著者
伊藤 壽一 西村 幸司 扇田 秀章 大西 弘恵 山本 典生 田浦 晶子 松本 昌宏
出版者
滋賀県立総合病院(研究所)
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

難聴は人口の高齢化に伴い、認知症との関連もあり、世界的な大問題となっている。しかし、内耳感覚細胞、ラセン神経節細胞の障害に起因する「感音難聴」は薬物治療は不可で、補聴器、人工内耳などの機器による聴覚補償が唯一の方法である。本研究では、再生医学を利用し、細胞移植による内耳細胞の再生と人工内耳の組み合わせで、難聴を克服させようとする計画である。特に移植細胞にはヒト人工多能性幹細胞を用い、人工内耳からの刺激には既存の電気刺激に加え、光ファイバーによる光刺激を用いることに新規性がある。
著者
松井 知子 村上 大輔 椿 広計 高橋 泰城 船渡川 伊久子 山形 与志樹
出版者
統計数理研究所
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2021-07-09

COVID-19、SDGsの複雑に絡み合った課題に対しては、多くの異分野に跨がる学際的研究が 不可欠であり、異分野相関を俯瞰できる方法論が必要となる。従来の統合評価モデルによるアプローチには、1) 不確かさの所在が不明瞭、2) 多様なデータの十分な活用が困難、3) COVID-19のような突発事象への対応不可等の問題がある。本研究では、統計・機械学習により、この従来モデルをデータ駆動型の確率モデルに転換させて、上記の問題1)、2)を解決する方法論Iを確立する。さらにこの方法論Iを、突発事象を含め、様々な事象を包括できるモデル統合の方法論IIへと変革させ、問題3)を解決する。
著者
金田 眞理 望月 秀樹 前田 真一郎 小池・熊谷 牧子 中村 歩
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

結節性硬化症(TSC)はmTORC1(エムトールC1)の恒常的活性化で、全身に腫瘍やてんかんを発症する遺伝性疾患である。TSCの皮膚病変治療薬である、mTORC1阻害薬シロリムスの塗り薬を使用していた患者の中に、皮膚への少量塗布で血中シロリムス濃度の上昇なく、てんかんが改善する患者が現れた。そこでてんかんを有するTSCのモデルマウスで検討したところ、マウスでも同様の結果が得られた。皮膚塗布により、シロリムスが血液を介さずに、脳へ輸送された可能性が考えられた。本研究ではその機構の解明を行う。
著者
中室 牧子 藤澤 啓子 グリフェン アンドリュウ 澤田 康幸 真野 裕吉 佐々木 みゆき 樋口 裕城 奥村 高明
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

厳密な政策評価の方法を用いた効果検証はほとんど行われて来なかった。そこで本研究では、政策評価の専門家で構成される研究者グループが、文部科学省・埼玉県教育委員会・埼玉県和光市・兵庫県尼崎市、アジア開発銀行と協力し、政策主体が実際に実施している下記の5つの教育政策の効果測定を実施し、「エビデンスに基づく教育政策」の先行事例をつくり、その定着に貢献することを目的とする。
著者
安藤 昌也 伊藤 泰信
出版者
千葉工業大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究は、人や社会を要件として捉え、システム設計を専門とする人間中心設計(以下、HCD)と、集合的な社会・文化に焦点を当てて人間社会を理解することを専門とする文化人類学(以下、人類学)の知見を融合させつつ、人工知能(AI)を適用したシステムの設計において人と社会の調和を考慮したシステム設計思想および設計方法のあり方を検討するものである。本研究では、HCDと人類学の融合する「多元的HCD」という一見矛盾する設計思想を仮説としつつ、2つの学問領域の対話と連携により、実際にAIが導入されている現場(医療支援システムや転職支援サービスなど)のフィールドワークをすることを通し、双方の差異・共通点から課題を整理する。
著者
大戸 茂弘
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

