著者
大羽 和子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.1051-1057, 1988 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1) ジャガイモの総ビタミンC量は春イモ19.3 mg %, 秋イモ18.8mg%であったがイモの貯蔵に伴い減少した.貯蔵1~2ヵ月の間の減少が最も顕著で, 2ヵ月後には収穫時期の半分以下となった.また, 総ビタミン Cの減少と発芽の間に密接な関連はみられなかった.2) ジャガイモをスライスして放置すると, ビタミンC (AsA) 量が増大することを, DNP法, TLC法, 差スペクトル法で明らかにした.総ビタミンC量およびAsA量は2日後に最大となり, 以後減少した.3) 加熱調理に伴うビタミンC量の変化を経時的に追ってみると, オーブン加熱と電子レンジ加熱では, 加熱時間が長くなるにつれてAsA量が減少した.ゆで加熱と蒸し加熱では, 10分以内にAsA量が顕著に減少し, 以後ほぼ一定の値を示した.最適加熱時間で加熱した後の総ビタミンC残存率を比較すると, 電子レンジ加熱が最も高く (96%), ついで蒸し加熱 (67%) とオーブン加熱 (62%) が高く, ゆで加熱が最も低かった (28 %).4) イモをオーブンや電子レンジで加熱するさい, 1個を丸のままで加熱すると総ビタミンCの残存率は高いが, 切断して加熱すると低くなった.5) 市販の冷凍ジャガイモの総ビタミンC量は製品ごとのばらつきが大きく, 4mg%から18mg%のものまであった.夏以前に製造され秋まで保存されたものは全般に総ビタミンC量が少なかったが, 秋以降に製造され, 保存期間が5カ月までのものでは多かった.また, 秋から春にかけて貯蔵される場合には生イモよりも冷凍ジャガイモのほうが総ビタミンC量が多かった.
著者
山内 知子 小出 あつみ 山本 淳子 大羽 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.260-264, 2010 (Released:2014-10-03)
参考文献数
12
被引用文献数
2

本研究の目的は,学生の箸の持ち方の実態を把握し,受けた指導や食事マナーに対する意識との関連を明らかにすることである。写真撮影法により,87名の女子学生の箸の持ち方を分類した。伝統群は60.9%,その他非伝統群は39.1%あり,多くの女子学生が伝統的な持ち方を身につけていないことがわかった。非伝統群の箸の持ち方は6種類に分類できた。伝統群は幼児期から長期にわたり父母の指導を受けており,伝統的な箸の持ち方が習慣化した。一方,非伝統群は指導を受けた時期が遅く,指導期間も短期間であった。幼児期までに伝統的な箸の持ち方を継続的に教育する必要性が示唆された。伝統群は非伝統群より箸の正しい持ち方や家族揃って食事をすることの大切さに関して有意に(p<0.05)意識が高かった。両群ともに伝統的な箸の持ち方を次世代に継承したいと考えていた。
著者
大羽 和子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.p715-721, 1990-08
被引用文献数
8

Contents of total vitamin C (ascorbic acid and dehydroascorbic acid) differed among tissues of the same vegetables, that is, the content of outer leaves of cabbage was higher than that of the inner leaves, the content of younger leaves of lettuce was higher than that of the mature leaves, the content of cotyledon of radish seedlings was higher than that of the epicotyl, the content of cortex of carrot was higher than that of the pith. When cabbage leaves were washed and soaked in water after cutting, vitamin C content was decreased, the loss of vitamin C was higher in the case of those cut into smaller pieces. Vitamin C content of cabbage decreased during storage at room temperature after cutting, but in the roots of carrot, Japanese radish and sweet potato and potato tubers vitamin C contents increased after slicing. The increase in vitamin C contents of potato tubers and sweet potato roots were prominent where ascorbate oxidase activity was not detected. Vitamin C contents of cut-cabbage and -carrot commercially available were lower than those of the fresh vegetables. But the contents of cut-cucumber, -radish seedlings and -lettuce were the same as those of fresh vegetables. Ascorbate oxidase activities of several vegetables were assayed after improving the method for preparation of enzyme extract. Ascorbate oxidase activities of vegetables such as carrot, cabbage and Japanese radish were increased after cutting or slicing. However, neither ascorbate oxidase activity of potato tubers and sweet potato roots was detected in the fresh tissues nor in the sliced discs.
著者
大羽 和子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.715-721, 1990-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
5

