- 著者
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山本 貴史
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.3, pp.205-209, 2016 (Released:2016-03-01)
- 被引用文献数
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1
国立大学が法人化されて11年が経過した.近年の科学技術政策では,度々基礎研究の重点化に加え,イノベーションの実現が大きなテーマとして取り上げられる.では,イノベーションとは何か? イノベーションの定義には,シュンペーターの創造的破壊,技術革新,経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)による定義など様々な見解があるが,マサチューセッツ工科大学のWilliam Aulet教授は,シンプルにイノベーション=インベンション(発明)ではなく,イノベーション=インベンション×コマーシャライゼーションであると定義しており,つまりイノベーションは「価値」であると言及している.このように考えると,とてもシンプルである.つまり,イノベーション立国を実現するには,質の高いインベンション(発明)を数多く生み出し,これを事業化できる環境を整備すれば良いということである.我が国における産学連携活動は,1998年の技術移転機関(Technology Licensing Organization:TLO)法案,2003年知財本部整備事業,2004年の国立大学法人化と様々な施策が講じられ活発化しつつあるが,今回は,発明が生まれて事業化されるまでの一連の流れを示し,我が国がイノベーション立国になるために求められる様々な施策について言及したい.