野生型WTマウスまたはDrug A受容体KOマウスを行動解析装置に7日間飼育した後、明期を8時間前進させ明暗周期サイクルの変化に対する行動シフトに及ぼすDrug A受容体欠損の影響を検討した。Drug A受容体欠損マウスでは、明暗周期変動に対する行動リズム変化が野生型と比較し遅延していた。両マウスを行動解析装置に7日間飼育した後、明期を8時間前進させ、その後、恒暗条件下で飼育した際の行動の変化に及ぼすDrug A受容体欠損の影響を検討した。Drug A受容体欠損マウスでは、恒暗条件下の行動リズム周期が野生型と比較し長いことからSCNに存在する時計遺伝子の発現リズムに何らかの機能的変化が生じていると考えられる。両マウスSCNの時計遺伝子をIn situ hybridization法を用い測定した結果、時計遺伝子のCry1の発現リズムが変容していた。両マウスを行動解析装置に7日間飼育した後に、常に照明をOFFにした恒暗条件下で飼育した自律的行動リズムの位相と周期に及ぼすDrug A点眼時刻の影響を検討した。両マウスにDrug AをCT14に点眼し、自律的行動リズムに及ぼす影響を確認した結果、WTマウス行動リズムはDrug AのCT14点眼により位相が後退したが、Drug A受容体KOマウスにおいてはその効果は認められなかった。恒暗条件下の行動リズムに及ぼすDrug A点眼により行動リズムの周期が変容したことから、時計中枢SCNの時計遺伝子Per1、Per2発現量に及ぼすDrug Aの影響を検討した。野生型ではDrug A点眼後にSCNのPer1、Per2の発現量が変容したが、Drug A受容体KOマウスでは影響しなかった。恒暗条件下飼育マウスに光を照射する条件またはDrug A点眼後に光照射を併用する条件下、SCNの時計遺伝子発現量に及ぼすDrug A受容体ノックアウトの影響を検討した。野生型マウスでは発現量が変化していたが、Drug A受容体KOマウスでは顕著でなかった。
著者
青山 薫 鈴木 賢 日下 渉 北村 由美 伊賀 司 石田 仁 小田 なら 林 貞和
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2023-06-30

性的マイノリティの存在を認め、すべての人の人権を擁護するために定着した「性の多様性」。だが、この概念は英語由来のジェンダー二元論を超えてはいない。二元論ではその存在が十分に説明できない人たちがアジアを始めさまざまな文化で確認されてきており、現在の概念系は、この人たちを承認し、人権としての「性の多様性」とその侵害を正確に把握することができないでいる。そこで本研究は、アジア9ケ国でいわゆる「非典型的な性」の歴史を調べ、現在生きている当事者に聞き取りをして、《性の多様性》とは何かを改めて明らかにする。そして、こちらの《多様性》に基づいて、現行のジェンダー概念を超える性の概念を構想する端緒をつける。
著者
青田 寿美 永崎 研宣 白須 裕之 古勝 隆一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

NIJL「蔵書印データベース」は、4万件を超えるレコード数量を有し、31項目からなるコンテンツを活用するための多様な検索機能を兼ね備え、国内外に類例をみない印影データベースとして高い評価と利用実績をあげてきた。本研究では、個別レコードの情報整備と新たな項目の追増等を行うことで印影検索機能の拡充を実現する他、篆書体学習者向けの「篆字部首・画像検索システム」を構築することにより、ユーザの高次利用に応え篆字読解力をも助長するデータベースの新展開を目指す。また、「篆字データセット」を公開することにより、次世代へ受け渡す知識ベースの開拓へと繋げる。
著者
久保田 明子 青木 睦 高岩 義信 飯田 香穂里 兵藤 友博 小沼 通二 後藤 基行 清原 和之 菊谷 英司
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

日本学術会議所蔵の歴史的資料について、(A)資料を用いた研究(日本の学術体制史研究)と(B)アーカイブズ学にのっとった資料整備を行うことが研究の計画であるが、本研究は特に(A)と(B)を別々に行うのではなく、日本の科学史等当該分野の研究者とアーカイブズ学を専門とする研究者が互いの知見や成果を相互に活用しながら共同で実施する試みである。
著者
多湖 淳 三船 恒裕 稲増 一憲 大坪 庸介 日道 俊之 小浜 祥子
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究プロジェクトは「集団間の謝罪と赦し」をテーマとして、心理学・政治学の若手研究者が協働し、今までにない分野横断融合研究を実施する。アメリカ政治、国際政治、政治心理学、社会心理学、進化心理学といった多分野の若手研究者が結集し、世界をリードする社会科学研究を推進する。具体的には、心理学のメタ理論を、政治学における集団のアイデンティティや歴史的文脈に関する知見と融合して集団間謝罪の理論として発展させ、文脈や集団の特性を鍵とするような実験シナリオ・刺激を構築し、実験室実験やサーベイ実験により実証する。これにより、集団の抱える歴史的文脈がいかに一般的な心理学的予測を阻害するのかを総合的に解き明かす。
著者
日野 愛郎 新川 匠郎 藤田 泰昌 網谷 龍介 粕谷 祐子 上谷 直克 木寺 元 岡田 勇
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2023-06-30

