著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-147, 2004-05-25
参考文献数
36
被引用文献数
2

地球大気のCO_2濃度と地球表層の温度との間には密接な関係が存在することから,温暖化はCO_2を排出する化石燃料の燃焼によってもたらされ,地球温暖化対策が国際的な課題として取り上げられてきている.しかし,大気中のCO_2が温室効果に果たす役割は,現在の濃度ですでに飽和になっているため,今後のCO_2濃度の上昇は地球温暖化には影響しない,とする見解も提出されている.しかし,この見解は一般には問題視されていない.もし,この見解が科学的に正しいとするならば,地球温暖化対策は大きく軌道修正を迫られることになる.地質時代における地球大気組成の変遷史を検討すると,確かに,大気中のCO_2濃度と気温との問には密接な関連が浮かび上がってくる.しかし,両者間の原因と結果という因果関係については明らかになっていない.地球温暖化の原因は化石燃料の燃焼である,と断定する前に,太陽活動の変化にともなう気候変動を含め,科学的にその因果関係を解明するための努力がなされなければならない.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-20, 2007-01-25 (Released:2017-05-16)
被引用文献数
4

地球温暖化は複雑系の科学であることから,その予測を困難にしている.大気中の温室効果ガスの増加が気温上昇をもたらす主な要因のひとつであることには疑う余地はないとしても,太陽活動による影響,とくに可視光以外のX線・紫外線の変動が気候に及ぼす影響についての解析は,まさに不十分であると言わざるを得ない.また,気温上昇にともなって生じる水蒸気の影響,雲量・アルベドの変化など,正または負のフィードバック機構の解析にも未知のことがらが多い.この論説では,地球史の最も新しい年代である第四紀の気候変動についての知識をもとに地球温暖化の現状を下記の順序で論述した.(1)第四紀における気候変動の歴史,(2)温室効果ガス,赤外吸収強度,放射強制力,太陽照射強度の変動,火山噴火・森林火災・黄砂による影響,(3)海洋中のCO_2濃度のフィードバック機構,アルベドの経年変化,宇宙線強度と雲量との関連.そして,結論として,地球温暖化ガスの増加にともなう正のフィードバック機構とともに,気候の人為変動に隠されている自然変動の解明が必要であることを強調した.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-147, 2004-05-25 (Released:2017-07-14)

地球大気のCO2濃度と地球表層の温度との間には密接な関係が存在することから,温暖化はCO2を排出する化石燃料の燃焼によってもたらされ,地球温暖化対策が国際的な課題として取り上げられてきている.しかし,大気中のCO2が温室効果に果たす役割は,現在の濃度ですでに飽和になっているため,今後のCO2濃度の上昇は地球温暖化には影響しない,とする見解も提出されている.しかし,この見解は一般には問題視されていない.もし,この見解が科学的に正しいとするならば,地球温暖化対策は大きく軌道修正を迫られることになる.地質時代における地球大気組成の変遷史を検討すると,確かに,大気中のCO2濃度と気温との問には密接な関連が浮かび上がってくる.しかし,両者間の原因と結果という因果関係については明らかになっていない.地球温暖化の原因は化石燃料の燃焼である,と断定する前に,太陽活動の変化にともなう気候変動を含め,科学的にその因果関係を解明するための努力がなされなければならない.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-20, 2007
参考文献数
83
被引用文献数
4

