著者
小澤 利行 浅野 薫 沼田 成弘 蓮井 康嗣 高地 泰浩 石原 謙
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.93-102, 2005 (Released:2007-01-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2

We have developed a new noninvasive method for measuring hemoglobin concentration called the “near-infrared spectroscopic imaging method.” This method is based on Lambert-Beer's law and on estimating the path length of light transmitted in a blood vessel using the analysis of near-infrared optical images that visualize peripheral blood vessels in the human finger. To investigate the validity of this method, basic studies were conducted using a prototype device, finger phantoms and a human finger. The experimental results of these basic studies were consistent with a theoretical equation derived from a simple light transmission model under the assumption that the cross-sectional shape of a blood vessel is completely circular. As the result, our noninvasive method was shown to be valid. To apply this method to human fingers, reproducibility and correlation tests were conducted on volunteers. Reproducibility (CV %) with five volunteers was less than 3.5%. Good correlation was obtained between predicted hemoglobin concentrations using this method and reference values obtained by the SLS hemoglobin method using an automated blood cell counter (r=0.86, n=54). These results on volunteers suggest that our noninvasive method can be applied to human fingers. As our method has the advantage of not requiring blood sampling, we will evaluate the usefulness of this noninvasive method for anemia screening.
著者
中井 宏章 渡邉 睦 三宅 啓夫 高田 敬輔 山下 馨 新盛 英世 石原 謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.280-288, 2000-01-25
被引用文献数
36

我々は, ビデオカメラで撮影した被験者の就寝時映像から, 動画像処理により呼吸を自動計測するシステムを試作している.本システムは, 完全に無拘束でリアルタイムに呼吸状態をモニタリングでき, 高齢者や乳児の睡眠中の突然死や無呼吸症候群の早期発見・診療補助に用いることができる.呼吸計測は被験者胸部の画像変化をフレーム間差分で検出することにより行い, 同時に統計的判別による就寝状態判定も行う.また, 呼吸計測に最適な関心領域(ROI)を自動設定することにより, オペレータの操作なしに長時間の呼吸計測が可能となった.本論文では, 本システムの詳細について述べるとともに, 特別養護老人ホームにおいてフィールドテストを行った結果について報告する.
著者
石原 謙
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S162, 2018

<p>従来医療現場では少しでも危険な可能性があれば回避・忌避する習慣が尊重された。人の命や健康を守る立場から当然でありそれ自体は好ましい。20年前の心臓ペースメーカでは、当時の携帯電話からの電波強度で誤動作をすることが実験でたしかめられていた。しかしペースメーカー自体は当時から何重にも安全に作られていた。生存を脅かす機能停止はせぬよう設計されていた。さらにペースメーカのEMI耐性は著しく改善され、10年ほど前からの製品では医療現場を含めた生活圏における無線電波による機能異常は発生していない。PCやタブレット端末などの電波を発するNW機器についても医療機器に致命的障害を与える医療事故は報告されていない。結果としてこの20年、電波干渉による心臓ペースメーカでの死亡事故は起きていない。 病院での入院患者では携帯電話や無線LANが普段以上に有り難い存在となる。家族や友人との会話は回復への大きな励みになるし、治療部位以外は健常で仕事ができる状態の患者にはNWは必須である。 医療用電波を利用したME機器はゾーン設計の元で適切に使用されてはいるものの、無線LANや携帯電話などの無線端末が、利便性が高いために数多く導入され野放し状態に近い。 医療現場における電波利用の実態を調査し、さらに安全に電波利用を推進することが望まれ、管理監督強化ではなく、医療現場の負担を軽減する方向での活用を促進する合理的なガイドラインが望まれる。</p>
著者
羽生 能行 牧川 方昭 石原 謙
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.628-636, 1996-05-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
19

In this paper, we have tried to measure physiological responses under mental stress in some daily scenes with a portable digital biosignal memory device. The aim of this study is to search for the method to evaluate objectively the mental stress in daily life. Here we chose the heart rate and the respiratory rate as non-invasive measuring objects and have developed an ambulatory mental stress monitoring system. Daily life stress scenes used here was the graduation thesis presentation, an unexpected police checkup during a car driving and the getting on a roller coaster, and in addition the calculation experiment under the laboratory was done for the comparison with other previous results reported.As a result, the heart rate and the respiratory rate were getting higher, and the respiration was getting irregular under strong mental stress, that is, getting on a jet coaster, presenting a graduation thesis, and a police checkup while driving. Under weak stress, like the calculation in the laboratory and the car driving, the respiratory rate was getting higher and irregular, but the heart rate wasn't remarkably high. From these results, it was suggested that the heart rate, the respiratory rate, and the respiratory irregularity are effective to evaluate the mental stress in daily life.
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
石原 謙 立石 憲彦 木村 映善
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

現在、産婦人科専門医の確保が厳しく、遠隔診断やオピニオンが求められるようになっている。医師との迅速な連携の為に愛媛大学では携帯電話を用いたCTG(胎児心拍陣痛図)の伝送や、安全な医療情報ネットワークを介した伝送による遠隔医療期間の連携の試みを行ってきた。それらは一定の成果を挙げたが、CTG伝送をする為にはサーバの設置やネットワークの整備、設定を要求されるなど、利用までの敷居が高く、普及する要素が低かった。翻って一般家庭におけるブロードバンド環境の普及は進み、現在ではADSLやFTTHの引き込みを前提環境として想定することが容易になった。そこで、一般家庭で利用されているブロードバンド環境下に設定の必要がないCTG伝送システムを実現することによって容易に胎児心拍陣痛図の監視システムの導入が出来ることを目指した。この事によって高リスク因子の妊婦を自宅にて静養させることが実現出来る。具体的には一般家庭で導入されているブロードバンドルータのDHCPもしくはUPnP機能からホームネットワークの環境を自動的に検出し、インターネットへの接続を確立する。どのような環境でも胎児心拍陣痛図のモニタリング・センターへデータを伝送出来るようにHTTPプロトコル上に暗号化されたSOAPメッセージを使って胎児心拍陣痛図を伝送する。RS232Cで接続された胎児心拍陣痛図のプローブからデータを採取し、SOAPメッセージに載せるXML形式の連続データに変換を行い、あらかじめ指定されているモニタリング・センターのWebサービスサーバと公開鍵認証を行って送信する。センターでは各地から取得されたメッセージをXML形式で保存し、データベース参照や地域医療システムとの連携を実現している。設定が不要で場所、時を選ばずに誰でも容易に胎児心拍陣痛図の確認を依頼出来るようになる為、周産期医療の充実化が期待される。本研究を進めるにあたって、医療機関毎に導入している医療機器によって扱われる胎児心拍陣痛図や各種医用波形データが異なる為、MFERの利用を着想し、MFERデータを扱う為のパーサを開発した。現在、医用波形をMFER形式に変換し、それをSOAPメッセージにエンコーディングした上で、リライアブル・マルチキャスト技術を利用したメッセージングシステムでSOAPメッセージを配布する実装の開発中である。