著者
前田 信治 清家 雅彦 中島 隆 泉田 洋司 鈴木 洋司 精山 明敏 立石 憲彦 関谷 美鈴 谷口 拓也 昆 和典 志賀 健
出版者
特定非営利活動法人 日本バイオレオロジー学会
雑誌
日本バイオレオロジー学会誌 (ISSN:09134778)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.32-40, 1990-03-31 (Released:2012-09-24)
参考文献数
27

Relation of membrane surface structure and erythrocyte aggregation was investigated by modifying glycoproteins of erythrocytes with trypsin, chymotrypsin and neuraminidase, with a special regard to survival of erythrocytes in circulation. The velocity of erythrocyte aggregation was measured with a rheoscope combined with a video camera, an image analyzer and a computer. (1) Human aged erythrocytes fractionated by a density gradient centrifugation with Percoll were more accelerative in aggregation than young erythrocytes. Young erythrocytes induced in rat by administration of recombinant human erythropoietin were less accelerative in aggregation than normally produced erythrocytes. These phenomena were discussed on the basis of structural change of membrane surface proteins during in vivo aging of erythrocytes. (2) Erythrocyte aggregation was affected by negative charge density of membrane surface (mainly of sialic acid). But structural change of glycoproteins, especially of glycophorin A, was greatly effective on the erythrocyte aggregation. The phenomena were proposed as a model of removal of in vivo aged erythrocytes.
著者
藤野 裕子 樋口 裕也 藤本 裕二 立石 憲彦
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.319-327, 2019-01-31 (Released:2019-08-01)
参考文献数
35

精神科看護師のリカバリー志向性の特徴と関連要因を明らかにすることを目的として,2つの精神科病院に勤務する看護師455名を対象に自記式質問紙調査を実施した。調査項目は,1)基本的属性,2)リカバリー志向性(日本語版7項目版Recovery Attitudes Questionnaire:RAQ-7),3)リカバリー知識(日本語版Recovery Knowledge Inventory:RKI),4)リカバリーの認識,5)リカバリーへの関心,6)研修姿勢,7)リカバリー研修経験,8)リカバリープロセスにある精神障害者を知っている人数,9)リカバリー概念に基づいた支援経験の有無,10)楽観性(前向きさ・気楽さの2因子で構成される楽観性尺度を使用)である。調査対象者中,有効な回答を寄せた315名(有効回答率69.2%)の回答を分析した。分析対象者は,女性が55.8%,男性が44.2%であり,年齢(平均値±標準偏差)は40.4±9.8歳,看護師経験年数は16.9±10.0年,精神科経験年数は13.1±9.1年であった。RAQ-7合計点は27.2±2.7点,項目点ごとに集計した場合は「精神の病気からのリカバリーのしかたは,人によって異なる」が4.3±0.6点で最も高く,「重い精神の病気をもつ人は誰でも,リカバリーするために励むことができる」が3.3±0.9点で最も低かった。リカバリーの認識を有していたのは198名であり,この中でリカバリー概念に基づいた支援経験者は12名(分析対象者の3.8%,認識のある者の6.1%)に過ぎなかったが,精神科専門職全般を対象とした先行研究よりもRAQ-7得点が高かったことから,患者の社会復帰を傍で支える看護師の姿勢が,リカバリー志向性の高さに繋がっていると考えられた。RAQ-7は,リカバリー支援経験者,研修に積極的な人,リカバリーに関心がある人,リカバリーに関して知らなかった人よりよく知っていた人において高かった。RAQ-7は,RKIとは関連がなく,前向きな楽観性とは弱い正の相関(r=0.194)がみられた。以上より,看護師は,回復において個別性を重視しながらも悲観的に捉えやすいため,リカバリーに関する教育が必要であると考えた。また,看護師のリカバリー志向性を高めるには,意欲的に学習に取り組む姿勢の育成,リカバリー概念の理解の推進,前向きな楽観性の考慮や実践的なプログラムを取り入れた教育が重要だと考えた。
著者
今村 圭子 立石 憲彦 イマムラ ケイコ タテイシ ノリヒコ IMAMURA Keiko TATEISHI Norihiko
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13462180)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.39-45, 2015-03

介護職者は利用者の生活の場で利用者の生きる意欲を引き出し、個々の自立に向けて多面的な生活支援を行っている。しかし、介護職員・訪問介護員の離職率は、他業種の離職率に比べ高い状態が継続している。今回、ホームヘルパーの自己評価と仕事の意欲との関係を明らかにすることを目的とし、ホームヘルパーを対象に自記式質問用紙を用いて調査を実施した。自己評価と仕事の意欲の各項目の関連を見た結果、自己評価の基本的態度の項目と仕事の意欲の向上志向の項目間において有意な関係を示した項目が比較的多く見られた。特に仕事の意欲を示す向上志向の項目の仕事の現状を変化させたいと自己評価の基本的な態度の項目に関連性を示し、意向を汲み取ることが出来るとする自己評価と仕事の意欲との関連性は認められなかった。これらの結果を踏まえ、コミュニケーション技術をスキルアップすることは仕事の意欲を強くする要因の一つであり、また、様々な利用者に対し援助過程を実践し経験値を増やすことが仕事の意欲に繋がっていると考えられた。Care workers help each patient discover their will to live at a given life stage, giving multi-faceted support aimed at individual self-reliance. However, the turnover rate of nursing staff and home helpers continues to be higher than that of other professions. We carried out a self-administered survey of home helpers, with the intended goal of shining light on the relationship between self-assessment and the desire to work in home helpers. Looking at the results on the relationship between self-assessment and the desire to work, we observed, in a relatively large number of points, a significant relationship between points in the basic manner of self-assessment and points related to intended improvement in the desire to work. In particular, the desire to change the current conditions at work, among intended improvement points showing the desire to work, and points of the basic manner of self-assessment indicated a relationship. We were unable to identify a connection between the desire to work and a self-assessment that takes into account intentions. Based on these results, improving communication skills is one factor involved in increasing the desire to work. We also believe that implementing various assistance processes and the followed increase in experience is tied to the desire to work.
著者
石原 謙 立石 憲彦 木村 映善
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