地球温暖化は複雑系の科学であることから,その予測を困難にしている.大気中の温室効果ガスの増加が気温上昇をもたらす主な要因のひとつであることには疑う余地はないとしても,太陽活動による影響,とくに可視光以外のX線・紫外線の変動が気候に及ぼす影響についての解析は,まさに不十分であると言わざるを得ない.また,気温上昇にともなって生じる水蒸気の影響,雲量・アルベドの変化など,正または負のフィードバック機構の解析にも未知のことがらが多い.この論説では,地球史の最も新しい年代である第四紀の気候変動についての知識をもとに地球温暖化の現状を下記の順序で論述した.(1)第四紀における気候変動の歴史,(2)温室効果ガス,赤外吸収強度,放射強制力,太陽照射強度の変動,火山噴火・森林火災・黄砂による影響,(3)海洋中のCO_2濃度のフィードバック機構,アルベドの経年変化,宇宙線強度と雲量との関連.そして,結論として,地球温暖化ガスの増加にともなう正のフィードバック機構とともに,気候の人為変動に隠されている自然変動の解明が必要であることを強調した.
著者
井尻 正二 秋山 雅彦 後藤 仁敏
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-18, 1991-01-25 (Released:2017-06-06)

The purpose of this paper is to indicate a biological misunderstanding on the neoteny doctrine and a danger of the biological determinism inevitably included in the doctrine. The neoteny doctrine discussed in this paper is used in a broad sense, including Bolk's fetalization, Montagu's neoteny and Gould's retardation theories. A general understanding of the term (concept) of neoteny is a mixture of the above-mentioned three, though exemplifications of their characters for neoteny are not always same. Morphogenesis is classified into the following eight types by de Beer; 1) caenogenesis, 2) deviation, 3) neoteny, 4) reduction, 5) adult variation, 6) retardation, 7) hypermorphosis, and 8) acceleration. According to this classification, Bolk's fetalization and Montagu's neoteny correspond to neoteny, and Gould's retardation is to retardation and neoteny. Anatomical characters of Homo sapiens are enumerated in Table 1, where characters identified as neoteny by Bolk, Montagu and Gould are marked with circles. However, the critique of the neoteny doctrine should be focused on the anatomical characters for bipedal walk in erect posture, since this posture is the most important biological character of Homo sapiens. Bipedal walk in erect posture consists of erect posture, bipedalism and walk. The most fundamental characters are sigmoidal flexure of a vertebral column for erect posture, shape of a pelvis for bipedalism, and plantar arches for walk. If the neoteny doctrine is correct, those fundamental characters of Homo sapiens should appear in fetus or infant stages of anthropoids. Anatomical and comparative embryological examinations reveal that those characters are not observed in these stages. It is, therefore, concluded that the above-mentioned characters of Homo sapiens do not support the neoteny doctrine. Since the fundamental characters of Homo sapiens do not support neoteny, discussion on the other characters hitherto related to neoteny seems to be unnecessary. However, we discussed such characters as cranium, cranial flexure and direction of vagina so far regarded to be representative for neoteny, and proved that these characters are not to be neoteny. All of those who support the neoteny doctrine of Homo sapiens believe the human body as a perfect (harmonic) reality without any contradiction and are, at the same time, lacking in historical (geohistorical or phylogenic) viewpoints to human body constituent organs. Moreover, the neoteny doctrine originates in neglect or disregard of the importance of 'human society' in the course of humanization of the genus Homo. Lastly, we discussed the background for the birth of the neoteny doctrine and suggested the existence of biological determinism behind. We insist that organically unified natural and social sciences could become only the science in the 21 century.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-8, 2009-01-25
被引用文献数
3

古気候の解析は,現在の気候を理解し,未来の気候を予測するために重要な役割を果たすことになる.後氷期とされる完新世は,間氷期とも位置づけられることから,現在の気候を理解するためには,間氷期の中で最もデータの多い最終間氷期の気候と比較することが重要である.それらの記録から,太陽の放射量のわずかな変動が地球の気候を大きく変化させることがわかってきた.そうなると,IPCC第4次評価報告で重要視されていない太陽由来の放射量の変化という自然要因を改めて検討し直す必要がある.太陽放射の周期的変化は,基本的には太陽活動そのものとともに,地球軌道によって規定されている.いわゆるミランコビッチ・サイクルである.現在の地球軌道は最終間氷期のそれとは異なり,約40万年前のMIS11ステージに類似しているという.したがって,太陽からの放射強制力という自然要因については,12.5万年前の最終間氷期だけではなく,MIS11ステージの気候変動と比較する必要があろう.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.5-15, 2008-01-25 (Released:2017-05-16)
被引用文献数
6