(1) 野菜の部位によりVC量が異なり, キャベツでは球の内側菜より外側葉に, レタスでは成熟葉より幼若葉に, カイワレダイコンでは胚軸より子葉に, ニンジンでは髄より皮層に多かった.(2) キャベツを線切りにして水洗すると, 細かくきざむほどVC量の減少が多く, 浸漬したほうが水洗いだけよりVC量の減少が多かった.(3) キャベツを切断し室温に放置するとVC量が減少したが, ニンジン, ダイコン, ジャガイモ, サツマイモを切片にして放置すると総VC量が増加した.総VC量の増加はAAO活性のないイモ類で顕著であった.(4) 市販のサラダ用切断野菜の総VC量は, 新鮮野菜に比べて細かくきざんで販売されるキャベツやニンジンで顕著に少なかった.ニンジンではデヒドロAsAの含量が多くなっていた.しかし, キュウリ, カイワレダイコン, レタス類では差がなかった.(5) AAO活性を測定するにあたり, 他の酸化酵素の影響を少なくするよう酵素の調製方法を改良した.(6) 野菜を切断・放置するとAAO活性が増大した.AAO活性のないイモ類を切断・放置しても活性は現れなかった.
著者
大羽 和子 渡邉 章子 開元 裕美 戸本 綾子 森山 三千江
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.499-504, 2011-10-15 (Released:2011-11-30)
参考文献数
17
被引用文献数
5

(1) 15種類の新鮮野菜のビタミンC (VCと略)量を,正確に分析定量できるHPLCポストカラム誘導体法で測定した.その結果,総VC量に占めるアスコルビン酸(AsAと略)の割合を平均すると92.8%であった. (2)野菜(15種)の調理直後の総VCの残存率は茹で調理品より,炒め·揚げ調理品の方が高かったが,酸化型VC (DHA)の割合も後者で高かった.24時間冷蔵後のAsA残存率の平均値は茹で調理品の方が高い傾向にあった.したがって,調理野菜からVCを効率よく摂るためには,調理直後に食する場合は炒め調理法が,時間をおいて食する場合は煮(茹で)調理法が好ましいといえる. (3)市販惣菜(8品)の総VC量は調理直後の値の半分以下であり,AsA量は約1/4と著しく少なかった.
著者
大羽 和子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.120-124, 1996-05-20
被引用文献数
6

1) 22種類の野菜類のAAO活性を測定した結果、生食用野菜のうち貝割大根に、茎菜類ではセロリーに、根菜類ではニンジンに、果菜類ではキュウリに高い活性が認められた。野菜のビタミンC含量とAAO活性の間には相関性は認められなかった。2) これらの野菜のAAO活性の至適pHは異なり、貝割大根5.15、セロリー5.90、ニンジン6.20、キュウリ6.50であった。3) クエン酸によりどの野菜のAAO活性も阻害されたが、アルファルファやパセリの活性は完全に阻害され,セロリーやニンジシの活性は50%以上阻害されたのに対し、キュウリやカボチャの活性は約15%の阻害であった。 4) 野菜の部位によってAAO活性は異なり、貝割大根では子葉に、セロリーでは茎の中央部と基部に、ニンジンでは地上部側に、キュウリでは中央部に高い活性が認められた。5) ニンジンやキュウリを低温貯蔵すると、AAO活性は徐々に減少したが、貝割大根ではあまり変化なく、セロリーでは3日後に増大した。
著者
森 忠繁 竹岡 清 明石 信爾 大羽 和子
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.589-594, 1976-12-31 (Released:2009-02-17)
参考文献数
9

