著者
岩崎 聡
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.261-268, 2013-08-30 (Released:2013-12-05)
参考文献数
26
被引用文献数
1

要旨: 新生児聴覚スクリーニング検査の普及により一側性難聴と診断される機会は増えてきたが, その頻度はまだ不明と言える。小児の場合, 主な原因として内耳・内耳道奇形, ムンプス難聴, 先天性CMV感染症があげられる。その他, 髄膜炎, auditory neuropathy spectrum disorder, 内リンパ水腫があるが, 半数以上は原因不明である。CTとMRIによる画像検査は今後必須になると思われる。保存臍帯によるCMV DNA解析の結果, 一側性感音難聴児の約9%にCMV DNA (+) が認められたが, 難聴遺伝子変異は1例もみられなかった。一側性難聴は心因性難聴が関与する場合もあるので, 特に小児においてはABR, ASSR, OAEなどの他覚的検査を実施する必要がある。 一側性難聴児は言語発達遅滞や学業成績への影響, 人間関係のトラブルを生じる場合があるため, 周囲の気遣いが重要である。成人発症の一側性高度難聴が残った突発性難聴は, SF-36によるQOL, HHIAによるハンディキャップの検討により, 生活面のQOLの低下とハンディキャップを認めた。最近片側聾に対する介入方法として埋め込み型骨導補聴器や耳鳴りを伴った片側聾に対する人工内耳が行われている。
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 西尾 信哉 鬼頭 良輔 新田 清一 神崎 晶 小川 郁 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.270-276, 2018-08-30 (Released:2018-09-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

要旨: 一側聾は生活面の QOL の低下とハンディキャップを有しているため,医学的介入が試みられている。CROS (Contralateral Routing Of Signals) 型補聴器や埋め込み型骨導補聴器が施行されているが, 装用感や音源定位に関して不良の報告が多い。ヨーロッパではすでに一側聾に耳鳴りを伴った症例に対し人工内耳埋め込み術が施行され, CE (Communauté Européenne)-mark を取得している。そこで国内4施設において共同臨床研究「同側に耳鳴を伴う一側高度または重度感音難聴に対する, 人工内耳の装用効果に関する研究」を施行し, 当院にて1症例を経験した。術後4年経過した現在においても, 雑音下の語音聴取と方向感, 耳鳴りの改善が持続して認められており, 自覚的評価も良好である。一側聾症例における両耳聴効果をさらに実現するため, 今後一側聾に対する人工内耳埋め込み術の導入が期待される。
著者
岩崎 聡 鈴木 宏明 茂木 英明 工 穣 宇佐美 真一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.35-41, 2011 (Released:2012-03-01)
参考文献数
13

耳垢には乾性耳垢と湿性耳垢があることが知られており、以前から性状の違いは耳垢に含まれる脂質の量と組成により決定されるといわれ、これまで湿性耳垢の脂質の組成に関する報告がほとんどであった。耳垢は日頃臨床の場でよく遭遇し、生理作用もあるといわれているが、詳細はいまだ検討されていないのが現状である。今回われわれは脂質の中で最も多く含まれるといわれている脂肪酸の構成成分を乾性耳垢と湿性耳垢で分析し、比較検討した。高速液体クロマトグラフにより代表的な必須脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を乾性耳垢と湿性耳垢で測定した。測定した 7 種類の脂肪酸を試料 1 g あたりに換算した量で比較するも有意な差は認められなかった。ただし、まだ同定されていない脂肪酸成分の反応が湿性耳垢でみられたことから、湿性耳垢のみに含まれる特異的な脂肪酸成分の存在が示唆された。
著者
小池 隆史 高橋 優宏 古舘 佐起子 岡 晋一郎 岩崎 聡 岡野 光博
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1026-1031, 2021-11-20

