著者
織田 裕行 片上 哲也 山田 妃沙子
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.783-787, 2011-08
被引用文献数
1
著者
織田 裕行 中森 靖 木下 利彦 池田 俊一郎
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

「自殺企図男性のLOH(Late-Onset Hypogonadism)症候群に関する検証」の課題名で、関西医科大学総合医療センター倫理審査委員会に申請し、2017年9月19日に承認を得て本研究を継続してきた。その内容は、救命救急センターに自殺企図で搬入された男性のテストステロン値を測定し、日本において自殺率が最も高い年齢層である50歳代男性の自殺企図と加齢男性性腺機能低下症候群(Late-Onset Hypogonadism:LOH症候群)との関係を検証することにある。具体的には、救命救急センターに搬入された男性自殺企図者を対象として、総テストステロン値、遊離テストステロン値を測定すること、その検査結果と本人や家族から得た情報を踏まえLOH症候群による影響を検証する予定であった。しかし、予期できない研究環境の変化が生じた。そのため、現状の中で「自殺企図男性のLOH(Late-Onset Hypogonadism)症候群に関する検証」が達成できる方策を再度検討した。その結果、「自殺企図男性のホルモン値に関する検討」として関西医科大学総合医療センター倫理審査委員会に申請し、2019年7月23日に承認を得て救命救急センターに搬入された男性自殺企図者を対象とした総テストステロン値の調査を実施することとした。2021年度には、第40回日本性科学会学術集会において、「男性自殺企図者に対するホルモン値調査の結果報告 -男性ホルモンと甲状腺ホルモンの比較-」として一部報告を行った。さらに検討を加え、日本性科学会雑誌に投稿中である。
著者
吉野 真紀 織田 裕行 木下 利彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、性同一性障害(以下、GID)当事者を対象とし、治療前と治療を経て概ね望む性別での生活を実現した時点とを比較することにより、当事者の自己実現のあり方及び心理的変化を明らかにすることである。対象者として、GID包括医療を求めて受診し、初診時及び治療経過後の心理検査データを入手した。主観的変化を調べる資料として2018年度までに対象者5名への半構造化面接を終了し、テキストデータにおとした。残り1名については、連絡がとれないため、半構造化面接の実施を断念した。半構造化面接の分析の参考とするため、またGID当事者のライフステージごとの課題や状況等を知るため、各種学会や研修会(GID学会研究大会、日本ユング学会、日本心理臨床学会、日本青年期精神療法学会総会、等)に参加し、専門的知識の教授を受けた。当事者ひとりひとりの自己実現過程について学びを深めるため、当事者会への参加やジェンダー外来担当者との打ち合わせ等を通して自己研鑽に努めた。また、本研究を含めた学びの内容について、講演活動(研修講師)を務める中で伝えることに尽力した(名古屋市教育委員会等)。現在、心理検査データの量的分析の試行、研究協力者と半構造化面接の分析および考察の作業を進めている。※性同一性障害(GID)という診断名はDSM-5への改定に伴い性別違和(GD)に変更されているが、対象者の診断確定時点ではGIDであったため、本研究の関連書類において必要箇所ではGIDという用語を使用する。
著者
丹羽 幸司 織田 裕行 石井 慧 康 純 諸富 公昭 磯貝 典孝
出版者
近畿大学医学会
雑誌
近畿大学医学雑誌 = Medical Journal of Kindai University (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1-2, pp.9-15, 2019-06-19

[抄録]性同一性障害(Gender Identity Disorder, GID)は,Female to Male(FTM)と Male to Female(MTF)に大別される.MTF患者に手術治療を行う場合,その精神医学的な特性から,医療側として特別な対応が必要と考えられる.ロールシャッハ・テストに基づく分析によれば,MTFは,FTMに比較して情緒的に不安定であり,悲観的な自己イメージ,逸脱した思考を持つ傾向にあることがうかがわれる.このMTFの精神医学的な特性を鑑み,手術適応の判断においては慎重な医療体制を整える必要があると考える.日本精神神経学会の「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」に則した身体治療適応判定会議で手術治療の承認が得られている患者であっても,GIDに精通した精神科医の外来診察を設けて検討し,場合によっては身体的治療を行う前に精神療法を行うことが重要であると考えられる.そのうえで身体治療医から十分過ぎるインフォームドコンセントを行い,それでもなお手術治療を受けたいと希望する患者を受け入れるべきである.GID患者を受け入れるに際して,特にMTF患者の望ましくない特性を引き出すことのないように,きめの細かい病院対応が求められる.加えて,身体治療を行う医師,特に外科医としての心構えを考え続けたい.