It is well known that most dust in the lecture room is chalk dust. Dust concentrations were measured at intervals of 3 minutes on a horizontal plane and a vertical plane, after wiping the blackboard for 20 seconds on which many letters were written. Also particle size distributions were measured. The state of dispersing and floating dust in the lecture room can therefore be determined. The results are discussed as a guide to the measurement of dust described in “Requirements for a healthful school environment”.The following results were obtained:1) The dust environment in the lecture room is separated into three sections by dust isoconcentration curves, that is, a position less than 2.5m distant from the blackboard shows the highest dust concentration, and a position farther than 5.0m distant from the blackboard shows the lowest dust concentration.2) Each dust concentration appears similar to a damped oscillation decreasing during 7 to 8 minutes after wiping the blackboard. After this, the dust concentration does not change but shows the floating dust concentration.3) The dust concentration at 10 minutes after wiping the blackboard is almost the same at all heights, but the farther the distance from the blackboard, the lower the concentration of dust.4) All particle sizes of chalk dust are shown to be below 7.0μ diameter (by 1-b) and the greater part are below 5.0μ diameter (by 1-b). The proportion of particles below 0.9μ diameter (by 1-b) shows no change at distances farther than 4 to 5m from the blackboard.5) In order to evaluate correctly the dust environment in the lecture room, dust concentrations should be measured at 10 minutes after wiping the blackboard. Measurements should be taken at more than three positions on the center line of the lecture room, including the teacher's desk, 2.5 to 5.0m distant and more than 5.0m from the blackboard.
著者
渡邉 章子 中根 一恵 今井 克彦 大羽 和子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.179-183, 2013-04-15 (Released:2013-06-04)
参考文献数
26

(1)ダイコンのNO3-は,上部に比べて顕著に下部に局在し,VCはNO3-含量の少ない上部に多く存在した.(2)全施肥窒素量を多く施用されたダイコンほどNO3-含量が多かった.また,施肥窒素量は同量であっても基肥窒素量を控えめにした場合に,NO3-含量が少なく,VC含量が多い傾向がみられたことから,基肥を控えた追肥主体の栽培方法により,NO3-含量の少ないダイコンが生産できる可能性が示唆された.
著者
小出 あつみ 山内 知子 横濱 道成 大羽 和子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.67, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】走鳥類のエミュー卵(E)は、(株)東京農大バイオインダストリーの企画により、どら焼きの皮に使用されているが、食材としての利用はまだ少ない。本研究ではEの起泡性と熱凝固性を中心に調理特性を明らかにし、スポンジケーキへの応用を試みた。【方法】色差は色差計で測定した。卵白と全卵を10分間電動ハンドミキサーで撹拌する間の泡の比重と離水量を経時的に測定した。卵黄と卵白の熱凝固性を55℃~100℃間の5℃間隔でクリープメーターを用いて測定した。鶏卵(K)とE(卵黄/卵白:K割合)でスポンジケーキを調製(卵液150g・砂糖90g・薄力粉90g,焼成温度E:180℃,K:170℃)し,物性の測定と官能検査を行った。【結果】Eの全卵重量はKの9.8倍、濃厚卵白:5.4倍、水溶性卵白:4.7倍、卵黄:18.7倍であった。卵白/卵黄はE卵:1/2.1、K卵:1/0.5と,卵黄割合はEでKの4.2倍であった。卵白及び全卵の泡の比重から,卵白はEで、全卵はKで泡立ちがよかった。泡の安定性はKよりEで高かった。卵黄と卵白の色差L*、a*、b*値はEでKより有意(*p<0.05)に低かった。熱凝固した卵黄と卵白の固さは、KよりEで有意(*p<0.05)に低く、ガム性ではE で有意(*p<0.05)に低く、卵白の凝集性では両者に差はなかったが、卵黄の低温加熱でEの凝集性はKより有意(*p<0.01)に低く、高温加熱でKより有意(*p<0.05)に高かった。Eで調製したスポンジケーキの固さは有意(*p<0.01)にKより高かった。官能検査の味・香り・色・総合ではKで調製したものより有意(*p<0.01)に好まれなかった。
著者
大羽 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.198, 2007

