著者
竹谷 純一 宇野 真由美 山本 貴 中澤 康浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、溶液を塗布する簡便かつ低コストの製造プロセスによって、アモルファスシリコンの 5-10 倍もの性能を実現する画期的な次世代エレクトロニクス材料である有機単結晶界面において、その機能の源である界面の微視的電子状態を、精密な電子伝導特性や精密分光測定などの高度な計測手法によって徹底解明することと、その結果によってデバイスの更なる高性能・高機能化を実現することを計画した。その結果、新しい有機半導体材料をした上で、溶液からの結晶化により 16 cm2/Vs もの移動度を実現するとともに、移動度と密接にかかわる電荷のコヒーレンスが、分子揺らぎと相関する効果を見出し、分光法の結果ともコンシステントな統一的理解を得た。また、圧力効果の実験手法を確立し、分子構造の連続的な変化に対応した、二次元電子伝導の異常な圧力効果を検出した。
著者
竹谷 純一 宇野 真由美 山口 茂弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

有機半導体の単結晶フィルムを基板に「貼り合わせる」独自の方法を見出し、これまでにない高性能の有機トランジスタを実現した。また、本デバイスのホール効果測定の手法を開発して、界面でのキャリアの伝導の機構がバンド伝導的であることを明らかにした。さらに、液相から単結晶を広い面積にわたって基板に展開する溶液プロセスを開発し、本研究の桁違いに高い性能の有機単結晶トランジスタを実用化する方策を示した。
著者
岩佐 義宏 竹延 大志 下谷 秀和 笠原 裕一 竹谷 純一 田口 康二郎
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

有機半導体-絶縁体界面、有機半導体-電極金属界面のナノスケール制御によって、(1)有機半導体最高のキャリア易動度の実現、(2)有機トランジスタ初の、ホール効果の測定、(3)有機単結晶を用いた両極性発光トランジスタの実現、(4)電気二重層トランジスタによる世界最高の横伝導度の達成、など有機トランジスタの高性能化、新機能発現に貢献する4つの顕著な成果を上げた。
著者
西川 尚男 竹谷 純一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、研究代表者らが見出した極薄の絶縁層を「転写」により形成する手法をもとに、極めて低い入力電圧によって高い電界強度を達成し、高密度のキャリア注入を可能にする有機トランジスタを開発することを目的とした。特に、本手法を研究分担者らが開発した高移動度の有機単結晶トランジスタの技術と組み合わせることによって、極めて低消費電力かつ高移動度のフレキシブルな有機単結晶トランジスタを得ることを目指した。これまでの研究の結果として、以前は困難であった5nm程度の極薄絶縁膜を再現性よく構築するために、自己組織化単分子膜をコートする手法が有用であることを明らかにしたため、まず、極薄のアルミナ絶縁膜の作成手法を確立したことをあげる。次に、実際にルブレン有機単結晶を「貼り合わせる」独自の技術によって、低電圧デバイスとしては極めて高い2cm^2/Vs程度の移動度を実現し、低消費電力の有機単結晶トランジスタを開発した。さらに、プラスティック基板上にも同様の手法を用いて有機トランジスタを作製できることを示し、本研究の目標に到達することができた。加えて、極薄絶縁膜の利用によって、通常の絶縁膜では得られない高電界の印加が可能となったため、有機半導体分子あたり10%以上のキャリアドーピングが可能になったことにより、分子内の電子一電子反発による電界効果の異常を観測し、ルブレン有機単結晶表面が、電子物性研究の魅力的な舞台となっていることを示した。