著者
草柳 俊二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_157-I_168, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1 3

設計施工契約は施工性を十分反映した設計を行うことにより,品質,時間,コストの効率向上を目指すものである.この契約形態は建設企業が従来の枠組みを超え,事業遂行力を向上させるといった面でも極めて重要な意味を持ち,先進諸国だけでなく,中進国の建設産業もその対応能力を急速に向上させている.我が国でもこの契約形態の導入が始まったが,受注者側のリスク拡大といった問題が顕在化している.リスクの均衡は適正な契約形態によって作られる.我が国では発注方式で制度作りを進めるため契約形態の議論が希薄となる.このため,リスクバランスという建設プロジェクトにおいて最も重要な議論が放置されてしまう傾向となる.設計施工契約形態の普及には,契約形態としての議論を深めシステムを作って行くことが必要となる.
著者
草柳 俊二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_137-I_144, 2014 (Released:2015-02-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

我が国においてWTO政府調達協定が発効したのは1996年1月であった.発効から20年近くが経過し,本協定への対応策は完備したように見える.だが,契約管理の面で解決しなければならない問題が多く残されている.最も顕著な問題はWTO政府調達協定の第15条の限定入札に絡むものである.国土交通省を始めとして,ほとんどの発注機関が追加工事の額が原契約額の50%以上となった場合,超過額は支払できないといったルールを設定している.我が国の公共工事は国際市場での実態とは相当に異なった執行システムで動いており,その相違が対応策の理論的整理の面で大きな障害となっている.現在,TPP協定の交渉が進められているが,国際協定への対応策の理論整備は喫緊な問題として捉えなければならない.
著者
草柳 俊二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.281-292, 2004
被引用文献数
1

建設技術者 (Civil Engineels) が担うべき機能は, 国民にとってどのような社会資本整備が必要かを見出してゆくこと, 建設技術の開発・革新, これら二つの機能を有効に結び付ける機能, マネジメントであると考えられる.戦後復興, 急速な経済発展基盤整備といった状況下で, 我が国の建設技術者は技術開発・革新の機能向上に傾注し, 他の二機能に対する認識が希薄であった.建設産業への国民の疑念に対して, 建設技術者が明確な意見を発することができにない理由は, 自身の担うべき機能を狭めてしまった結果ではないか.国民の信頼に応え, 国際化等の社会変化に対応してゆく建設技術者が求められており, 建設マネジメント教育はその鍵と考えられる.我が国の実態に即した建設マネジメント教育に必要なプログラムの構築が求められている.
著者
草柳 俊二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_127-I_136, 2014 (Released:2015-02-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

2006年4月に日本土木工業協会(土工協)が「透明性ある入札・契約制度に向けて-改革姿勢と提言-」を公表した.提言内容は実施的な談合離脱の宣言であり,建設産業は「競争の原理」へと動き出した.その結果,発注者側の設定した「予定価格」を大幅に下回る金額で契約が成立するケースが全国で発生し,追加費用精算への落札率の適用問題が浮かび上がってきた.国土交通省を始めとして,ほとんどの公的発注機関が追加費用精算への落札率適用をルール化しているが,その論理基盤は確かなものか.これまで,入札・契約方式といった調達方式の改革が進められて来たが,契約条項に基づく適正な追加費用精算システムの確立は「競争の原理」に基づく産業基盤を作る上で極めて重要なものとなってくる.
著者
榎本 惠一 堀澤 栄 有賀 修 松元 信也 大濱 武 角 克宏 両角 仁夫 井上 喜雄 冨澤 治 那須 清吾 平野 真 草柳 俊二 馬渕 泰
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.125-131, 2010-07

森林や海洋の自然環境の保全には、その資源の適切な利用と管理が欠かせない。森林資源である木質バイオマスを利用するために、木材腐朽菌が生産するセルロース分解酵素の遺伝子配列の決定を試みた。他生物で明らかにされているアミノ酸配列などの生物情報を参照し、遺伝子増幅に必要なCODEHOPプログラムを用いて、迅速簡便に標的遺伝子配列を得ることができた。また、殺藻作用をもつ赤色色素であるプロディジオシン類を生産する細菌を用いて赤潮制御技術の研究を行った。この細菌の赤色色素は、赤潮プランクトンを迅速に溶菌させる作用を示した。この細菌を固定化したアルギン酸ゲルビーズは、赤潮プランクトンの増殖を抑制し、プランクトン数を減少させることができた。For the conservation of forests and marine natural environment, the proper use and management of their resources are essential. In order to use woody biomass of forests, genetic sequences of cellulases produced by woodrotting fungi were determined. Based on the biological information, including amino acid sequences, revealed in other organisms, target gene sequences could be easily and quickly obtained by the CODEHOP program for gene amplification.Technologies to control red tide were also studied, employing bacteria that produce algicidal red pigments, a family of prodigiosin. The red pigments from the bacteria showed quick lytic action to red tide plankton. Alginate gel beads containing immobilized bacteria inhibited the growth of red tide plankton and could reduce the number of plankton.
著者
五艘 隆志 草柳 俊二 角崎 由貴子 吉永 光太朗
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.249-260, 2008
被引用文献数
1

我が国の建設産業は, 国際的な市場開放, 国内建設投資額の減少, 指名競争入札から一般競争入札への変換, 談合決別宣言等により, 「協調の原理」から「競争の原理」へと変化している. 国内市場の国際化や, 海外市場への進出等, 我が国の建設産業には国際競争力を確保することが求められている.本研究では米国におけるプロジェクトマネジメント技術の実態を把握し, 我が国のプロジェクトマネジメント技術レベルの実態調査を実施し, これらの調査結果に基づき, プロジェクトマネジメント技術の観点から我が国の建設企業の国際競争力を検証し, 今後の方策を見出すことを試みた.