著者
福田 怜生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.63-71, 2023-01-10 (Released:2023-01-10)
参考文献数
54
被引用文献数
1

消費者に新たな体験を提供する技術としてバーチャルリアリティ(VR)が着目されている。本研究では,消費者を対象としたVRに関する近年のマーケティング研究の動向を把握することを目的とした。2019年以降に出版された実証的論文49篇を抽出し,これらを「コミュニケーション」,「空間設定」,「体験」,「デバイス受容」のテーマに分類した。「コミュニケーション」,「空間設定」,「体験」をテーマにした研究については,VRやVRデバイスが及ぼす影響を明らかにした。また,「デバイス受容」については,VRデバイスが消費者に受容されるための要因を明らかにした。最後では,各テーマに共通した最も重要な課題点として,各研究が対象とするVRデバイスやコンテンツの特性が不明確である点が指摘された。具体的な解決策として,各研究がVRの構成要素を測定し,報告することが指摘された。またこの他の課題として,VRの効果を説明する理論の整理,サンプルサイズの事前設計も指摘された。
著者
野村 拓也 福田 怜生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.73-83, 2022-09-30 (Released:2022-09-30)
参考文献数
11

本稿では,シェアすること自体の価値を,同じ製品を他の消費者と共同で利用する行為そのものに対して消費者が評価する価値とする。モノのシェアリング・サービスを提供する企業がシェアすること自体を顧客価値として訴求することは,一見当たり前のことに思える。しかし,積極的に取り組んでいる企業は決して多くない。本稿ではまず,シェアすること自体の価値を定義したうえで,多くの企業が訴求に対して積極的でない理由を先行研究から検討する。次に,多くの企業とは対照的に,徹底してシェアすること自体を顧客価値として訴求している事例として,ブランドバッグのシェアリング・サービスを展開するラクサス・テクノロジーズ株式会社の取り組みを紹介する。その後,同社の取り組みの意義を示す。最後に,本稿の示唆をまとめる。
著者
福田 怜生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.91-106, 2018-09-30 (Released:2018-12-14)
参考文献数
37

これまでの研究では,製品やブランドの情報を論理的に提示する情報提供型広告や登場人物の問題解決過程を描く物語型広告について,消費者の広告情報処理や,その広告形式の表現特性,効果が議論されてきた。しかし,それらの研究では,情報提供型広告の表現特性である情報提供性と物語型広告の表現特性である物語性の関係が明らかにされていなかった。そこで,本研究では,物語性尺度の邦訳と情報提供性尺度の開発を行ったうえで,物語性と情報提供性とが異なる次元の表現特性であることを示した。さらに,物語性と情報提供性の両者が高い物語情報提供型広告が存在することや,物語性が高い広告では,情報提供性が広告態度に及ぼす影響が弱まることを明らかにした。これらの結果は,各広告形式の広告効果や消費者の広告情報処理に関する先行研究を整理したり,消費者の広告情報処理に影響する要因を検討する際の理論的基盤となると考えられる。
著者
福田 怜生
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.304-312, 2022-05-25 (Released:2022-05-25)
参考文献数
27

本研究では,ファッション製品の中でも,ウォーキングシューズを材料として,そのデザイン性が感情的製品態度に及ぼす影響について,物語広告がどのように調整するかを検討した. 物語広告と非物語広告とを比較した実験の結果,非物語広告では,デザイン性の程度は感情的製品態度に正の影響を及ぼすが,物語広告では,その影響がなくなることが示された. また,物語広告では,デザイン性が低い場合にも,非物語広告のデザイン性が高い場合と同等の感情的製品態度であることが示された. これらの結果から,物語広告は,デザイン性による差別化が困難である場合に,効果的なマーケティング・コミュニケーション施策である可能性が示唆された.
著者
福田 怜生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.173-184, 2015-03-31 (Released:2020-05-26)
参考文献数
50
被引用文献数
1

移入とは,消費者が広告や小説に没頭した状態を指す。本稿では,まず広告への移入が説得効果に及ぼす影響を検討するため,移入が生じる条件や,移入が影響を及ぼすメカニズムに着目した研究を考察した。その結果,移入が(1)物語形式の広告だけでなく,様々な形式の広告において生じること,(2)広告評価などの態度や,行動意図にポジティブな影響を及ぼし,説得効果を高めること,(3)広告の説得効果にポジティブな影響を及ぼすメカニズムとして,批判的思考の抑制とポジティブ感情の生起があることが示された。次に,移入した消費者の広告処理過程を明らかにするため,移入の構成要素としての注意,想像,共感を個別に検討した研究を考察した。その結果,(1)注意が批判的思考の抑制に関係すること,(2)想像が広告評価及び行動意図に関係すること,(3)共感がポジティブ感情の生起に関係することが示された。これら考察によって,注意,想像,共感に関する知見を,一連の移入研究に結びつけることが可能になると考えられる。
著者
福田 怜生
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.19-30, 2022 (Released:2022-09-03)
参考文献数
61

本研究では,ソーシャルネットワークサービスの普及により重要性が増しているバイラル・マーケティングを背景として,物語広告が推奨意図に及ぼす影響に対する感情的BCと計算的BCの調整効果を検討した。60秒の動画広告を材料とした実験の結果,感情的BCは物語広告が推奨意図に及ぼす影響を強化する一方で,計算的BCはその影響を弱化することが示された。またこのような調整効果が生じるメカニズムをより具体的に検討するため,物語に入り込んだ状態である「移入」を媒介変数とした調整媒介分析の結果,物語広告が移入に及ぼす影響,移入が推奨意図に及ぼす影響に対しても各BCは同様の調整効果を有する傾向があった。ただし,移入が推奨意図に及ぼす影響に対する感情的BCの調整効果のみ認められなかった。これらの結果から,オンライン上で物語広告を露出すべき初期ターゲットについて議論された。
著者
赤松 直樹 福田 怜生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.53-64, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
参考文献数
23

本研究では,ある選択がその後の選択に及ぼす影響の調整要因について議論した。逐次選択は,複数の選択間における選択行動であるが,既存研究では調整要因として消費者特性などが主に議論されており,各選択の関係については十分な議論がなされてこなかった。そのため,本研究は調整要因として各選択の関連性に着目し,消費者特性である健康意識との交互作用を考慮しながらその働きについて分析した。その結果,健康意識が高い消費者は,健康状態の維持に関する目標と美味しいものを食すことで快楽を得るといった目標の間でコンフリクト状態にあることが想定でき,事前選択でどちらか一方の目標を進展させると,その後の選択では進展がなされていないもう一方の目標に対応した選択を行う傾向が示された。そして,この傾向は各選択の関連性が高い場合に生じる点も確認された。これらは逐次選択の影響が生じる条件に関する新たな知見であると言える。