著者
加茂 泰広 田島 和昌 小田 英俊 木下 昇 富永 雅也 山本 美保子 米満 伸久 竹島 史直 中尾 一彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.1219-1224, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
17

症例は79歳女性.食欲不振から全身状態悪化し当院救急搬送.精査の結果糖尿病性ケトアシドーシスの診断となり当院入院となった.治療経過中に腹部膨満感出現,腹部CTにて結腸の拡張を認め下部消化管内視鏡検査にて結腸全体の多彩な潰瘍性病変を認め,腸管サイトメガロウイルス(CMV)感染症の診断となり,ガンシクロビルによる加療を開始した.その後症状は速やかに改善,治癒となったがその後便秘症状が出現し,下部消化管内視鏡検査にてS状結腸にスコープ通過不能な狭窄を認めた.腸管CMV感染症治癒後瘢痕による消化管狭窄と診断,狭窄解除目的に内視鏡的バルーン拡張術(EBD)を施行,術後経過良好で現在再発なく経過している.
著者
森野 茂行 重政 有 羽田野 和彦 碇 秀樹 清水 輝久 菅村 洋治 國崎 忠臣 米満 伸久
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1693-1697, 2002-11-01
参考文献数
11
被引用文献数
9

症例は23歳の女性.平成13年7月4日より腹痛嘔吐が出現し7月7日当院を受診した.触診上,左下腹部に圧痛を伴った鶏卵大腫瘤を触知した.腹部エコー,CT検査において左下腹部にターゲットサインを認め,また上部小腸の拡張を認めた.小腸重積症の診断で高圧注腸を試みたが,整復が困難であったため緊急手術を行った.回腸末端部より90cm口側の回腸が約15cmにわたって重積を起こしており,約40cmの回腸を切除した.重積回腸先進部の粘膜面に径約3cmの腫瘍を認めた.病理組織学的には,粘膜下組織と筋層内に平滑筋組織と混在する導管構造を認め,迷入膵Heinrich分類III型と診断した.迷入膵は胃,十二指腸,空腸などの膵の近傍に好発する疾患で,回腸に発生することは比較的まれである.回腸迷入膵は腸重積を引き起こし発症することが多く,高圧注腸による整復が困難で腸切除を余儀なくされることが多い.発生部位は回腸末端部より100cmまでの下部回腸に好発する.
著者
森 英恭 小森 政嗣 藤崎 雅史 中村 晃二 安芸 雅史 桑原 守正 藤崎 伸太 藤崎 大整 米満 伸久
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.711-716, 2009-09-28

症例は57歳,男性.腎硬化症に伴う末期腎不全にて2000年5月に血液透析が導入された.2008年1月,経過観察中のCTにて左腎に造影効果のある嚢胞性腫瘤を認め,後天性嚢胞腎に発生した腎癌の可能性が高いと診断し,同年2月22日,後腹膜鏡下左腎摘除術を施行した.摘出組織の病理診断はAcquired cystic disease-associated eosinophilic renal cell tumorであり,その組織学的特徴は大型の好酸性細胞が充実性に増殖し,シュウ酸カルシウムの沈着を認めるという従来の腎癌の組織分類に当てはまらないものであった.