著者
秋吉 恵 重岡 恒彦 鳥居 慎一 牧 栄二 榎本 悟 高橋 宏正 平野 文也
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.175-184, 2002 (Released:2002-12-24)
参考文献数
31
被引用文献数
2 3 3

レボカバスチンは4-arylcyclohexylamine誘導体のひとつで,ベルギーのヤンセン社において合成された新規H1ブロッカーである.選択性が高く,特異的なヒスタミンH1受容体遮断作用のほかに,肥満細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制作用や好中球·好酸球の遊走抑制作用を持つ.ヒスタミン点眼および感作動物への抗原点眼により誘発した結膜炎モデルにおいて,レボカバスチンは結膜炎症状を改善した.レボカバスチンはモルモットにおける抗原誘発結膜炎モデルの涙液中ヒスタミン量増加の抑制や,ヒスタミン点眼並びに抗原点眼による結膜炎モデルでの血管透過性亢進をレボカバスチンが抑制することが示された.また,ヒスタミンおよびサブスタンスP誘発鼻炎モデル並びに感作動物における抗原誘発鼻炎モデルにおいて,レボカバスチンは血管透過性亢進を抑制した.さらに,レボカバスチンの抗ヒスタミン作用用量と非特異的作用用量との差(特異性指数)は他の抗アレルギー薬と比べ非常に大きく,その非特異的作用としては眼瞼下垂が認められたのみであった.このような選択的,特異的な抗アレルギー作用と,局所投与経路の優位性を有するレボカバスチンは,臨床においてアレルギー性結膜炎並びに鼻炎治療薬としての有用性が期待され,国内外の臨床試験においてアレルギー性結膜炎や春季カタル,アレルギー性鼻炎の治療に有効かつ安全な薬剤であることが示されている.
著者
野見山 順子 彦田 絵美 山崎 智司 小野寺 美琴 諸星 総一 小坂 好男 秋吉 恵蔵 小杉 依子 浅野 明日香 桂 秀樹
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.42-48, 2010-06-30 (Released:2016-09-01)
参考文献数
17
被引用文献数
3

近年,吸入指導の重要性が指摘されているが,院外処方せんを応需した薬局でどのように吸入指導が実施されているかはあきらかではない.地域の保険調剤薬局(以下,薬局)での吸入指導の実態を調査するため,八千代市内の薬局に勤務する保険薬剤師(以下,薬剤師)を対象にアンケート調査を行った.結果は,薬局内で指導方法の統一がなされていない,十分な時間がかけられていないなど必ずしも十分に指導が行われていない状況であった.今後,地域で吸入薬の指導方法を標準化し,適切な指導方法を普及し共有する必要性が示唆された.
著者
河井 亨 岩井 雪乃 兵藤 智佳 和栗 百恵 秋吉 恵 加藤 基樹 石野 由香里 島崎 裕子 KAWAI Toru IWAI Yukino HYODO Chika WAGURI Momoe AKIYOSHI Megumi KATO Motoki ISHINO Yukari SHIMAZAKI Yuko
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.245-265, 2017-03

本研究は、早稲田大学オープン科目「体験の言語化」という同一科目複数クラス開講型授業の授業開発を対象とし、共同の授業リフレクションの場で、どのように授業実践へのふりかえりが語られるかを明らかにすることを目的とし、同一科目複数クラス開講型の授業リフレクションのあり方を考察する。2015年7月と2016年2月の2回の共同の授業リフレクションの記録を分析した。共同での授業リフレクションの役割は、授業者間で共通理解を形成していくことにある。まず、学生のつまずきについての共通理解が形成された。具体的には、どのように自分の言葉にしていくか、社会課題を当事者意識を持って考えていくかといったつまずきが見られた。また、そうしたつまずきについてどのように教師が働きかけていくかについて共通理解が形成された。その際には、実際の授業で生じる具体的な状況とそこでの学生の学習に即すことによって授業リフレクションが深まることがわかった。共同での授業リフレクションの場は、暗黙知的に行っていることを共有していく場である。そのような共同での授業リフレクションを土台とすることで、授業改善が可能になると展望された。This study focuses on the class “Contextualizing Self in Society,” provided as six lectures at Waseda University. This paper aims toinvestigate how these lectures reflect collaboratively on theirteaching practices. We analyzed reflection sessions from July 2015and February 2016. The framework of teachers’ reflections consistedof students’ learning (contexts/contents) and results (success/failure).Our results showed that collaborative reflection fostered sharedunderstanding of practice and of students’ learning. The challenges tostudent performance that they shared concerned how students maketheir own narratives, how they thought about social problems withtheir own authorship, and what teachers could do when studentsencountered difficulties. Although we did not find a final solution, wecould agree on what the problems were and come up with trialsolutions. The most effective measure for practice improvement is toconvert tacit knowledge with common understandings. The resultsalso showed that relating concrete student performance to the classcontext enabled deep class reflection. We concluded that collaborativereflection can improve the classroom experience for lectures.