著者
稲葉 雅幸 水内 郁夫 岡田 慧 吉海 智晃 花井 亮 山崎 公俊 稲邑 哲也 五十棲 隆勝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

本研究は, 等身大ヒューマノイドプラットフォームに対して, 視聴覚・全身触覚・動的全身反応行動などの高位の情報処理技術を搭載した知能ロボットカーネルを統合し, 人からの多様な働きかけに対して対応するための行動を実現するために必要な機能とシステム構成を明らかにした.
著者
花井 亮
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.666-674, 2022-10-05 (Released:2022-10-05)
参考文献数
33

言うまでもなく,この自然界は相転移であふれている.気液相転移,常磁性・強磁性転移,常伝導・超伝導転移等の熱平衡系における相転移に加え,レーザー発振や同調現象等,非平衡状態で見られる相転移も数多く存在する.熱平衡状態における相転移の理解には,ランダウ理論が大きな成功を収めてきた.この理論は,相転移を特徴付ける秩序変数を変数に持つ自由エネルギーの形を,系の持つ対称性から規定することで,相転移の普遍的な性質を探る理論体系である.所謂「自由エネルギー最小化原理(以下,「最適化原理」と呼ぶ)」に則った単純な現象論でありながら,この理論は系の詳細に依らない,相転移の普遍的な性質の多くを抽出することができる他,繰り込み群等のより洗練された理論の出発点にもなっている.熱平衡系で採用されるこの「最適化原理」は,現在知られている(本来自由エネルギーが定義できない)多くの非平衡相転移にもかなり有用な考え方である.レーザー発振,群れ,有向パーコレーション等の多くの非平衡系における相転移点の存在は,現象論的なランダウの自由エネルギーを導入することで簡潔に説明することができる.この場合,非平衡性は揺動散逸定理を破るノイズによりもたらされる空間・時間揺らぎを通してのみ現れる.しかし,よくよく考えてみると,最適化原理では記述できない現象は,自然界に多く存在する.例えば,(唐突に感じられるかもしれないが)捕食者であるライオンと,被食者である鹿が近くに出くわした場面を想像してみよう.このような状況になると,前者は後者を追いかけ始めるだろう.これは,前者が後者に与える影響と後者が前者に与える影響が異なる,つまり非相反相互作用が両者に働いているからに他ならない.この現象は,最適化原理では理解することができない:むしろ,お互いの実現して欲しい状況が真逆であるため,最適化の方法が見つからず,追いかけっこが始まってしまうわけである.ランダウ理論を運動方程式に立脚した形に拡張することによって最近提唱された非相反相転移は,まさにこのような時間依存する「追いかけっこ状態」へと多体系が相転移するような,新しいクラスの非平衡相転移である.この相転移現象は,上の説明から示唆されるように,最適化原理に則らない,非平衡系特有の現象である.これは連続対称性を自発的に破り,「追う側」と「追われる側」に対応する複数の秩序変数で記述される非平衡系で一般に現れ,量子開放多体系である励起子ポラリトン凝縮から結晶成長に至る幅広い系で起こる.顕著なのは,その臨界性の現れ方の特異性である.通常の最適化原理に則った系では,臨界現象は互いに直交した励起モードのうちの一つの減衰時間が発散することで起こる.一方,非平衡系では一般に,励起モードは互いに直交しない.その結果,励起モードがゴールドストーン・モードと合体する点が現れ,これが非相反相転移の臨界点を与える.この「臨界例外点」では,揺らぎが空間4次元以下で発散する等の異常な臨界現象が生じる.その他,ヒステリシスや時間(準)結晶等,現れる物性は多岐に及ぶ.その一般性の高さから,今後,物理学のみならず,工学や生命科学等,幅広い分野への波及が期待される.
著者
植田 亮平 ZAOPUTRA Nikolaus 西野 環 矢口 裕明 山崎 公俊 花井 亮 岡田 慧 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp._2P1-G11_1-_2P1-G11_4, 2008

In this paper, we present a method to obtain the depth of the building using a satellite image of Google Earth and GPS receiver. Maps with 3D information are useful for robot navigation. This method is based on "3D Street View", which is a 3D model of the building automatically created with laser range finder and fish eye lens camera.
著者
花井 亮 山崎 公俊 矢口 裕明 稲葉 雅幸
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp."2A2-B19(1)"-"2A2-B19(4)", 2010

ROS has been becoming popular as a distributed platform for robot applications. We present how we developed a tidying-up demonstration task including recognition of objects, grasping, handling of a tray and navigation in two-weeks stay at Willow Garage Inc. This paper focuses on the development using ROS framework, tools and packages.
著者
米田 匡史 鵜川 始陽 花井 亮 八杉 昌宏 湯淺 太一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.38-49, 2006-07-15

リージョン推論と呼ばれる静的にオブジェクトの寿命を見積もる手法に基づくメモリ管理が,Tofteらによって提案されている.リージョン推論に基づくメモリ管理では,オブジェクトはリージョンと呼ばれるメモリブロックのいずれかに生成される.リージョンは特定のスコープを抜けると解放され,そのリージョン内に生成されたオブジェクトも同時に解放される.そのため,再帰呼び出しのように,関数呼び出しが連続する場合にはリージョンの解放ができない.Tofteらの処理系では,今後の計算においてアクセスされる可能性のあるオブジェクトが入っていないリージョンにオブジェクトを生成する際に,そのリージョンに入っているオブジェクトに上書きして生成しようとしている.しかし,関数がリージョンをリージョン変数に受け取ることができるため,リージョン変数のエイリアスが生じ,静的にオブジェクトを上書きしてもよいと判定できる箇所が限られる.本論文では,問題となるエイリアスが存在するかどうかを,実行時にオブジェクトを生成する際に調べる手法を提案する.これにより,Tofteらの手法では上書きしてよいか分からなかったオブジェクト生成の箇所で,より厳密に判定できるようになる.その結果,メモリ効率が向上し,これまで妥当なメモリ使用量で動かなかったプログラムが動くようになると期待される.A technique for memory management based on region inference, which statically estimates the life-time of objects, was proposed by Tofte, et al. With this technique, objects are created in one of the memory blocks, called regions. Each region is deallocated when the control flow exits its corresponding scope and all objects in the region are deallocated at that time. This means that systems cannot deallocate regions while function calls are repeated without returning. This often happens in the case of recursive function calls. Tofte implemented a system which creates a new object by overwriting existing objects in a region if the region has no object that might be accessed in the rest of the computation. However, there are not a few points of object creation at which his static analysis cannot find it possible to overwrite. This is because functions may receive regions as region variables and there may be aliases of region variables. In this paper, we propose a technique to improve memory usage by checking the existence of problematic aliases at runtime. Our technique can determine exactly whether it is possible to overwrite in many points of object creation where Tofte's analysis fails. As a result, we expect more programs to run with a relatively small amount of memory in region-based systems.