<BR> わが国では近年,食生活の欧米化や栄養バランスの偏りによって,ガンや,循環器系疾患,糖尿病などの生活習慣病が増加し,大きな社会問題になっている。これら生活習慣病の発症は,食べ物や食生活と密接な関連性があることが疫学的にも指摘されて,食による健康維持・疾病予防に関心が高まっている。食品と人体との相互作用を前提として食品の3つの機能(一次機能:栄養的機能、二次機能:嗜好的機能、三次機能:生体調節機能)が提唱されたのは1984年である。その後、この生体調節機能に注目が集まり、日本型食生活が見直されるなか、野菜、大豆、魚、海藻、茶などに含まれる機能性成分の研究が精力的に進められ、その結果、特定保健用食品をはじめ、いわゆる健康食品やサプリメントが開発されてきた。過剰な活性酸素の産生がガンや心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病の発症に深く関わっていることが明らかになってきたからである。野菜などの植物性食材には、高い活性酸素消去能を有するポリフェノールやビタミン(V)C,E,カロテノイドの他、含硫化合物、食物繊維、ミネラルなど,健康維持・増進に必須な成分が多く含まれている。<BR> 生の食材の機能性成分に関する研究は多いが、調理後の食べ物(料理)についての研究例は限られている。調理の仕方しだいで、調理中に分解する物や新しく生成される物などがある。<BR> 本日は、植物性食材の抗酸化機能、ビタミンCを中心に、生の食材に含まれる機能性成分が調理後の食べ物中には無くなっている研究例なども含め、食材の持つ健康増進機能(健康機能と略す)を活かす調理について考えてみたい。<BR><B>1.野菜の貯蔵・生食調理と健康機能成分</B><BR> (1)収穫後の野菜の冷蔵温度はVC残存率に影響を与える。例えば4℃で貯蔵すると2,3日後にVC量が一過的に増大するが、長期間貯蔵する場合はVCの減少が大きい。冷やし過ぎず10~15℃くらいで貯蔵するほうが残存するVC量が多い。(2)野菜の塩漬けはVCの酸化を促進する。(3)生食調理(サラダやジュース)をするときは、VCを酸化するアスコルビン酸オキシダーゼ活性を抑制する塩類や有機酸をうまく使う。<BR><B>2.野菜の加熱調理と健康機能成分</B><BR> <B>(1)加熱の利点:</B>1)ポリフェノール類が溶出され易くなる。2)高温加熱で褐色のメラノイジンが生成されラジカル捕捉活性が増大する。<B>(2)加熱の欠点:</B>1)食材や加熱調理法によってVCの損失割合が異なる。食する時期(調理直後か調理後冷蔵してからか)によって加熱法を変えることが望まれる。2)市販惣菜のVC量は家庭内調理に比べて著しく少ない。3)生鮮食材にラジカル捕捉活性や発ガン抑制効果があっても、加熱で全く効果のない物質に変わる物もある。<BR><B>3.調味料・スパイス・ハーブの健康機能成分の利用</B><BR> (1)日本の伝統的な調味料である味噌、醤油、みりんなどに含まれる種々の健康機能成分をうまく利用する。(2)スパイス・ハーブを使い、食べ物にアクセントをつけ嗜好性を高めるとともに、それらに含まれる機能性成分を利用する<BR><B>4.食材の調理を通して健康増進</B><BR> 実際、"何をどれだけ、どのように食べれば良いのか"について、個々人に対する決まった回答は得られていない。しかし、一人ひとりが健康を維持するためには、健康食品やサプリメントに頼ることなく、生活習慣病予防などの観点から2000年に策定された「健康づくりのための食生活指針」や2005年に策定された「食事バランスガイド」に示されている料理の目安を理解して、野菜を中心に多彩な食材を使い、それに適した調理法で調理し、2人以上で楽しく食事をすることが健康増進に繋がる。取れたての新鮮な食材を使って、自ら家で調理した料理のおいしさと健康機能成分は、中食や外食では十分に得られない。健康維持・増進に欠かせない「調理する」ことに拘り、それを楽しみたい。
著者
森山 三千江 大羽 和子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.38, 2004 (Released:2005-04-02)

