著者
小森 政嗣 長岡 千賀
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-9, 2010-08-30 (Released:2010-12-08)
参考文献数
25
被引用文献数
6 4

本研究では,初回の心理臨床面接におけるクライエントとカウンセラーの対話の映像を解析し,2者の身体動作の関係を分析した.心理面接として高く評価された二つの事例(高評価群)と,高い評価が得られなかった二つの事例(低評価群)を含む,50分間のカウンセリング対話4事例の映像を分析した.加えて,高校教諭と高評価群のクライエントの間の,50分間の日常的な悩み相談2事例を分析した.すべての対話はロールプレイであった.各実験参加者の身体動作の大きさの時系列的変化を映像解析によって測定し,クライエントとカウンセラー/教諭の身体動作の時間的関係を移動相互相関分析により検討した.結果から,(1)カウンセラーの身体動作はクライエントの身体動作の約0.5秒後に起こる傾向があり,かつその傾向は50分間一貫していること,(2)この傾向は高評価群において特に顕著であること,(3)この傾向は悩み相談の2事例では確認されず,高校教師による悩み相談2事例の間で共通した傾向は認められないことが示された.
著者
三浦 麻子 小森 政嗣 松村 真宏 前田 和甫
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.102-111, 2015 (Released:2015-06-25)
参考文献数
32
被引用文献数
4 17

In this article, we investigated the expression of emotional responses to the 2011 Great East Japan Earthquake by analyzing the frequency of negative emotional terms in tweets posted on Twitter, one of the most popular social media platforms. We focused on differences in time-series variations and diurnal changes between two kinds of disasters: natural disasters (earthquakes and tsunamis) and nuclear accidents. The number of tweets containing negative emotional responses increased sharply shortly after the first huge earthquake and decreased over time, whereas tweets about nuclear accidents showed no correlation with elapsed time. Expressions of anxiety about natural disasters had a circadian rhythm, with a peak at midnight, whereas expressions of anger about the nuclear accident were highly sensitive to critical events related to the accident. These findings were discussed in terms of similarities and differences compared to earlier studies on emotional responses in social media.
著者
三浦 麻子 小森 政嗣 松村 真宏 前田 和甫
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.86.13076, (Released:2015-03-10)
参考文献数
32
被引用文献数
4 17

In this article, we investigated the expression of emotional responses to the 2011 Great East Japan Earthquake by analyzing the frequency of negative emotional terms in tweets posted on Twitter, one of the most popular social media platforms. We focused on differences in time-series variations and diurnal changes between two kinds of disasters: natural disasters (earthquakes and tsunamis) and nuclear accidents. The number of tweets containing negative emotional responses increased sharply shortly after the first huge earthquake and decreased over time, whereas tweets about nuclear accidents showed no correlation with elapsed time. Expressions of anxiety about natural disasters had a circadian rhythm, with a peak at midnight, whereas expressions of anger about the nuclear accident were highly sensitive to critical events related to the accident. These findings were discussed in terms of similarities and differences compared to earlier studies on emotional responses in social media.
著者
三浦 麻子 鳥海 不二夫 小森 政嗣 松村 真宏 平石 界
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.NFC-A_1-9, 2016-01-06 (Released:2016-01-08)
参考文献数
27
被引用文献数
8

In this article, we investigate “retweeting in Twitter” or information transfer behavior in social media to figure out some characteristics of our information processing behavior in emergency situation from social psychological perspective. We made an exploratory log analysis of Twitter focusing on the relationship between diffusion of disaster information and user's emotional response on them. Disaster-related tweets which were retweeted over 10 times around the time of the Great East Japan Earthquake were extracted and emotional words in them were categorized and counted. Frequently retweeted tweets tended to include more negative (anxious or angry) or active emotional words than positive or inactive words. As results of multiple and quantile regression analyses, negative (especially anxious) or active emotional words in tweets had a significant effect on the increase of retweeting regardless of a kind of disasters. The results were discussed in terms of the difference with those based on common tweets.
著者
入戸野 宏 小森 政嗣 金井 嘉宏 井原 なみは
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