はじめに 舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)はアレルギー性鼻炎の根治的治療であるアレルゲン免疫療法の1つである。本邦ではスギ花粉症に対して2002年以降に厚生労働省研究班による臨床研究がスタートし,多施設でのSLITの有効性が確かめられ,2014年にスギ花粉症に対して保険適用された1,2)。 従来の皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy:SCIT)と比較して,重篤なアナフィラキシー反応誘発の可能性がきわめて低く,入院を必要とせず自宅での施行が可能であることが特長である3)。しかし,局所的な副反応の発生はSCITよりも多いと報告されており,アナフィラキシーの発生報告も皆無ではないため,SLIT実施にあたっては,かかりつけ医に加え,患者自身も起こりうる副作用とその対策の概要を理解することが求められる3)。また,副反応への対応については『鼻アレルギー診療ガイドライン』にも記載されているが,副反応改善後のSLIT再開の時期や,投与量,投与法の調整などについては,まだ現場の医師の裁量によるところが大きい4)。 今回われわれは,飲み込み法にてSLITを導入後の早期にアナフィラキシーを生じたが,症状改善後に減量したうえで吐き出し法にてSLITを再開した結果,アナフィラキシーを再発せずに経過良好となった症例を経験したので報告し,文献的に考察する。
著者
岩崎 聡 西尾 信哉 茂木 英明 工 穣 笠井 紀夫 福島 邦博 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.56-60, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

感覚器障害戦略研究「聴覚障害児の療育等により言語能力等の発達を確保する手段の研究」事業として平成21年から1年間に調査した症例対照研究のうち, 人工内耳装用児の現状と語音明瞭度・言語発達に関する検討を行った。対象は幼稚園年中から小学校6年までの両耳聴力レベル70dB以上の言語習得期前の聴覚障害児で, 124施設が参加した。言語検査が実施できた638名のうち人工内耳装用児は285名 (44.7%) であり, 言語発達検査の検討はハイリスク児を除外した190名であった。人工内耳+補聴器併用児が69.5%, 片側人工内耳のみが29.8%, 両側人工内耳が0.7%を占めた。難聴発見年齢は平均11.7ヶ月, 人工内耳装用開始年齢は平均3歳6ヶ月であった。人工内耳装用月齢と最高語音明瞭度とは高い相関を認め, 人工内耳装用開始時期が24ヶ月前とその後で言語発達検査を比較するとすべての検査項目で早期人工内耳装用児群で高い値が得られ, 早期人工内耳の有効性を支持する結果となった。
著者
山田 奈保子 西尾 信哉 岩崎 聡 工 穣 宇佐美 真一 福島 邦博 笠井 紀夫
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.175-181, 2012 (Released:2012-09-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

平成21年から22年の間, 聴覚障害児の日本語言語発達に影響を与える因子と, 発達を保障する方法を考える目的で行われた感覚器障害戦略研究・症例対照研究のデータを元に, 人工内耳手術年齢による言語発達の傾向について検討した。 対象は生下時から聴覚障害を持つ4歳から12歳までの平均聴力レベル70dB以上の638名のうち, 聴覚障害のみを有すると考えられる人工内耳装用児182名を, 補聴器の装用開始年齢, 人工内耳の手術年齢のピークで4群に分け比較した。 結果を語彙, 構文レベルの発達と, 理解系, 産生系課題とに分けてみると, 語彙, 構文共に, 理解系の課題においては, 補聴器装用早期群の成績が良好で, 産生系の課題については, 人工内耳手術年齢早期群の成績が良好であった。 このことから, 早期に音を入れることが言語理解に, 早期に十分弁別可能な補聴をすることが言語産生に影響を与える可能性があるという結果が得られた。
著者
久保田 江里 櫻井 梓 高橋 優宏 古舘 佐起子 品川 潤 岩崎 聡
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.531-537, 2018-12-28 (Released:2019-01-17)
参考文献数
18

要旨: 2017年, 成人人工内耳の国内適応基準が改訂され, 1) 平均聴力レベル 90dB 以上の重度感音難聴, および 2) 平均聴力レベル 70dB 以上 90dB 未満かつ補聴器装用下の最高語音明瞭度が50%以下の高度感音難聴, と新たに定められた。本研究では, 新適応基準の妥当性について, 平均聴力レベルと裸耳の最高語音明瞭度, および平均聴力レベルと補聴器・人工内耳装用下の最高語音明瞭度との関係から検討した。 対象は成人人工内耳装用者37名と, 補聴器装用者77名である。その結果, 平均聴力レベルと裸耳語音明瞭度との間に負の相関がみられ, 平均聴力レベル 70dBHL に値する語音明瞭度は45%であった。また, 補聴器および人工内耳装用下での比較では, 裸耳の平均聴力レベル 70dBHL において両群の語音明瞭度は同等となりその値は50%であった。 医療技術・機器の進歩による聴力温存と, 聴取成績の向上により, 人工内耳適応基準は今後も定期的に検証する必要があると思われた。
著者
岩崎 聡
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.636-642, 2015-05-20 (Released:2015-06-11)
参考文献数
12

