著者
井上 高光 大山 力 羽渕 友則
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.415-420, 2009 (Released:2009-10-30)
参考文献数
25

初診時前立腺がんの約80~90%はアンドロゲン依存性の性質を示す.転移を有する前立腺がん患者に対しては,根治を目指す前立腺全摘術や放射線療法よりもホルモン療法が通常選択される.前立腺がんにおけるホルモン療法の目的は,アンドロゲン受容体へのシグナルを減少させ腫瘍を縮小させるところにある.現在本邦では,外科的去勢術(両側精巣摘除),LH-RHアゴニスト,抗アンドロゲン剤,グルココルチコイドを組み合わせてホルモン療法が行われているが,そのうち特にDDSに関わる事項として,LH-RHアゴニスト徐放製剤の開発について詳説する.この製剤は,精神的身体的負担を伴う精巣摘除術なしに去勢を可能とした.
著者
土谷 順彦 羽渕 友則
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.134-142, 2010 (Released:2010-06-15)
参考文献数
16
被引用文献数
2

進行性腎細胞がんに対する治療は,免疫療法から分子標的薬へと大きな転換期を迎えている.腎細胞がんにおける分子標的薬の作用機序は,主として血管新生の阻害であり,チロシンキナーゼ阻害薬,mTOR阻害薬,抗VEGF抗体が使用されている.分子標的薬は強力な抗腫瘍効果を示す一方,薬剤ごとに異なる副作用のスペクトルを有し,ときに予期せぬ重篤な副作用を引き起こす.これらの薬剤の効果を最大限に引き出すには,多職種にわたるチーム医療がこれまで以上に重要になってくる.
著者
梶田 洋一郎 羽渕 友則 賀本 敏行 奥野 博 寺井 章人 筧 善行 寺地 敏郎 小川 修 吉田 修
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.711-714, 2000-10

1)Sheldonらの分類でstage IIIA迄の尿膜管癌の初回手術として,臍・尿膜管全摘除術を加えた膀胱部分切除術にて長期の生存,膀胱温存が得られる可能性が示唆された.2)CEAは患者血清4例中2例,尿膜管癌組織5例中5例で陽性であり,尿膜管癌の腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された.3)p53は尿膜管癌組織5例中4例で陽性であったが,stageや予後との相関は認められなかった