- 著者
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斉藤 剛
穂坂 衛
- 雑誌
- 全国大会講演論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.第39回, no.データ処理, pp.934-935, 1989-10-16
本報告では2次曲面の交線を求める方法を提案する。2つの2次曲面の交線を求める方法は,大別して幾何学的方法と代数的方法がある。前者は各々の曲面の型に応じた方程式を用いる。交線は,交線附近の局所的な幾何学的性質や量を用いて隣接点を逐次求めることにより得るのが一般的である。この方法では, 特異点附近でも安定していること,全ての交線が求められていることを保証しなければならない。後者は2つの曲面から線織面となるペンシル(pencil)を求め,これを用いる。交線は,ペンシルの母線と元の曲面の何れかとの交点を求めることにより得る。母線と2次曲面との交点は2次方程式の解として得られる。この方法は,エレガントであるが,線織面となるようなペンシルを求めるために4次方程式を解かなければならない。また,回転やスーリング等の座標変換および判別式による曲面形状の分類を必要とし,それらには多くの誤差を伴なう。本報告で提案する方法は,両方の良い点を取ったものである。その概要は以下の通りである。まず, 両曲面を1つの座標面に平行な面で切断する。切断面は2次曲線となる。それらの交点をペンシルを用いて求める。切断面を平行に僅かに移動した時, 切断面の2次曲線,それらのペンシルおよび交点も僅かに移動する。このペンシルの移動を「トレース」することにより,その交点の移動として交線を得る。本方式では,ある切断面でのペンシルを一度求めれば,2次方程式を解くだけで,最大4つある交点の全てが求まる。また,特異点や極値点は,ペンシルの数(3次方程式の根の数)および交点の数(2次方程式の根の数)から検査することができる。本報告では,まず, 2次曲線の交点をペンシルを用いて求める方法を述べる。次いで, 2次曲面の交線を求める方法を提案し,その例を示す。また,この応用例として2次回転体にフレット付けした例を示す。さらに,曲面上の輝度に基づいた,曲面の表示法を述べる。