“かわいい(kawaii)”は日常生活でよく使われる言葉であり,日本のポップカルチャーの代表ともいわれる。本研究では,“かわいい”を対象の属性ではなく,対象に接することで生じる感情であると捉え,その性質と機能について質問紙調査と実験室実験を用いて検討した。その結果,“かわいい”は,好ましい人やモノを“見まもりたい”“一緒にいたい”という接近動機づけに関連した社会的なポジティブ感情であり,主観・生理・行動の3側面に影響を与えることが明らかになった。
著者
佐倉 統 平石 界 池田 功毅 中西 大輔 横田 晋大 三浦 麻子 小森 政嗣 松村 真宏 林 香里 武田 徹 水島 希
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

放射線リスクの認知特性と社会内拡散動態を明らかにし、風評被害や差別の抑制に貢献することが目的である。個人の認知的特性を対象とする行動免疫班の実験は、放射線リスクに対する忌避感情が当初の予想より強固で制御困難であることを明らかにした。放射線リスク関連情報のツイッターでの動態を解明するソーシャルメディア班は、放射線についての否定的感情が強力であり、他の災害リスクと異なる拡散パターンを確認した。抑圧的でないリスク管理の方途を考察する社会実装班は、感染症などの過去の風評被害や差別の事例との比較分析やメディア論的考察をおこなった。研究遂行および成果発表は福島の研究者や生活者と共有することを心がけた。
著者
小森 政嗣 長岡 千賀
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-9, 2010
被引用文献数
1 4

本研究では,初回の心理臨床面接におけるクライエントとカウンセラーの対話の映像を解析し,2者の身体動作の関係を分析した.心理面接として高く評価された二つの事例(高評価群)と,高い評価が得られなかった二つの事例(低評価群)を含む,50分間のカウンセリング対話4事例の映像を分析した.加えて,高校教諭と高評価群のクライエントの間の,50分間の日常的な悩み相談2事例を分析した.すべての対話はロールプレイであった.各実験参加者の身体動作の大きさの時系列的変化を映像解析によって測定し,クライエントとカウンセラー/教諭の身体動作の時間的関係を移動相互相関分析により検討した.結果から,(1)カウンセラーの身体動作はクライエントの身体動作の約0.5秒後に起こる傾向があり,かつその傾向は50分間一貫していること,(2)この傾向は高評価群において特に顕著であること,(3)この傾向は悩み相談の2事例では確認されず,高校教師による悩み相談2事例の間で共通した傾向は認められないことが示された.
著者
城下 慧人 小森 政嗣 横山 卓未
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.53-62, 2022-02-25 (Released:2022-02-25)
参考文献数
14

This study aimed to estimate psychological utility functions that convert product design into impressions using preference learning methodology, and to construct product shapes that match product concepts based on the estimated functions. Using Elliptic Fourier descriptors (EFDs), we converted the contours of 26 shampoo bottle shapes into Fourier coefficients and performed a Principal Component Analysis (PCA) on the coefficients to construct shape space. Twelve persons participated in five experimental sessions corresponding to five different product concepts. For each session, participants were presented with a pair of randomly generated images of shampoo bottles from the shape space. They were asked to choose the one that matched a given product concept for 100 trials. The bottle shapes conforming to the product concepts were synthesized based on the average utility functions estimated by using Gaussian process preference learning. The synthesized bottle shapes were assessed to determine if they conveyed the intended product concepts. The results suggested that our approach is an effective way to reflect the product concept in the shape design.
著者
小森 政嗣 前田 和甫 三浦 麻子 松村 真宏
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.277-284, 2014-11-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
20

Rumors can easily spread on the microblogging service Twitter in the form of retweets, which are tweets that a user has forwarded to his/her followers. This study investigated the social network characteristics of Twitter users who retweeted rumors concerning the Great East Japan Earthquake. We targeted not only the users who spread the rumor that was delivered to their timeline but also those who did not retweet the rumor. Moreover, we investigated each personal network of the user and his/her followings and followers on Twitter, including the set of connections between them. Consequently, we found that the users who spread the rumors are characterized by lower centrality (lower degree and betweenness) and lower reciprocity (fewer mutual follow relationships).
著者
前田 和甫 大西 佳太郎 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.113-118, 2013-01-17

