著者
神林 ミユキ 大林 由美子 伊藤 正明
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.138, pp.151-165, 2018-03-31

多職種連携教育(IPE)と社会福祉士の連携教育が並行して実施する前に,次の2 点を明らかにする必要がある.1 点は社会福祉士の連携の特性が明確に把握されていることであり,もう1 点は医療系学部主導のIPE のカリキュラムにおける社会福祉士の連携力涵養の可能性である. 本研究では,この2 点の課題を検証するために,文献調査とIPE 実践調査をおこなった.結果は社会福祉士が学ぶ「連携」という用語は,IPE において活用される「連携」よりも広い意味をもつが,IPE において社会福祉士を目指す学生たちは,その概念を体現できておらず,ソーシャルワーク・アセスメントも行っていないことがわかった.調査の限界はあるが,連携の特性を明らかにするよりも共通点を活用することがIPE との並行に必要であること,社会福祉士養成に携わる教員がIPE カリキュラム作成に積極的に関わることが,間接的に社会福祉士の連携力の向上に有用であることを見出した.
著者
橋本 澄春 神林 ミユキ 原 靖子 小瀧 浩
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.230, 2009

〈緒言〉老人保健施設併設の在宅介護支援センター職員から急性期病院の医療ソーシャルワーカー(以下MSW)へ転職して約1年が経過し,入院期間という限られた時間内での業務遂行に大きな戸惑いを感じていた。そこで,この1年を振り返り,急性期病院の職員として組織の利益を守りながら,患者・家族ができる限り不安を感じることのない短期退院援助の方法を模索した。<br>〈方法〉1年間で介入したケース50件の平均在院日数は,当院の平均在院日数の約4倍であった。この結果から,現在のMSW としての退院援助に,まだ短縮できる部分があるのではないかと考えた。日報やケース記録から,ケースごとに依頼までの日数,依頼から初回面接までの日数など援助過程を細分化し,それぞれの期間におけるMSWの援助内容が妥当であったかを確認した。<br>〈結果〉専門職として学んだケースワーク過程を展開し,社会資源の利用準備を行う援助過程の中に省ける部分はないため,退院援助をおける時間短縮することは難しい。しかし,地域における急性期病院の役割を果たすためには,スピーディーな退院援助はMSW の絶対的な使命である。そこで援助過程の短縮ではなく,効果的に資源を利用し援助期間を短縮する方法として,短期完結を可能とする援助方法の獲得,社会資源を円滑に利用するための準備,院内スタッフとのコミュニケーションの促進が有効ではないかと考えた。入院期間という限られた時間内で,患者・家族が退院の準備をする時間を多く確保するため,MSW・地域・病院などの資源を最大限活用したい。<br>〈考察〉入職時に抱いていたMSW のイメージは,「退院」に対する病院と患者・家族とのギャップを患者側の立場で埋めていく専門職である。病院という組織が直面している課題を知ることで,そのイメージを現実にする方法が少しずつ具体的に見えてきた。専門職として,また病院の職員として,一つずつ課題を達成することが,患者の利益を守ることになると信じて,日々の業務に励んでいきたい。
著者
神林 ミユキ
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.71-85, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)
参考文献数
3
被引用文献数
1

スーパービジョンはソーシャルワーカーに身近になったが,スーパーバイザーからはスーパービジョンに対する不安の声が聞かれる.不安軽減のためには,具体的なスーパービジョンのイメージや,終了後の自己評価指標が有用だと考えた.そこで,1セッションごとの展開と,スーパービジョンで用いられるスキルを明確にすることを,研究目的とした.実務経験10年以上のスーパーバイザーによる,12のスーパービジョンセッションを調査したところ,634のスキルが抽出された.それらは,提出事例を対象としたスキルとスーパーバイジーを対象としたスキル,スーパーバイジーの語りや内省を促すスキルに分類された.1セッションの展開は,開始段階からスーパーバイジー自身の成長課題への気づきを促すことを志向した介入が行われ,特に展開段階では成長課題に気づかないスーパーバイジーに対し,段階的にスキルが活用され,根気強く気づきを促していた.