著者
岡本 陸 稲坂 晃義 宮崎 愛弓 長尾 徹
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.4_19-4_28, 2023-03-31 (Released:2023-03-30)
参考文献数
26

近年,デザイン非従事者がデザインのプロセスに参加するような考え方や活動が注目されてきているが,多くの人々がデザイン行為に対する自己効力感に課題を抱えていると考える。本研究の目的は,デザイン非従事者に,共創という状況の中でDual Focus の考え方を援用したリフレクションを行わせることが,デザイン行為に対する自己効力感にどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。デザインを専門的に学んでいない大学生に対して,デザイン行為を伴うグループワークを実施させた後,Dual Focus を用いてリフレクションをした群(他者視点を介入させる群)と,用いずにリフレクションをした群(他者視点を介入させない群)の2つに分け,それぞれの効果を分析した。その結果,グループワーク実施後にDualFocus を援用したリフクションを行った群は,自己に対してより詳細に振り返る傾向が確認され,さらにデザイン行為に対する自己効力感の一部分が有意に向上していることが分かった。
著者
稲坂 晃義 八馬 智 石塚 明夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_39-1_48, 2020-07-31 (Released:2020-08-10)
参考文献数
7

デザインの導入基礎教育を対象に,指導者が求める到達目標を明示した「振り返りシート」を用いて,学習者の自己評価により理解・習熟度を自身で把握し,指導者の評価との関係性を明らかにする.またその結果を用いて授業プログラムおよび指導方法等を検討するための示唆を得ることを目的とする.受講者の各課題に対するの理解・習熟度の自己評価,ならびに授業運営側の各課題の設定レベルの適性度の把握と今後の授業進行の調整や課題導出を目的としてICE モデルルーブリックを応用した「振り返り」シートを作成し導入した.因子分析とクラスター分析によって,学習者と指導者の各評価間の差異を明らかにした.学習者本人が自身の理解度を把握することに留まらず,指導者の指導内容の評価にも利用することができる.また多年度にわたりその結果の推移を見ると,各年度の学習者の傾向の違いがあるが,学習者の自己評価と指導者の評価の間の差異が年度を経るごとに小さくなる傾向があり,指導内容の変更や改善が一定の学習効果の向上に寄与することが分かった.
著者
稲坂 晃義 貞広 幸雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.75, no.650, pp.889-896, 2010-04-30 (Released:2010-06-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

A retail facility is one of an important part of people's daily life. Recently, retail distributions created by a collection of retail facilities change are rapidly effected by fashion, economic trends, urban redevelopments, and so forth. These rapid changes need to be traced and clearly understood to prevent residents and visitors of the city from their inconveniences. This paper proposes a method using circular statistics for analyzing and visualizing direction of retail distribution expansion in urban space. HSV color space is used for result visualization. An empirical study is done with NTT Townpage data of Shibuya ward.
著者
熊谷 亮平 稲坂 晃義 濱 定史 渡邊 史郎
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.23-34, 2017

木密地域である神楽坂地域では,既存木造建築の改修・用途変更による商業店舗が増加し,来街者の多い住商混在エリアを形成している。これらのリノベーションは建物や環境を維持しながらエリアの活性化に資する可能性を持っている。本研究では特に近年この傾向が顕著な神楽坂上を対象としてエリア特性や建物属性を把握し,その分布や集積の実態を明らかにした。用途変更を含めた木造建築の活発な更新実態,花街エリアである神楽坂下との地域的差異,改修工事における課題や施工方法・体制の一端を示した。また比較対象として木密地域のリノベーションが活発な大阪の中崎町・空堀地区などの分析を行い,用途や分布の傾向などを考察した。