著者
三宅 寿美 脇本 寛子
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.87-93, 2011 (Released:2011-06-05)
参考文献数
9
被引用文献数
4

インフルエンザなどの飛沫感染予防には「咳エチケット」を実践することが重要である.病院内のみならず地域で一般市民が「咳エチケット」を実施することは,より有効な感染予防対策といえる.そこで本研究は,今後の啓発活動の手掛かりを得るために,我が国の一般市民の「咳エチケット」の認識度の実態を明らかにすることを目的とした.   インターネット調査とし,一般市民を対象に2009年2月と2010年3月の2回実施した.対象は,1回の調査あたり400人で,居住地域,年齢,性別で層別した.調査項目は,「咳エチケット」を聞いたことの有無,「咳エチケット」の行動実施状況,マスクの着用目的等とした.   「『咳エチケット』という言葉を聞いたことがありますか」の設問に「はい」と回答したのは,1回目31.0%(124人),2回目47.8%(191人)であり,情報源は,テレビ番組と病院の掲示が多かった.2回の調査共に,「咳エチケット」を聞いたことがある人の方が聞いたことがない人に比べて有意に多かった「咳エチケット」の行動は,「咳やくしゃみの時に鼻と口を手で覆う」ことであり,2回目では更に,「咳やくしゃみなどの症状がある場合」をマスク着用の最も適切な場合と回答していた.「咳エチケット」という言葉を聞いただけでは正しい行動に繋がっていないことが伺え,今後は,テレビや病院の掲示などの媒体を利用して,啓発活動を強化することが必要と考えられた.
著者
古林 千恵 矢野 久子 尾上 恵子 脇本 寛子 脇山 直樹 畑 七奈子 山本 洋行 脇本 幸夫
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.412-418, 2012 (Released:2013-02-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

高齢社会の到来と医療費の削減を背景に,入院期間の短縮,在宅医療の普及が推進されている.退院後,引き続き自宅での医療が必要な場合には,短い入院期間中にこれらの医療に関する新たな技術を習得することが求められている.今回,清潔間欠自己導尿(CIC)の継続指導チェックリスト作成のために患者10名を対象に,導入時および継続指導の実態を調査した.CIC導入時の問題点として,口頭指導のみでCICを開始させた場合があった.また,手順指導を行なった場合であっても患者の個別性や身体的機能,異常時の対応,自宅の状況などを考慮した指導にいたっていないことや膀胱過拡張予防の理解,排尿記録の目的を理解した記載が行われていないことが明らかになった.外来では,残尿が無いように排尿をさせる体位や手順確認を含めた継続指導を行っていなかった.これらのことから,膀胱過拡張予防の理解,上部尿路保護を意識した排尿量の保持と排尿間隔でCICを実施する排尿記録の記載を中心とした継続指導が重要であることが明らかになった.以上を踏まえ,問題点の抽出を行い継続指導チェックリストを作成した.
著者
脇本 寛子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究から,新生児早発型GBS感染症を発症した事例において新生児側の要因と母側の要因を併せて解析し,予防に寄与する要因が明らかとなった.早発型GBS感染症を発症した児の母と非発症児の母との比較では,妊娠35週以降にGBSスクリーニングを実施した方が早発型GBS感染症を予防できると考えられた.新生児搬送状況の検討から,夜間に発症しながら翌朝に搬送依頼されており夜間も含めた新生児搬送システムの構築が必要と示唆された.GBS 322株を収集でき[新生児血液髄液由来14株(発症株),新生児保菌61株(非発症株),妊婦褥婦腟保菌247株)],全てのGBSにおいてpenicillin系抗菌薬に感受性を示した.以上の成果から,妊娠35週以降にGBSスクリーニングを実施し,分娩時にGBS保菌妊婦にpenicillin系抗菌薬を予防投与することは新生児GBS感染症予防に有用であると考えられた.
著者
土井 まつ子 八島 妙子 中川 善之 脇本 寛子 篠田 かおる 高橋 知子 近藤 陽子 三善 郁代 三鴨 廣繁 仲井 美由紀 山岸 由佳 根子 亜弓
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究で作成した感染対策支援プログラムを使用して、中小規模の病院5施設と老人保健施設2施設及び軽費老人ホーム1施設の計8施設に対して、感染対策の向上を目指し、1年間の支援を実施した。支援終了後に、支援中の記録、視察、質問紙調査、環境調査の結果を分析し、支援の効果を検討した。その結果、感染対策チームや感染対策マニュアルが整備され、全ての施設において組織横断的な感染対策活動が進展した。