目的 スプラウトは年中安定して入手できる野菜でビタミンやミネラル、食物繊維の良い供給源である。ブロッコリーなど新種のスプラウト中のビタミンC(VC)量およびラジカル捕捉活性が従来のスプラウトより高いことをすでに報告した。ポリフェノール含量などの機能性成分量を測定するとともに、近年、リスクファクターとして注目される硝酸量も測定して、様々な角度から、スプラウト類が健康増進によいかどうかを検討することを目的とした。方法 市販および生産農園から直送されたスプラウトを用い、細かく刻んでメタリン酸やリン酸バッファーとともに完全に磨砕し、冷却遠心分離後、上清を試料液とした。試料液を希釈、フィルター濾過した後、イオン交換カラムを用いHPLCで分離し、ビタミンCや硝酸イオンを検出し、検量線より含量を測定した。結果および考察 貝割れ大根のVC量が緑豆もやしの約5倍であったのに対し、硝酸量は緑豆もやしの約60倍と著しく高い値であった。クレソンやレッドキャベツの硝酸量は貝割れ大根の含有量より多く、そばスプラウトの硝酸量の2倍以上であった。豆苗ではVC量が他の新種のスプラウトと同様に高かったが、硝酸量は著しく低かった。VC量では殆ど差は見られなかったブロッコリースプラウト類のうちスーパースプラウトの硝酸量が多かった。また、生産農園によってスプラウトの硝酸量が異なったので、栽培する際の肥料の違いにより硝酸量に影響があると考えられた。ブロッコリースプラウトは抗癌作用も報告されており、VC量、ラジカル捕捉活性も新種のスプラウトの方が従来のスプラウトより高いことから、施肥方法によって硝酸量を低く押さえると、健康増進に良い食品となることが示唆された。
著者
丹羽 悠輝 森山 三千江 大羽 和子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.257-265, 2007

さつまいものビタミンC(VC)量及び1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル捕捉活性は調理直後に減少したが,通常調理品より真空調理品のほうが残存率が高かった。ポリフェノール量では差は見られなかった。VC及びDPPHラジカル捕捉活性は,さつまいもに砂糖を加えると有意に減少が抑制され,大根及び里芋に醤油を加えると減少が促進された。さつまいものDPPHラジカル捕捉活性は主にアスコルビン酸量と相関関係にあり,大根及び里芋は主にポリフェノール量と相関関係にあった。さつまいも及び里芋の官能評価では真空調理品が好まれたが,大根ではテクスチャーが真空調理品より通常調理品のほうが好まれた。
著者
小出 あつみ 山内 知子 武藤 亜有 大羽 和子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.92, 2006