補聴器を含めて人工聴覚器の適応評価は大変複雑化してきたため, これらの人工聴覚手術の最新情報と本邦における現状を紹介し, それぞれの機種の特徴と違いを整理した. 人工内耳の適応は, 2014年小児人工内耳適応基準が見直され, 適応評価が多様化された. 既存の補聴器の装用が困難な高音急墜型感音難聴に対し, 言葉の聞き取りが改善できる新たな人工内耳が残存聴力活用型人工内耳 (electric acoustic stimulation: EAS) であり, 保険収載された. 高度難聴の中・高音部を人工内耳で, 残聴のある低音部を音響刺激で聞き取るシステムである. 直接的な機械的内耳組織損傷を最小限にするため, 電極の先端がより柔軟になるよう改良されている. 正円窓アプローチによる電極挿入法がより蝸牛へ低侵襲となる. 聴力温存成績向上のため, 蝸牛損傷を軽減するための drug delivery system の応用, さらなる電極の改良が必要と思われる. 日本で開発されたリオン型人工中耳がきっかけで, さまざまな人工中耳が開発された. 海外では感音難聴を対象にした人工中耳として開発が進められ, 振動子を正円窓に設置することで伝音・混合性難聴に適応拡大され, 本邦における臨床治験が終了した. 人工中耳は補聴器に比べて周波数歪みが少なく, 過渡応答特性に優れており, 海外では正円窓アプローチ以外に人工耳小骨と組み合わせた卵円窓アプローチなども行われ, 今後さまざまな術式の応用と感音難聴への適応拡大が課題になると思われる. 骨導インプラントは音声情報を骨振動として直接蝸牛に伝播し, 聞き取る方法であり, BAHA は保険収載された. 良聴耳の手術や中耳, 内耳奇形がある症例, 顔面神経走行異常が明らかな症例は骨導インプラントがよいかと考えるが, 人工中耳に比べ出力が弱く, 高音域の周波数特性が弱いため, 聴力像も考慮する必要がある.
著者
酒井 丈夫 加藤 賢 新木 五月 岩崎 聡
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.39-45, 1999-02-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
10

質問紙法によるアンケート調査によって難聴者の心理的な障害受容について検討した。質問項目は大別すると難聴者の聴力, 日常生活におけるコミュニケーション障害の程度を調査する項目群と, 障害受容についての項目群の2群に分けられる。便宜上, 50dB未満を軽度難聴, 50dB以上70dB未満を中等度難聴, 70dB以上を高度難聴とした。90人の難聴者のうち45人は高度難聴者であった。22.2%の難聴者は自らの障害の心理的受容が不十分であった。難聴が高度であればあるほど障害受容が困難になるということはなかった。自らの障害を否認する, 健常であった頃の自己を思慕するといった, 障害を心理的に受容してない障害者は抑うつなどの心理的な問題を抱えやすくなるといわれている。障害受容のために心理的治療を必要とする難聴者が少なからず存在することが示唆された。
著者
岩崎 聡
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.176-182, 2021-03-20 (Released:2021-04-03)
参考文献数
10

伝音・混合性難聴に対する振動子が体内に埋め込まれる人工中耳 (Vibrant Soundbridge: VSB) と能動型骨導インプラント (Bonebridge: BB) の現状と将来について概説する. 1983年世界に先駆けて本邦からリオン型人工中耳が開発され, その後 VSB が2000年に感音難聴に対して FDA の認可を取得し, 2006年 Colletti らが伝音・混合性難聴に対して, 正円窓に振動子である FMT を設置する新たな応用方法を報告した. VSB 手術は, 現在 FMT の留置部位によって正円窓留置法と卵円窓留置法の2つのアプローチ法がある. FMT と内耳のカップリングの補助としてカプラーを使用することができる. 現在認可されている VORP503 は MRI 1.5 テスラ対応となっている. 能動的骨導インプラントである BB は VSB の振動装置が側頭骨内に埋め込まれる点が異なるだけで, 2012年には CE マークの承認が得られているが, 本邦ではまだ保険収載されていない. 先天性外耳道閉鎖症に対して臨床研究が実施されている. 先天性外耳道閉鎖症に対する音質の自覚的評価を VSB, BB, Baha に実施し, VSB で明らかに良好な結果が得られた. したがって, われわれは第1選択を VSB とし, 乳突腔の発育不良例などの症例には BB などの骨導インプラントを選択している. 今後は一側性伝音・混合性難聴への適応拡大が課題である.
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 古舘 佐起子 岡 晋一郎 西尾 信哉 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.137-141, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
11

