著者
竹之内 健介 加納 靖之 矢守 克也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_31-I_39, 2018 (Released:2019-02-19)
参考文献数
19
被引用文献数
3

平成29年九州北部豪雨では,中山間地を含む多数の集落で甚大な被害が生じた一方,5 年前の災害経験などを踏まえ,住民が無事避難した事例も確認されている.本研究では,そのような避難に成功した地区などを対象に住民への聞き取り調査を行い,詳細な対応行動や避難につながった背景の分析を行った.調査の結果,地域独自の判断基準の存在が災害対応に効果的に機能していた事例が確認されるとともに,そのような判断基準が地域で継続して定着するような社会環境が存在していた.また当時の住民の対応行動の時系列分析を行い,各種災害情報との対応関係から,実際にその判断基準が災害時に有効に機能していたことを確認した.これらの結果を踏まえ,地域独自の判断基準(防災スイッチ)を災害時に有効に機能させる地域防災の検討と推進を提案する.