著者
絹巻 康史
出版者
拓殖大学
雑誌
経営経理研究 (ISSN:02878836)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.19-42, 2003-02-15

国際ビジネスやグローバル・エコノミーを論ずる際に,安易に「グローバル化」とか「グローバル・スタンダード」と云う言葉が使われている。言葉の定義付けないし概念規定を行わないままに,それらの言葉を使用することは論述の曖昧さに繋がり,社会科学としての存在理由が問われる。本橋では「グローバル・スタンダード」の意義を,その形成面と機能面から考察し,その結果として規範概念と事実概念とに分けて規定することで,実践と理論の分野に神益しようとするものである。
著者
松村 洋平 永田 均 絹巻 康史 山邑 陽一 酒井 甫
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.55, pp.111-114, 2007-06-29

今日、ガバナンス問題、コンプライアンス問題、合併・買収問題など経営と法律がクロスオーバーする現象や事態が企業の周辺に頻繁に起こっている。従来、これらの問題について経営学の立場から、あるいは法学の立場からのみ、アプローチがなされてきた。実務界においても、経営法務や企業法務の出番は経営行動の事故処理・事後処理にあり、戦略的問題として、法学的見地からあらゆる事態を想定して先んじて手を打つ、といったように経営者の意思決定に法学的な要素を積極的に取り入れることは難しいかったように思える。また、研究や教育においても、経営学では法律の知識や経験を経営資源と考えることはせず、法学では意思決定の結果に対する事後処理となる紛争法務がクローズアップされる傾向にある。そして、なによりも経営学と法学には大きな溝がある。実務の世界で次から次へと発生する経営と法律がクロスオーバーする現象や事態について、経営学者と法学者が協力して、分析し、解釈し、理論構築にアプローチしていくことが求められるだろう。
著者
絹巻 康史
出版者
拓殖大学
雑誌
経営経理研究 (ISSN:02878836)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.1-30, 2001-12-30

国際商取引が多様化, 大型化, 長期化するにつれて, 契約を伝統的な典型契約の枠にはめ込むことが不適切となった。経済的(商的)合理性と法的正義の一体的な実現を可能とする契約観が必要とされ, lex mercatoriaの重要性が増した。lex mercatoriaは, 国際商取引の当事者が繰り返し反復する取引慣習から生み出された説得性の高いルールである。それらをリステイト(restate)したものがユニドロワ国際商事契約原則である。この原則の適用事例を合理的なADRとされる商事仲裁に求め, 新しい契約法の流れを考察する。