本研究は質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis)の開発、比較検討、実践を共創的に展開し、政治学の更なる発展に道筋を付ける。QCAは複数条件の組み合わせを網羅的に扱い、必要条件性や十分条件性をブール代数や集合論を基に把握する。本研究は(1)政治学が強い関心を払う歴史的・時間的な変動を分析可能とするTime-differencing QCAの方法を開発し、(2)先行研究のデータ分析を再現する中で、結果を規定する原因の「条件性」を他の手法と比較検討してQCAの独自性を明確にし、(3)比較政治、国際関係、行政学の各領域での実践を基に分析のガイドラインを作成する。
著者
小野塚 知二 藤原 辰史 新原 道信 山井 敏章 北村 陽子 高橋 一彦 芳賀 猛 宮崎 理枝 渡邉 健太 鈴木 鉄忠 梅垣 千尋 長谷川 貴彦 石井 香江 西村 亮平 井上 直子 永原 陽子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2022-06-30

野良猫の有無とその消滅過程に注目して、人間・社会の諸特質(家族形態、高齢化態様と介護形態、高齢者の孤独、猫餌の相対価格、帝国主義・植民地主義の経験とその変容、動物愛護思想、住環境、衛生意識、動物観など、従来はそれぞれ個別に認識されてきたことがら)を総合的に理解する。猫という農耕定着以降に家畜化した動物(犬と比べるなら家畜化の程度が低く、他の家畜よりも相対的に人間による介入・改変が及んでいない動物)と人との関係を、「自由猫」という概念を用いて、総合的に認識し直すことによって、新たに見えてくるであろう人間・社会の秘密を解明し、家畜人文・社会科学という新しい研究方法・領域の可能性を開拓する。
著者
桜井 芳生 赤川 学 尾上 正人 高口 僚太朗
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ネットワーク変数を含む社会変数(の推移)と遺伝子変数の関連を分析する。匿名の調査協力者さんたちから採集した遺伝子試料の解析結果とその方々に回答いただいたスマホアンケートの結果との 相関分析をはじめとする統計解析をおこなう。オキシトシン受容体OXTR遺伝子の一塩基多型の一つ「rs53576」のタイプの解析をまずは目指した。SNP「rs53576」のタイプは、AAホモ、AGヘテロ、GGホモ、の三類型存在する。AAホモのヒトほど、Twitterを、する。などといった、興味深い相関が見いだされた。
著者
桜井 芳生 赤川 学 尾上 正人
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

分析はおもに以下の様な因果図式であった。遺伝子多型の値(ss,sl,ll,の三値)は、生得的に不変とかんがえ、つねに独立変数としてあつかった。[ジーン(×SES)→ネットワークタイ分析]すなわち、遺伝子の値(と当人の社会経済的変数)が当人のネットタイ形成(具体的には友人形成)に影響をあたえているのか。また、二者間の遺伝子変数の類似がその二者の友人形成を促進するのか。すなわち「(遺伝的)類が、友を呼ぶ」のか、の分析をおもに、ロジスティック回帰分析を利用して分析をこころみた。[ジーン×ネットタイ×SES→SES 分析]すなわち、第一波第二波第三波の時系列データを収集するので、これを利用する。すなわち、第一波時点におけるジーン・ネットタイ(だれと友人か)・SES(社会経済状態)が、第二波時点の当人のSES(社会経済的状態)ならびにネットタイの変化にどのように影響したのかを分析した。これはおもに第二波のSES ならびにネットタイの一つ一つを従属変数とし、第一波のジーン・ネットタイ・SES を独立変数とする重回帰分析によって解析した。さらに第一波で計測した遺伝子の値、第二波でのネットワーク変数(だれとタイをむすんでいるか。本人のネット中心性の値など)を独立変数とし、第三波のSES ならびにネットワーク変数を従属変数とし、同様の分析をこころみた。さらに個別の遺伝子の一塩基多型のタイプが被験者の社会行動に影響をあたえていないか、スマートホンアンケートとの同時計測の結果について相関分析を試みた。