<BR><B>目的:</B>最近、食肉中に存在する抗疲労ジペプチド、アンセリン(Ans)・カルノシン(Car)に抗酸化作用があることと、牛肉・豚肉に比べ鶏肉中に多く含まれることが報告された。本研究は、鶏肉中のAas・Carを有効に活かす貯蔵と加熱調理操作を探ることを目的に実施した。<BR><B>方法:</B>試料は屠殺後32時間以内のブロイラー(B肉)、三河赤鶏(M肉)、名古屋コーチン(K肉)の生肉、貯蔵肉、加熱調理肉を用いた。Ans・Carの含有量比較は、部位別、種類別、貯蔵方法別、加熱調理操作別に行った。加熱は電子レンジ、真空調理、スチーム、フライ、ロースト、ボイルで行った。試料肉を5%スルホサルチル酸溶液で抽出し、Ans・Car含有量を ODS C18カラムHPLC法で測定した。ラジカル捕捉活性は試料肉を80%エタノールで抽出し、DPPH法で測定した。<BR><B> 結果:</B>ジペプチドのAns・Car含有量は生肉、貯蔵肉、加熱肉で、もも肉より胸肉で有意に多かった。これらの含有量比率(生の胸肉⁄もも肉)は、Ansで3.28倍、Carで2.84倍が最大であった。鶏種類別では、Ans・Carともに有意にB肉に多く、K肉で少なかった。胸生肉比較で、AnsではB肉中にK肉の1.16倍、Carで2.15倍と多かった。塊生肉を冷凍貯蔵してもAnc・Car量は変化しなかったが、ミンチ肉にして冷凍貯蔵すると有意に増加した。増加量はB胸肉よりK胸肉で多く、Ancは1.43倍、Carは2.3倍に増加した。加熱調理操作によりAns・Car量は全般に減少したが、B胸肉の真空調理、ボイル(茹で汁含む)で、K胸肉のスチーム、フライでAns量は変化しなかった。
著者
森 忠繁 大本 美彌子 石見 敦子 大羽 和子 明石 信爾
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.399-403, 1976-08-31 (Released:2009-02-17)
参考文献数
14

It is well known that water colours and poster colours are made of inorganic pigments that then contain metals such as Cr, Pb, Fe, Co, Cd, Hg etc.. Recently, promoting the culture of sentiments, children practice painting with their fingers using water colours and poster colours, that is called the finger-painting. It is possible that inorganic metals contained in water colours and poster colours are potentially hazardous to children who practice painting in a private school. Each of four colours of red, blue, yellow and green of water colours and poster colours was analyzed for Cr, Pb, Fe, Co, Cd and Hg. And urinary Pb and Cd were determined on twenty five children, ages 4 to 11 of a private school of the painting and five control children ages 3 to 11. The following results were obtained.1) On the whole, water colours and poster colours contained a large quantity of Fe and Pb next to Fe. Especially yellow-2 of water colours contained a large quantity of Pb and showed 1, 012.5μg/g. The dissolved lead was found in water colours that were in lead tubes.2) The average of urinary Pb of tested children was 6.07±6.67μg/l(n=15), and that of control children 2.20±2.59μg/l(n=5). There were not significant difference at levels of 5% between the mean of subjects and that of the control.3) The average of urinary Cd of subjects was 0.68±0.94μg/l(n=25), and that of the control 0±0μg/l(n=5). There were not significant difference at levels of 5% between the mean of subjects and that of the control.4) The coefficient of correlation between experimental length in years and urinary Pb was 0.98, its regression line being yPb=3.18x+2.17(±2.92) as yPb for urinary Pb and x for experimental length in years.5) The coefficient of correlation between experimental length in years and urinary Cd showed 0.91, its regression line being yCd=0.23x+0.11(±0.25) as yCd for urinary Cd and x for experimental length in years.6) The coefficient of correlation between ages and urinary Pb was 0.10, and that between ages and urinary Cd was 0.72. Urinary Cd was apt to increase in proportion to ages.
著者
藤江 歩巳 久保田 真紀 梅村 芳樹 大羽 和子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.380-389, 2001-11-20
被引用文献数
18