現在、産婦人科専門医の確保が厳しく、遠隔診断やオピニオンが求められるようになっている。医師との迅速な連携の為に愛媛大学では携帯電話を用いたCTG(胎児心拍陣痛図)の伝送や、安全な医療情報ネットワークを介した伝送による遠隔医療期間の連携の試みを行ってきた。それらは一定の成果を挙げたが、CTG伝送をする為にはサーバの設置やネットワークの整備、設定を要求されるなど、利用までの敷居が高く、普及する要素が低かった。翻って一般家庭におけるブロードバンド環境の普及は進み、現在ではADSLやFTTHの引き込みを前提環境として想定することが容易になった。そこで、一般家庭で利用されているブロードバンド環境下に設定の必要がないCTG伝送システムを実現することによって容易に胎児心拍陣痛図の監視システムの導入が出来ることを目指した。この事によって高リスク因子の妊婦を自宅にて静養させることが実現出来る。具体的には一般家庭で導入されているブロードバンドルータのDHCPもしくはUPnP機能からホームネットワークの環境を自動的に検出し、インターネットへの接続を確立する。どのような環境でも胎児心拍陣痛図のモニタリング・センターへデータを伝送出来るようにHTTPプロトコル上に暗号化されたSOAPメッセージを使って胎児心拍陣痛図を伝送する。RS232Cで接続された胎児心拍陣痛図のプローブからデータを採取し、SOAPメッセージに載せるXML形式の連続データに変換を行い、あらかじめ指定されているモニタリング・センターのWebサービスサーバと公開鍵認証を行って送信する。センターでは各地から取得されたメッセージをXML形式で保存し、データベース参照や地域医療システムとの連携を実現している。設定が不要で場所、時を選ばずに誰でも容易に胎児心拍陣痛図の確認を依頼出来るようになる為、周産期医療の充実化が期待される。本研究を進めるにあたって、医療機関毎に導入している医療機器によって扱われる胎児心拍陣痛図や各種医用波形データが異なる為、MFERの利用を着想し、MFERデータを扱う為のパーサを開発した。現在、医用波形をMFER形式に変換し、それをSOAPメッセージにエンコーディングした上で、リライアブル・マルチキャスト技術を利用したメッセージングシステムでSOAPメッセージを配布する実装の開発中である。
著者
立石 憲彦
出版者
愛媛大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

高分子化合物によって赤血球が集合を起こすことはよく知られている。集合体は高分子化合物の濃度によって形成速度や大きさに差が現われてくる。我々は集合体形成物質としてデキストランT-70を用いて濃度(0〜4g/dl)に伴って集合体の形成にどのような影響があるかを次の3つの方法で観察をおこない、比較検討した。(1)単離ウサギ腸間膜に赤血球浮遊液を灌流し、微小血管の壁近くに形成される血漿層の厚みと血管内径の関係。(2)低ズリレオスコープ下における赤血球連銭形成速度。(3)赤血球集合・沈降過程におけるレーザー光透過量の変化。【結果】低ズリレオスコープ法による集合体形成速度およびレーザー散乱光による集合体形成及び沈降速度はデキストラン濃度が2.5g/dlで最大となった。一方、単離ウサギ腸間膜の微小血管における赤血球の流動を観察すると、デキストラン濃度が増加するにつれて血漿層の厚さが増すが、増加率はデキストラン濃度が2.5g/dl付近で最も大きく、逆に2.5g/dl付近のデキストラン濃度では灌流抵抗の増加率が低いことが明らかになった。【考察】低ズリレオスコープによる赤血球集合体形成およびレーザー散乱法による赤血球集合・沈降過程においては、ともに赤血球に加わるずり応力は低く、0〜2dyn/cm^2程度であり、デキストラン濃度変化によって赤血球集合体形成速度に変化が見られた。一方、微小血管内では血管壁に近いところではズリ応力が大きく(〉20dyn/cm^2)、赤血球は軸集中し、かつ、赤血球同士の衝突頻度が増える。中心軸付近ではズリ応力は小さいために集合体形成が促進された状態になったと考えられた。また、血漿層の厚みと灌流抵抗の増加率の変化は赤血球が集合を起こすことで循環抵抗の増加を抑えていることが考えられた。