著者
澤田 健 黒田 浩光 升田 好樹 今泉 均 巽 博臣 小濱 卓朗 秦 史壯 浅井 康文
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.71-75, 2007-01-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
9
被引用文献数
6 4

試験開腹術にて早期診断できなかった非閉塞性腸管虚血症 (nonocclusive mesenteric ischemia, NOMI) の一例を経験した。症例は76歳男性で, 腹痛を主訴に来院し, S状結腸憩室穿孔に対して, 発症から9時間後にS状結腸切除と人工肛門造設を行った。入室24時間後にショックとなり, 腸管壊死を疑い試験開腹術を行った。術中, 腸管壊死を示唆する所見はなかった。その後も血清乳酸値が上昇し, 再手術から30時間後の胸腹部造影CTでは腸管全体の造影効果の低下を認めたが, 腸間膜動脈・門脈などに血栓を示唆する所見はなかった。その後, 血清乳酸値は低下傾向を示した。しかし, 創が離開し腹腔内を観察したところ, 十二指腸から大腸まで壊死しており保存的治療としたが, 多臓器不全により死亡した。開腹による一回の腸管漿膜面からの肉眼的な判断では, NOMIの診断を見誤る可能性がある。血管造影はもちろんであるが, 開腹にて判断がつかない場合には, 滅菌ドレープを用いて被覆した状態での腹壁開放創とした腸管観察も一つの手段と考えられた。また, 腸管虚血による血清乳酸値の上昇を示す症例で, 上昇後にみられる血清乳酸値の低下は腸管虚血の病態改善を示すものではない可能性が示唆された。
著者
村上 弦 秦 史壯 佐藤 利夫 田口 圭介
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1 腹腔神経叢周辺のリンパ管(平成12〜13年度)通常ホルマリン固定人体標本を用いて,1)腹腔神経叢と腸リンパ本幹の位置関係,および2)膵頭後部リンパ節(No.13)及び総肝動脈リンパ節(No.8)から大動脈リンパ節(No.16)へ注ぐリンパ管の経路,について検討を行った。また,新鮮胎児の胸腹部内臓の準連続切片を作成し,腹腔神経叢周囲のリンパ管及びリンパ節の局在を検討した。これらの結果から,膵頭十二指腸を外科的に左腹側へ授動する手技(コッヘル授動術)の視野において,腹腔神経叢より浅いこの領域の所属リンパ系の大部分を郭清できる可能性が示唆された。しかし,主流ではないものの腹腔神経叢と横隔膜脚の間を通るリンパ経路は存在しており,その経路の中継点であるNo.16a2の術中生検には大きな意義があると考えられた。2 子宮基靱帯内部を通る自律神経(平成14年度)15体の女性人体骨盤標本(65〜86歳)を用いて,子宮基靱帯内部を通る自律神経の走行を検討した。その結果,1)基靱帯は骨盤内臓神経を含んでいないこと,2)基靱帯の底部及び背側縁には明瞭な靱帯構造が存在すること,3)骨盤神経叢は基靱帯の血管成分からは分離していること,が明らかになった。この結果から,自律神経温存広汎子宮全摘出術において子宮傍組織の拡大切除を施行しうる可能性が示唆された。