著者
塩出 大輔 深谷 陽介 胡 夫祥 東海 正 中畑 勝見 中野 秀樹
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.187-193, 2009
参考文献数
16

ジンベエザメは、全長20mにも達する世界最大の魚類である。本種は、プランクトン食の大型板鰓類の一種であるものの、他にも甲殻類、魚卵、群れをなす表層性浮魚類や比較的大型の魚類まで補食する。本種の資源動向や保護政策に対する関心は非常に高く、対象漁業による漁獲の影響の受けやすさや再生産率の低さ等を理由として、本種は1997年にIUCN(国際自然保護連合)において危急種に指定され、またCITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)では2002年に附属書IIに掲載された。ジンベエザメは全世界の熱帯および温帯に分布し、沿岸から外洋まで広く回遊すると考えられている。しかし、本種の詳細な分布域、移動回遊の距離や経路、生息深度については不明な点が多い。そのため、移動経路や分布に関する詳細な知見が必要とされている。近年、海洋動物の移動経路把握を目的として、アルゴス衛星システムを利用した衛星電波発信機による行動追跡が盛んに行われている。我が国では、(独)水産総合研究センターにより希少大型サメ類の回遊追跡試験が実施され、ジンベエザメもその対象種の一つとして、アルゴス衛星システムを用いた移動追跡が試みられている。
著者
東海 正 胡 夫祥 塩出 大輔 内田 圭一 荒川 久幸
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、海洋におけるマイクロプラスチック(MPs)を採集する際に標準的に用いられるニューストンネットの採集特性を明らかにして、MPsの大きさ別の推定密度の精度向上を図り、ニューストンネットによるMPs採集方法の標準化に貢献する。このために、仕様の異なるニューストンネット(ニューストンネットやマンタネット、標準的に用いられる0.33mmやその他目合)の網目選択性を表す特性曲線のパラメータを比較操業実験から推定する。また、回流水槽での実物実験やCFDを用いて、海表面を曳網される際の網内外の流速分布を求め、濾水効率を推定する。これらの結果をもとに、ネット採集数と濾水量からの補正方法を提示する。
著者
胡 夫祥 大関 芳沖 東海 正 松田 皎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.846-851, 2000-09-15
参考文献数
5
被引用文献数
8 3

高速曳網が可能な稚魚採集トロール網用の湾曲V型デプレッサーを設計し, 模型実験によりデプレッサーの潜行力, 抗力特性を調べた。実験には翼面積397.7(cm)^2,縦横比6.0,反り比15%および上反角20°の模型を用い, 流速および迎角ごとに各流体力を計測した。また, ヒール角度を30°まで5°間隔に変化させて, 横揺れが生じたときの潜行力特性への影響も調べた, さらに, 同じ上反角を持つ平板型デプレッサーについても同様な実験を行い, 両者の潜行力特性を比較した。湾曲V型デプレッサーは最大潜行力係数が1.57(迎角20°)で, 平板型の値に比べて倍ほど大きいことが分かった。しかし, 最大潜行力係数を得た後に失速が早いことも確認された。また, 湾曲V型デプレッサーでは, 横揺れが生じたときにヒール角度20°までは潜行力特性に及ぼす影響が小さく, 特にヒール角度による圧力中心位置のずれが少なく, 横揺れに対する復元性がよい。
著者
胡 夫祥 志賀 未知瑠 横田 耕介 塩出 大輔 東海 正 酒井 久治 有元 貴文
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.33-38, 2005-01-15
被引用文献数
4 9

海鳥類の偶発的捕獲の回避を目的として,まぐろ延縄漁船現用の枝縄30数種類を調査し,その内の10種類と,釣元素材,釣元先端へ付加する錘重量を変えた枝縄の投縄後の釣針沈降特性を調べた。現用の枝縄における深度10mまでの釣針平均沈降速度は0.16m/s〜0.23m/sであり,鳥嚇しラインの有効範囲である船尾から150m以内で釣針が深度10m以上に沈むものはなかった。一方,釣針の沈降速度は釣元にフロロカーボンを使用した場合では約1.6倍に,釣元先端に45gwの錘を付加した場合では約2倍に改善された。