- 著者
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粂 和彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児神経学会
- 雑誌
- 脳と発達 (ISSN:00290831)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.4, pp.247-252, 2006-07-01 (Released:2011-12-12)
- 参考文献数
- 21
概日周期生物時計は, 植物から動物に至るまで普遍的に存在する.近年, その時計遺伝子が次々に単離され, 生物時計の発振機構が, 分子生物学レベルでほぼ解明された.その結果, 時計遺伝子の転写量がネガティブフィードバックループで制御されるという機構が, 全ての生物で保存され, 哺乳類と昆虫の間で, 時計遺伝子の核酸レベルでの相似性も発見された.一方, 概日周期は, 人間の睡眠覚醒リズムを制御するが, 睡眠に似た行動は昆虫でも認められ, その制御において, 哺乳類と同じドーパミンが使われることが判明し, 分子機構の解明が期待されている.本稿では, 生物時計の基礎, 睡眠との関係, 分子生物学, 臨床的意義について概観する.