著者
羽角 博康
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.25-39, 2001-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

海洋大循環モデルが実用化されてから30年ほどが経過し, 多くの人々によって全球規模の海洋モデリングが行なわれるようになった。観測が困難な深層海洋の循環を再現してその物理的メカニズムを探るという目的において, あるいは海洋の変動予測という目的において, 海洋大循環モデリングの重要性はますます高まっている。一方, それらの目的に対して満足のいくモデリングという意味ではいまだにいくつもの問題が存在する。そこで, 現在の海洋大循環モデリングが抱える問題点をまとめ, 今後いかなる点に関しての発展が求められているかを概説する。
著者
安田 一郎 羽角 博康 小松 幸生 西岡 純 渡辺 豊 中塚 武 伊藤 幸彦 建部 洋晶 勝又 勝郎 中村 知裕 広江 豊 長船 哲史 田中 祐希 池谷 透 西川 悠 友定 彰
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

千島列島やアリューシャン列島海峡域において、中深層に及ぶ通常の数千倍の乱流鉛直混合の存在を、観測によって実証した。この大きな潮汐鉛直混合は、鉄や栄養塩等の物質循環を通じて、親潮など北太平洋亜寒帯海域の海洋生態系に大きな影響を与える。さらにその潮汐混合が18.6年周期で変動することによって生じる海洋変動が、日本東方海面水温とアリューシャン低気圧等の大気海洋相互作用を通じて増幅し、太平洋規模の気候・海洋の約20年変動に影響することが、観測・モデルの両面から明らかとなった。