著者
瓜谷 郁三 竹内 若子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.306-310, 1990-04-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

石川早生の子いもには時折いわゆる水晶芋が見いだされ,親いもとの接触部位(下部)が半透明の状態を示す.その部位の細胞は高張溶液下で原形質分離を誘起し,上部の細胞と同様に生きているが,デンプン粒を持たず,反対に水分を多量に含み,そのため半透明に見えることを知った.蒸煮後には下部は上部にくらべ余りにも軟らかくなり,水晶芋は栄養・食品上,品質が落ちることがわかった.水晶芋では,デンプン粒の有無から下部と上部の比重差を生じ,水に浸漬すると下部を上にして垂直の姿勢をとるが,健全芋は水中で水平の姿勢をとることを見いだし,これを基にして組織を破壊することなく水晶芋と健全芋を識別する簡便法を提示した.サトイモ畑での生育状況とそこから収穫した子いもの観察から,地上部の生育のわるい畑からの子いもに水晶芋が多く発生することを知った.
著者
大羽 和子 山本 淳子 伊藤 幸子 藤江 歩巳 竹内 若子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.234-240, 2002-05-24
被引用文献数
1

日常, 果実や野菜の褐変防止に食塩が用いられる. 酵素的褐変を触媒するポリフェノールオキシダーゼ (PPO) の活性は食塩により阻害されるといわれている. 本研究では, 市販のりんご果肉, ジャガイモ塊茎, 黒緑豆もやし胚軸の粗酵素液中に複数の異なるPPOアイソザイムが存在することを, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で明らかにした. また各アイソザイムの食塩に対する感受性には若干の差異がみられた. 次に, 食塩によるPPOの阻害様式を明らかにするために, 黒緑豆もやし胚軸からpI 6.7のPPOアイソザイムを硫酸アンモニウム分画, 2種類のカラムクロマトグラフィーにより426倍に精製した. 本酵素は分子量約40kDaのほぼ単一なたんぱく質にまで精製された. 精製酵素のクロロゲン酸 (基質) に対する見かけのKm値は1.3mMであり, 食塩による阻害様式は非拮抗型で, その阻害定数 (Ki) は0.22Mであった.