舞踊における動作を、幾何学的形態測定学、および拡張主成分分析の一種である3相PARAFAC(Parallel Factor Analysls)を組み合わせることで解析することを試みた。幾何学的形態測定学は標識点座標を統計解析が容易な正規分布する値に変換する手法である。この手法を用いて、3名の動作者が同じダンスを踊っている際の3次元標識点座標の時系列データを規格化した。規格化されたデータは3相データと見なすことが出来る(すなわち、時系列、標識点、動作者の3相)。この3相データから舞踊動作の因子を抽出するためPARAFACによる分析を行った結果、舞踊の個人特徴に関わる因子が見いだされた。
著者
長岡 千賀 小森 政嗣 桑原 知子 吉川 左紀子 大山 泰宏 渡部 幹 畑中 千紘
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.188-197, 2011

本研究は,心理カウンセリングの対話における,カウンセラーがクライエントを望ましい変化へと導くそのプロセスを明らかにするための予備的研究である.長岡・小森(2009)では熟達したカウンセラーが施行した50分間の模擬カウンセリングを収録し,クライエントとカウンセラーの身体動作の同調性,カウンセラーの発話冒頭形式(発話の最初に相槌的表現がついている,など)およびクライエントの長い沈黙に関して定量的分析を行った.その結果,身体動作の同調性は,カウンセラーの発話冒頭形式の時系列的変化,ないしクライエントの沈黙の出現にほぼ同期して変化していたことが示された.本研究ではこれを踏まえ,非言語行動の変化の直前に焦点を置き,その際のクライエントとカウンセラーの発話内容に対する臨床心理学の熟達者による解釈,ならびにクライエントやカウンセラー本人にカウンセリング映像を見せながら報告させた内観を分析した.結果から,非言語行動が変化するのと対応して,クライエントとカウンセラーに心理的変化が生じていることが示された.クライエントの心理的変化に関わるカウンセラーの技能について議論した.
著者
松村 真宏 三浦 麻子 小森 政嗣 平石 界
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

東日本大震災の際、情報を得るためのインフラとして活用されたツイッターは、他メディアに流れた情報を共有する「メタメディア」としても機能していた。震災関連情報の中には真偽の明確でない情報、悪質なデマ、賛否の分かれる事柄など、議論や論争を呼び起こすものが多かった。本稿では、ツイートログを対象として、メディアが誘発した投稿者の感情を分析し、メディアが投稿者の心理的な側面に及ぼした影響について探る。
著者
川村 智 小森 政嗣
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第7回大会
巻号頁・発行日
pp.111, 2009 (Released:2009-12-18)

顔の魅力評定については、集団の平均的な顔に近いものが魅力的であると評価されるとする平均仮説と、左右が対称に近いものが魅力的であると評価されるとする対称性仮説がある。本研究では、男女それぞれ48枚の顔写真について80の形態的特徴点座標を、顔の形態分析のためのデータとするとともに、この座標データから魅力評定実験のための線画を作成した。座標データは、Moophometricsの手法を用いて標準化した。この方法によって変換されたデータでは、特徴点の分布が多次元正規分布になり、従来のような特定の部位関係、例えば両眼の間隔など、を基準とする標準化において基準点から遠い特徴点の寄与が大きくなるという問題を削減できる利点がある。また、魅力の評定実験では、精度を高めるため、実験協力者に一対比較を行ってもらった。測定された平均性と左右対称性を独立変数とし、評定された魅力を従属変数とする順位回帰分析を行った。
著者
城下 慧人 小森 政嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4F3OS25b04, 2020 (Released:2020-06-19)

毒を持つ生物は,しばしば特徴的な配色を持つことが知られており,これは警告色または危険色と呼ばれる.警告色は,捕食者に対して自らが害を及ぼす存在であることを警告する役割を持っていると言われる.本研究では,2色の配色(6次元のパラメータとなる)とその配色の気持ち悪さ評価の関係を表す心理物理関数を,未知の関数の推定をする大域的逐次最適化手法の1つであるベイズ最適化(Bayesian Optimization)により検討し,人が気持ち悪いと感じる生物の配色の特徴を探索的に検討した.一般的なベイズ最適化の適用事例とは異なり,気持ち悪さ評価をする際,人は離散的な応答しか行えない.そこで,本研究では離散的な応答(リッカート尺度に対する回答)に基づく推定を行うことができるガウス過程順序回帰を用いたベイズ最適化を行った.生物の配色の検討は,クモとキノコを対象とした.20名の実験参加者はモニタに提示された生物画像の気持ち悪さを7件法で回答した.ガウス過程順序回帰の結果をもとに,すべての実験参加者が平均的に気持ち悪いと感じる配色の特徴をピーク検出手法により明らかにした.