著者
岩崎 聡 鈴木 宏明 茂木 英明 工 穣 宇佐美 真一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.35-41, 2011 (Released:2012-03-01)
参考文献数
13

耳垢には乾性耳垢と湿性耳垢があることが知られており、以前から性状の違いは耳垢に含まれる脂質の量と組成により決定されるといわれ、これまで湿性耳垢の脂質の組成に関する報告がほとんどであった。耳垢は日頃臨床の場でよく遭遇し、生理作用もあるといわれているが、詳細はいまだ検討されていないのが現状である。今回われわれは脂質の中で最も多く含まれるといわれている脂肪酸の構成成分を乾性耳垢と湿性耳垢で分析し、比較検討した。高速液体クロマトグラフにより代表的な必須脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を乾性耳垢と湿性耳垢で測定した。測定した 7 種類の脂肪酸を試料 1 g あたりに換算した量で比較するも有意な差は認められなかった。ただし、まだ同定されていない脂肪酸成分の反応が湿性耳垢でみられたことから、湿性耳垢のみに含まれる特異的な脂肪酸成分の存在が示唆された。
著者
宇佐美 真一 工 穣 鈴木 伸嘉 茂木 英明 宮川 麻衣子 西尾 信哉
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.151-155, 2010 (Released:2011-11-30)
参考文献数
15
被引用文献数
7 8

低音域に残存聴力を有する高度感音難聴患者に対し人工内耳埋め込み術を施行した。症例は60歳女性。40歳頃から難聴を自覚した。50 歳頃からは右耳の補聴器の装用効果が認められなくなった。この症例にMED-EL社人工内耳(COMBI 40+:standard電極)埋め込み術を行った。電極挿入は、より低侵襲な正円窓からのアプローチにより行った。全電極を挿入したにもかかわらず、挿入後の低音部聴力が保存できた。残存聴力の保存が確認できたため、Electric acoustic stimulation用のスピーチプロセッサであるDUET®を用い、低音部は補聴器、高音部は人工内耳により音情報を送り込んだ。8ヶ月後の語音弁別能を評価した結果、術前15%であった最高明瞭度が50%にまで改善が認められ、日本語の聴取においても有用であることが明らかとなった。