著者
神里 彩子
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.211-221, 2010 (Released:2011-09-14)
参考文献数
29
被引用文献数
1

科学研究,殊に生命科学研究は急速な進展を見せているが,それに対する必要な規制はどのような形で行うべきなのか.この問題を探るべく,本稿では憲法23条の「学問の自由」に立ち返って検討した.憲法23条自体「科学研究」を念頭において規定あるいは議論されてきたとはいえないことから,同条を現代に即した形で位置づけなおす作業が必要であることが明らかになった.また,それを踏まえて,「科学研究の自由」の憲法上の保障,科学研究規制のあり方,更には,「科学研究の発表の自由」をめぐる新しい課題について考察した.
著者
井上 悠輔 神里 彩子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.107-113, 2006-09-25 (Released:2017-04-27)
参考文献数
19

イギリスの受精・胚研究認可庁(HFEA)は過去15年間にわたって、生殖捕助医療や胚研究など国内での胚を用いる活動を監督してきた。イギリスの法体制は胚の保護すべき価値を成長過程に準じて連続的にとらえており、HFEAが公的な審査組織として個々の事例について判断してきた。しかし、このことはHFEAの裁量への依存をもたらし、最近では特に立法府との権限の調整が問題として指摘されるようになった。生物医学の倫理問題に関連して日本をはじめいくつかの国で公的審査が導入されている中、こうした組織の性質や裁量のあり方をめぐるイギリスの議論は示唆深い。
著者
大上 泰弘 神里 彩子 城山 英明
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.84-92, 2008-06-30 (Released:2021-08-01)

The U. K. has a centralized regulatory system for animal experiment. This system is well accepted because it is regarded as good to keep the consistency of practice. This regulation is supported by three basic values; science-centrism, utilitarianism and anthropo-centrism. Science-centrism can be seen in the realization process of animal welfare. Animal welfare is effectively and objectively realized through the incorporation of the concept of animal welfare into the methods of science. Utilitarianism is evident in the decision-making process. The decision whether to permit a particular experiment is based on an analysis of the costs (in terms of animal suffering) against the likely benefit to be derived from the data sought. Anthropo-centrism seems to be an antithesis for science-centrism and utilitarianism. The anti-animal experiment movement is mostly driven by the emotional factors. An important means of breaking the deadlock between the movement and science is by protest in the society. The protest is regarded as the balancer of the U. K. society, and has certainly aided the realization of humane regulation.
著者
大上 泰弘 神里 彩子 城山 英明
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.132-142, 2008
被引用文献数
1

イギリスにおける動物実験の規制では,包括的な法律に基づき国家が一元的に,動物実験を行う人,施設,実験内容を管理する.アメリカでは,分立的な法制度の下で,機関内動物実験委員会を中心とした各研究機関の自主規制を基盤としている.そして,この自主規制を監督する制度が法律とガイドラインで規定されている. これらの規制に関する比較分析を踏まえて,日本の動物実験規制のあり方に関する二つの提案を行った.一つは,日本において動物実験規制ガイドラインを作成する場合,その規制原理 (理念) を「愛護」ではなく「尊重」とすべきであるという点,もう一つは,一定の担保された実効的な自主的規制メカニズムを構築するとともに,信頼に足る研究者の資質を研究者サイド自らが養成・保証する仕組みを構築し,一般社会に示す必要があるという点である.
著者
大上 泰弘 神里 彩子 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.132-142, 2008 (Released:2009-07-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

イギリスにおける動物実験の規制では,包括的な法律に基づき国家が一元的に,動物実験を行う人,施設,実験内容を管理する.アメリカでは,分立的な法制度の下で,機関内動物実験委員会を中心とした各研究機関の自主規制を基盤としている.そして,この自主規制を監督する制度が法律とガイドラインで規定されている. これらの規制に関する比較分析を踏まえて,日本の動物実験規制のあり方に関する二つの提案を行った.一つは,日本において動物実験規制ガイドラインを作成する場合,その規制原理 (理念) を「愛護」ではなく「尊重」とすべきであるという点,もう一つは,一定の担保された実効的な自主的規制メカニズムを構築するとともに,信頼に足る研究者の資質を研究者サイド自らが養成・保証する仕組みを構築し,一般社会に示す必要があるという点である.