著者
堀尾 輝久 中野 光 柴田 義松 小川 利夫 竹内 常一 大田 〓
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

本研究はつぎのような課題意識のもとに発足した. 本研究は, 教育学諸分野の研究者の共同研究により,特に中等教育制度を中心に実態分析や提言を整理, 検討し, 現代社会における子どもの成長, 発達をよりよく保障する教育制度原理, とりわけ青年期の発達にふさわしい中等教育のあり方を究明することを目的とする. 本研究は次の5つのワーキング・グループを置き, 調査研究を行ってきた. 1教育改革理念 2現代社会と学校制度 3教員養成制度 4教育行財政制度 5教育改革の国際動向. かくクループは, 「青年期にふさわしい中等教育のあり方」検討を共通の問題意識とし, 特に第二グループを中心に各グループもそれに協力する体制をつくりながら研究会を重ねてきた. そこでは, 戦後中等教育改革の理念と, これまで試みられた各種の中・高一貫教育の実態調査, 新しいタイプの高校づくり, 入試改善にとりくむ各地の高校の実態調査(東京, 埼玉, 愛知, 長崎, 佐賀, 京都, 長野)を行い, 総合選抜制度の社会手機能と今後の動向, 推薦制(宮崎, 長崎)をどう考えたらよいか, 特色ある高校づくりは果して個性の教育に役立っているか, 等の視点から, 教育委員会や教職員組合の見解, PTAの意見等のヒアリングを行った. また, 中・高の接続問題についても, 中学・高校の双方から問題点をとらえようとした. また, 進学・就職指導の実態, 一貫カリキュラムのねらいと, カリキュラム編成上の留意点, 専門教育・職業指導の実態等の資料収集を行い, これらの改善努力が, 青年期の人間発達にとってどのような意味をもつかを検討した. これ迄60, 61, 62年に研究成果を日本教育学会大会で報告した他, 5回に亘る公開シンポジウムに参加しその成果の一端を報告した. 又学会報告の為に提出した研究冊子(「現代社会と学校制度」1984年8月, 「教育改革と教育実践」1987年8月)には本研究の成果の主要なものが表現されている.