著者
秋吉 遼子
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.25-40, 2021-03-31 (Released:2022-04-20)
参考文献数
100

本稿では、スポーツ社会学においてどのような社会調査が行われているのか、トライアンギュレーションの視点から検証する。2000年以降に発行された「スポーツ社会学研究」の(原著)論文74本を対象にレビューを行い、生涯スポーツの視点から、運動・スポーツ実施関連調査を踏まえ、今後のスポーツ社会学領域研究の展望を考察する。 2000年以降の「スポーツ社会学研究」の(原著)論文は、現代思想、カルチュラルスタディーズ、歴史学的な分析視点が多く、研究手法は、文献研究が43.2%(32本)で最も多く、インタビュー調査(36.5%)、ドキュメント分析(20.3%)の順であった。文献研究、ドキュメント分析、インタビュー調査等の質的調査は、2000年以降継続して用いられている。特にここ5年間は、フィールドワーク・参与観察とインタビュー調査という組み合わせが多い傾向にある。一方、質問紙調査を用いているのは、2010年の後藤論文が最後であった。 また、わが国では、運動・スポーツ実施等に関する全国的な社会調査が複数行なわれており、運動・スポーツやレジャーに関する概観図は明らかになってきている。それらの調査によって経年変化を捉えることもでき、貴重なデータである。しかし、質的調査で得られているような、表象されていない事象等を調査項目として組み込むことで、現在の生涯スポーツ実践のシステムから疎外されている人たちを見つけ出すことが可能になるかもしれない。
著者
秋吉 遼子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.11, 2019

<p> 近年eスポーツをとりまく状況が変化しつつある。例えば、2019年度「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラム事業として「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の開催、eスポーツ部の創設等である。しかし、eスポーツに関する議論は十分になされているだろうか。「eスポーツがスポーツか否か」という議論は耳にするが、それだけではeスポーツの本質を解明することはできない。そのため、若手研究者委員会では、体育・健康・スポーツ科学がどのようにeスポーツと対峙するべきか議論を重ねてきた。具体的には、スポーツや運動を実践する身体とeスポーツをする身体は異なるのか、eスポーツは教材となり得るのか、eスポーツの可能性と危険性を「身体」「教育」という視点から捉えるとどのように考えられるか、スポーツとeスポーツの異なる点は何か、バーチャルの世界にある「暴力性」をどのように捉えるのか等である。学会大会当日までに若手研究者委員会で討論をしたeスポーツの論点等について報告し、今後、体育・健康・スポーツ科学の関係者がeスポーツとどのように向き合っていくのかを考える一助となることを目指す。</p>
著者
東明 有美 野川 春夫 工藤 康宏 上代 圭子 秋吉 遼子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.74_1, 2017

<p> 2012ロンドンオリンピックでは、サウジアラビアから初の女性選手が参加しこと(ロイター、2012年7月29日)や、開催期間がムスリムが断食をおこなうラマダンの期間と重なったことで、イスラム教徒(ムスリム)選手への注目が集まった(読売新聞、2012年8月2日)。</p><p> 日本で開催される2020オリンピック・パラリンピックにおいても多くのムスリム選手の参加が予想される中、現在日本では異文化理解のための教育プログラムが実施されているが、イスラム文化に対する理解は乏しいのが現状であり、ムスリムとスポーツに関する情報についても極めて限定的である(斉藤,2014)。</p><p> 欧米では、特にムスリム女性を対象として、ムスリムとスポーツ参加に関する研究が行われている(Sfeir,、1985;Kay、2006;Jiwani、2011)。</p><p> したがって本研究では、イスラムとスポーツに関する情報収集を行い今後の基礎資料とすることを目的とし、諸外国におけるイスラムとスポーツの関係に関する研究動向を検討する。</p>