特発性両側性感音難聴のうち,加齢性難聴とは明らかに異なる40歳未満の遅発性難聴を発症する7つの原因遺伝子が同定され,若年発症型両側性感音難聴と定義された.診断基準は①遅発性,若年発症,②両側性,③原因遺伝子が同定されており,既知の外的要因が除かれているものである.現在,ACTG1,CDH23,COCH,KCNQ4,TECTA,TEMPRSS3,WFS1遺伝子が原因遺伝子として診断基準に示されており,70 dB以上の高度難聴であれば指定難病の申請ができる.ACTG1症例,TEMPRSS3症例のように,次世代シークエンサーによる遺伝学的検査および遺伝カウンセリングにより補聴器から人工聴覚器手術への自律的選択が可能となり,大きな福音となっている.

1 0 0 0 OA 補聴器の適合

著者
岩崎 聡
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.115, no.11, pp.978-981, 2012 (Released:2012-12-15)
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 吉村 豪兼 古舘 佐起子 岡 晋一郎 西尾 信哉 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.129-135, 2022 (Released:2022-08-25)
参考文献数
13

一側伝音・混合性難聴症例に対し臨床研究「一側性伝音・混合性難聴に対する埋め込み型人工中耳の有効性に関する探索的臨床試験」において人工中耳(Vibrant Soundbridge®: VSB)埋込み術を4例施行した.本邦における人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に裸耳骨導閾値はいずれの周波数においても維持され変化がみられず,装用後6ヶ月での安全性が確認できた.さらに4例とも人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に良好な自由音場装用閾値を示し有効性が確認された.また,本研究における騒音下での語音弁別,方向定位検査も良好な結果であり,一側性伝音・混合性難聴症例において人工中耳VSBの有効性が示唆された.今後,本邦での適応拡大が期待される.
著者
櫻井 梓 岩崎 聡 古舘 佐起子 岡 晋一郎 小山田 匠吾 久保田 江里 植草 智子 高橋 優宏
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.321-327, 2021 (Released:2021-10-12)
参考文献数
17

人工内耳(以下,CI)装用者に対し,楽器を使用した集団的音楽トレーニングを実施し,方向感および語音聴取への効果について検討した.20歳以上のCI装用者で,かつ装用下での57-S語表での単音節の聴取成績が60%以上で,音楽トレーニング参加希望者18名のうち,検査等が実施できた14名を対象とした.全12回(1回60分×月2回)のグループレッスンで,1グループ当たり9名の2グループで実施した.音楽トレーニング前後で単音節,単語,日常会話文のいずれにおいても有意差は見られなかった.方向感検査のd値の平均も,トレーニング前後で有意差は見られなかった.また,音楽経験ありと経験なしとの2群間での検討においても,両検査ともに有意差は見られなかった.ただ,有効な症例もあったことから,詳細な評価方法,より効果的な音楽トレーニング法の構築が必要と考えられた.
著者
岩崎 聡 宇佐美 真一 髙橋 晴雄 東野 哲也 土井 勝美 佐藤 宏昭 熊川 孝三 内藤 泰 羽藤 直人 南 修司郎
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.149-155, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
8
被引用文献数
1

平成28年2月下旬に日本耳鼻咽喉科学会に登録している人工内耳実施施設109施設を対象に日本耳科学会人工聴覚器ワーキングループによるアンケート調査を実施した結果を報告する。85%の施設で平均聴力90dB未満の患者が人工内耳手術を希望されていた。48%の施設で一側の平均聴力90dB未満の患者に人工内耳手術を行っていた。82%の施設が1998年の適応基準の改訂が必要と考えていた。人工内耳手術を行った最も軽い術側の平均聴力レベルは91dB以上が20. 7%、81〜90dBが51. 7%、71〜 80dBが14. 9%であった。93%の施設で適応決定に語音明瞭度も重要と考えていた。67%の施設が両側人工内耳を実施したことがあった。本アンケート調査結果を踏まえて、成人人工内耳適応基準改訂が必要と考えられた。