著者
茂木 千恵 福山 貴昭
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.37-42, 2021-07-12 (Released:2021-07-20)
参考文献数
36

カンナビジオール(CBD)は大麻植物に由来する植物性カンナビノイド化合物であるが,テトラヒドロカンナビノールが有する精神活性作用は有していない.近年,CBDは医療および獣医医療における緩和な抗不安薬,抗てんかん薬,および鎮痛薬として注目されている.一方,CBDの犬および猫における行動学的影響はほとんど調査されていない.本研究では診断症状ごとに8頭の犬と4頭の猫を対象に非盲検試験を実施し,CBD製品の忍容性,安全性,および有効性や有用性について検討した.試験では葛藤関連,恐怖関連,反復的または自傷行為などの問題行動を伴う犬および猫に8週間,CBD成分として1回当たり0.15-0.85 mg/kg を1日2回,空腹時に経口投与した.行動症状は,試験開始前(0日目)および2週後(14日目),4週後(28日目),または8週後(56日目)に評価した.有効性は,獣医師による観察結果および飼育者の満足度により検討した.CBD製品を8週間継続投与した12頭の動物のうち,4例の異常行動の発現量が75%以上減少し,6例が減少した(50%±25%)と評価された.
著者
茂木 千恵 福山 貴昭
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.37-42, 2021

カンナビジオール(CBD)は大麻植物に由来する植物性カンナビノイド化合物であるが,テトラヒドロカンナビノールが有する精神活性作用は有していない.近年,CBDは医療および獣医医療における緩和な抗不安薬,抗てんかん薬,および鎮痛薬として注目されている.一方,CBDの犬および猫における行動学的影響はほとんど調査されていない.本研究では診断症状ごとに8頭の犬と4頭の猫を対象に非盲検試験を実施し,CBD製品の忍容性,安全性,および有効性や有用性について検討した.試験では葛藤関連,恐怖関連,反復的または自傷行為などの問題行動を伴う犬および猫に8週間,CBD成分として1回当たり0.15-0.85 mg/kg を1日2回,空腹時に経口投与した.行動症状は,試験開始前(0日目)および2週後(14日目),4週後(28日目),または8週後(56日目)に評価した.有効性は,獣医師による観察結果および飼育者の満足度により検討した.CBD製品を8週間継続投与した12頭の動物のうち,4例の異常行動の発現量が75%以上減少し,6例が減少した(50%±25%)と評価された.
著者
川添 敏弘 宮田 淳嗣 尾松 美佐子 福山 貴昭 山川 伊津子 今村 伸一郎
出版者
日本動物看護学会
雑誌
Veterinary Nursing (ISSN:21888108)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.37-41, 2020 (Released:2021-08-04)
参考文献数
13

動物の体温測定は、健康状態を確認するうえで極めて重要なことであるが、直腸温計測は簡単な技術ではない。イヌでは腋下温が直腸温測定の代替法になることが報告されているが、ネコでの報告は認めない。そこで、直腸温と腋下温を同時に測定し、興奮の有無を確認して記録とした。その結果、回帰直線はy=0.909x+3.436(r2=0.829、p<0.01)で表され、ネコの直腸温の正常値(37.5~38.5°C)の範囲では、腋下温に-0.03~0.07°Cを加えると直腸温に相当した。これにより、イヌと同様にネコでも腋下温計測が、臨床上、直腸温測定の代替法になり得ることが示唆された。
著者
堀井 隆行 相澤 里菜 福山 貴昭 宮田 淳嗣 川添 敏弘 植竹 勝治 田中 智夫
出版者
Japanese Society for Animal Behaviour and Management
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-11, 2021-03-25 (Released:2021-06-09)
参考文献数
21

本研究では、愛着対象である飼い主の体臭が、飼い主との分離状態のイヌの行動に及ぼす影響を調べることを目的とした。健康で分離不安の既往歴のない一般家庭犬12頭を供試した。イヌに提示するニオイとして飼い主の靴下(愛着対象の体臭付着物)、牛干し肉(興味を示しやすいニオイ)、ラベンダー精油(リラクゼーション効果が報告されている芳香物質)、Control(コットンのみ)という4種類のニオイ刺激を選定した。各ニオイ刺激は、クッションカバーの裏側のポケットに入れて、サークル内でイヌに30分間提示した。このとき、実験室内にはイヌのみを残し、イヌの行動反応はビデオカメラで撮影した。ニオイ刺激の提示は、連続的に繰り返したが、4×4ラテン方格法を用いて提示順の影響を考慮した。飼い主の靴下に対する探査時間の長さは、ラベンダー精油よりも有意(P < 0.05)に長かった。Controlとの差は有意ではないものの、約半数のイヌがControlの倍以上の時間を飼い主の靴下の探査に費やしており、そのような個体は飼い主の靴下に付着した汗のニオイに対してより強い興味を示したと考えられる。また、飼い主の靴下を長く嗅ぐ個体は、ニオイ(クッション)周囲での伏臥・横臥位休息も長い(rs=0.661、P < 0.05)ことから、そのような個体は飼い主の体臭付着物に対して飼い主の代替として近接性を維持する愛着行動を示した可能性が考えられた。しかし、飼い主との分離に伴う発声の抑制作用については明確ではなかった。