最終間氷期は,エーム期および深海底堆積物層序のMIS 5eと同時期を示す用語とされることが多い.しかし,エーム期は後期更新世の開始期として国際的な標準層序に位置づけ13.1万年前〜11.6万年前と定義し,最終間氷期については12.5万年前にヨーロッパにおける樹木花粉が卓越することで特徴付けられる温暖期とすることが望ましい.IPCCによる今世紀末の気温上昇の予測は,循環型社会シナリオとされるB1シナリオでも,1.1〜2.9℃とされ,放射強制力の変化は0.6〜2.4W/m2とされている.最終間氷期の気温上昇の直接的原因は地球軌道の変化による放射強制力の増加で,全地球平均の上昇値は僅かに0.2W/m2とされているが,北極地域の夏の時期ではその値は60W/m2に及ぶ.このことによる最終間氷期の気候変動はきわめて大きく,それに伴う海面上昇も大きかったことが分かっている.近年の急激な気温や海水面の上昇はこれまで人類が経験したことのないほど急激な現象であると報道されることが多い.しかし,最終間氷期の気候変動が現在のそれを越える規模であったことを考えると,産業革命以降になって化石燃料の燃焼による人為的な要因と区別して,自然要因の解明を行うことが是非とも必要になろう.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-8, 2009-01-25 (Released:2017-05-16)
被引用文献数
3

古気候の解析は,現在の気候を理解し,未来の気候を予測するために重要な役割を果たすことになる.後氷期とされる完新世は,間氷期とも位置づけられることから,現在の気候を理解するためには,間氷期の中で最もデータの多い最終間氷期の気候と比較することが重要である.それらの記録から,太陽の放射量のわずかな変動が地球の気候を大きく変化させることがわかってきた.そうなると,IPCC第4次評価報告で重要視されていない太陽由来の放射量の変化という自然要因を改めて検討し直す必要がある.太陽放射の周期的変化は,基本的には太陽活動そのものとともに,地球軌道によって規定されている.いわゆるミランコビッチ・サイクルである.現在の地球軌道は最終間氷期のそれとは異なり,約40万年前のMIS11ステージに類似しているという.したがって,太陽からの放射強制力という自然要因については,12.5万年前の最終間氷期だけではなく,MIS11ステージの気候変動と比較する必要があろう.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.5-15, 2008
参考文献数
52
被引用文献数
6

最終間氷期は,エーム期および深海底堆積物層序のMIS 5eと同時期を示す用語とされることが多い.しかし,エーム期は後期更新世の開始期として国際的な標準層序に位置づけ13.1万年前〜11.6万年前と定義し,最終間氷期については12.5万年前にヨーロッパにおける樹木花粉が卓越することで特徴付けられる温暖期とすることが望ましい.IPCCによる今世紀末の気温上昇の予測は,循環型社会シナリオとされるB1シナリオでも,1.1〜2.9℃とされ,放射強制力の変化は0.6〜2.4W/m2とされている.最終間氷期の気温上昇の直接的原因は地球軌道の変化による放射強制力の増加で,全地球平均の上昇値は僅かに0.2W/m2とされているが,北極地域の夏の時期ではその値は60W/m2に及ぶ.このことによる最終間氷期の気候変動はきわめて大きく,それに伴う海面上昇も大きかったことが分かっている.近年の急激な気温や海水面の上昇はこれまで人類が経験したことのないほど急激な現象であると報道されることが多い.しかし,最終間氷期の気候変動が現在のそれを越える規模であったことを考えると,産業革命以降になって化石燃料の燃焼による人為的な要因と区別して,自然要因の解明を行うことが是非とも必要になろう.