(1) 新鮮ハーブ12種類のVC量は,新鮮重100g当たり45〜170mgであり,ほうれん草の2〜6倍多かった。しかし,DPPHラジカル捕捉活性とVC量の間に相関は認められず(R^2=0.031),DPPHラジカル捕捉活性を説明できる量ではなかった。(2) シソ科ハーブ(10種類)およびセリ科ハーブ(8種類)のDPPHラジカル捕捉活性は,新鮮重100g当たり2,900〜17,500μmolA_sA当量および40〜4,500μmolA_sA当量であった。中でもラジカル捕捉活性の最も高いオレガノにはほうれん草の76倍の活性があった。(3) シソ科ハーブ(9種類)のポリフェノール量は,新鮮重100g当たり3,300〜17,200μmolクロロゲン酸当量および60〜3,600μmolクロロゲン酸当量であった。シソ科のセージのポリフェノール量はほうれん草の44倍であった。(4) 新鮮重100g当たりのDPPHラジカル捕捉活性(μmolA_sA当量)とポリフェノール量(μmolクロロゲン酸当量)の比の平均は1.1であった。DPPHラジカル捕捉活性とポリフェノール量の間には正の相関が認められた。(R^2=0.958) (5) 2%食塩水で茹で加熱した後のDPPHラジカル捕捉活性は生の値の平均1.2倍と増加したが,ポリフェノール量は殆ど変わらなかった。以上の結果,新鮮ハーブのDPPHラジカル捕捉活性は主にポリフェノール成分に起因していることが示唆された。
著者
小出 あつみ 山内 知子 大羽 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.397-404, 2007-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は,貯蔵及び加熱調理後のアンセリン(Ans)とカルノシン(Car)の含有量およびDPPHラジカル捕捉活性の変化を,ブロイラー(B)・三河赤鶏(M)・名古屋コーチン(K)肉を用いて明らかにした。屠鳥後32時間以内の肉に含まれるAnsとCar量は鶏の種類,部位,飼育状態によって異なった。塊状の胸生肉を7日間冷凍貯蔵(-80℃)してもAnsとCar量は変化しなかったが,ミンチ状の肉を冷凍貯蔵し解凍するとAnsとCarの合計量が有意に増加した。BとK胸ミンチ肉を加熱調理した場合,Ans+Car量は真空調理と茹で加熱(茹で汁を含む)後で減少しなかったが,電子レンジ,蒸し,焼きおよび揚げ加熱後で減少した。DPPHラジカル捕捉活性は,B肉の真空調理,蒸し,茹で,揚げ加熱後では減少しなかったが,電子レンジ加熱で有意に減少し,焼き加熱で有意に増加した。K肉はB肉の変化とほぼ類似した傾向であった。
著者
大羽 和子 山本 淳子 伊藤 幸子 藤江 歩巳 竹内 若子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.234-240, 2002-05-24
被引用文献数
1

日常, 果実や野菜の褐変防止に食塩が用いられる. 酵素的褐変を触媒するポリフェノールオキシダーゼ (PPO) の活性は食塩により阻害されるといわれている. 本研究では, 市販のりんご果肉, ジャガイモ塊茎, 黒緑豆もやし胚軸の粗酵素液中に複数の異なるPPOアイソザイムが存在することを, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で明らかにした. また各アイソザイムの食塩に対する感受性には若干の差異がみられた. 次に, 食塩によるPPOの阻害様式を明らかにするために, 黒緑豆もやし胚軸からpI 6.7のPPOアイソザイムを硫酸アンモニウム分画, 2種類のカラムクロマトグラフィーにより426倍に精製した. 本酵素は分子量約40kDaのほぼ単一なたんぱく質にまで精製された. 精製酵素のクロロゲン酸 (基質) に対する見かけのKm値は1.3mMであり, 食塩による阻害様式は非拮抗型で, その阻害定数 (Ki) は0.22Mであった.
著者
大羽 和子 山本 淳子 舟橋 由美 小原 明子 石井 現相 梅村 芳樹
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.102-108, 1999-05-20
被引用文献数
3

1)キタアカリ(VC高含有品種)および男爵薯の生育に伴って,塊茎の重量,デンプン価,ビタミンC(VC)量が増大し,7月下旬に最大になり以後減少した。2)ジャガイモ(7品種)塊茎を冷却(4℃)貯蔵するとVC量も(GLDHase活性も1ヶ月後に顕著に減少し,1〜2ヶ月の間は変が少なく,2〜3ヶ月後に再び減少した。3ヶ月後のVC量が著しく減少する時期および貯蔵2ヶ月以降のVC含量の低い時期に高くなった。3)収穫直後に塊茎を4℃に移すとその2〜3日後にVC量およびGLDHase活性が増大し,以後減少した。4)ジャガイモ塊茎を15℃に貯蔵した方が,4℃に貯蔵した場合よりもVC量の減少が小さく,GLDHase活性は低く保たれた。