および炊飯品質,官能評価を行った。帯緑5%は,帯緑色籾0%と比して,粒厚分布において2.0mm以上の割合が高い。外観品質は,整粒が有意に高く,胴割粒割合が有意に低い。糊化特性値はブレークダウンが有意に高く,最終粘度およびセットバックが有意に低いことがそれぞれ示された。官能評価は,帯緑5%および帯緑0%の双方ともに他の収穫時期と比して食味が有意に優れた。得られた結果について,主成分分析を行ったところ6試料は3つに大別され,帯緑5%と帯緑0%は第一および第二主成分の正に布置された。因子分析では,官能評価の「硬さ」に関連する負の因子構成,官能評価の「総合」および「味」に関連する正の因子構成がそれぞれ推定された。これらの結果から,帯緑5%の状態で稲を収穫することで,帯緑0%と比して,粒厚分布,外観品質および糊化特性が良質であることが示された。
著者
深井 洋一 塚田 清秀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.22-26, 2007-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

一夜漬タイプの糠床を調製して,野菜類を原料に糠漬け試験を行なった。その結果,糠漬けは甘味系遊離アミノ酸組成含量やGABA等の増加で総遊離アミノ酸含量が約3倍に増加することが分かった。におい識別値ではにおいの質において,新米糠床と古米糠床で差異を認め,糠床および糠漬けのフレーバーへの影響が示唆された。遊離アミノ酸組成含量とにおい識別値の関係を,相関行列と主成分分析により明らかにした。官能検査では,新米糠漬けは,味および香気で有意に優れることが示された。特に遊離アミノ酸は増加が顕著であることから,その効能が期待される。
著者
深井 洋一 小泉 真治 宮沢 潤 押田 光義
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.138-147, 2008-04-20

長野県内において良食味米のコシヒカリを生産する飯山市には,タニシが群生する水田地帯が存在していた。その当該水田の2水系6箇所を選定し調査した。環境調査では,土壌調査,水質調査および残留農薬調査により,タニシ生息に好適な水田環境であることが示された。米の品質調査では,玄米品質,精米品質,炊飯品質,糊化特性および官能評価により,良食味の特性がそれぞれ示された。環境調査(残留農薬を除く)と品質調査から主成分分析を行ったところ,試験区と対照区とはその特性が大きく異なり大別された。これらのことから,タニシが宿る試験区の米は環境性と食味に関る品質が優れることが分かった。
著者
深井 洋一 田中 廣彦 内藤 成弘
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.597-603, 2011-12-15
参考文献数
25
被引用文献数
1

市田柿の水分分布が関係するカビ発生について新たな知見を得る目的で,予め試験品として選別した健全品とカビ発生品の水分分布を磁気共鳴画像(MRI)法を用いて検討した.1個のカビ発生品を1個または3個の健全品と一緒にスピンエコー法を用いて,0.2テスラの永久磁石と1辺12 cmの開口部をもつソレノイド型検出器を備えた小型MRIで測定した.水分および水分活性に有意差が認められない(<I>p</I> > 0.05)健全品とカビ発生品のMR画像では,NMR信号の強さをMR画像の明るさで表現した場合,両者の明るさに明瞭な違いが認められた.カビ発生品は健全品よりも中果皮,内果皮ともに明るくなるが,内果皮が特に明るくなった.T<SUB>1</SUB>およびT<SUB>2</SUB>緩和時間測定の結果,MR画像の明るい部分では運動性の高い水が増えていた.この明るさの違いは,市田柿のへた側から尻側までのどの横断面でも見られたので,2次元MRIで任意の一断面を測定すれば健全品とカビ発生品の水分分布の違いをとらえることができた.MRIは水分や水分活性ではとらえられなかった市田柿の健全品とカビ発生品の水分分布の違いを,水の運動性の違いからとらえることができたため,品質管理の手段として実用化の進展が期待される.
著者
深井 洋一 松澤 恒友 石谷 孝佑
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.367-375, 1997-05-15
被引用文献数
16 7

1. 無洗米は,普通精米と比較し水分含量および明度(L値)が高く,タンパク質含量,粗脂肪含量および総遊離脂肪酸含量が低かった.方法の異なる無洗米間では,総遊離脂肪酸含量で若干の差異が認められた.また無洗米の調製残渣は,タンパク質および粗脂肪の含量が高かった.これらの特徴は無洗米化処理により,糊粉層が普通精米と比べ十分に除去されていることが示唆された.<BR>2. 含気包装による貯蔵試験では,無洗米は初発の高い明度が保持され,糊化特性では,同じ玄米を用いている普通精米と比較して糊化開始温度が低く,最高粘度および最終粘度の経時的な上昇が小さかった.総遊離脂肪酸含量では,無洗米は普通精米と比較して貯蔵中の増加率が低かった.<BR>これらの傾向は,室温のポリエチレン包装貯蔵で顕著であり,Kナイロン包装は若干抑えられる傾向にあった.15℃の低温貯蔵では,貯蔵に伴う経時変化が小さく,無洗米と普通精米との差異も小さかった.<BR>脂肪酸度とADAMの遊離脂肪酸含量との間には,一次式y=2.4x-0.15が成立し,相関係数0.995,危険率1%で有意であった.<BR>貯蔵1年後の食味試験では,無洗米Aは普通精米と比較し,香りでは5%危険率,粘りでは1%危険率でそれぞれ有意差が認められた.この有意差は,低い遊離脂肪酸含量に由来していると推察された.
著者
深井 洋一 松澤 恒友
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.13-17, 2000-02-20
被引用文献数
6 1

長野県の糯米の主力品種である,もちひかりを対照に外国産もち米の加工特性値5項目,すなわち餅生地硬度,生地明度,タンパク質含量,糊化特性の糊化開始温度および最高粘度温度に餅生地硬度との間に相関関係を認めた総遊離アミノ酸含量を加えた7項目の測定値をZスコア化し,レーダーチャートにより視覚化して加工特性を評価した。その結果,米国産がもちひかりに近似し,次いで中国kさんが準じて,タイ酸は著しく異なる特性をそれぞれ示した。