著者
河合 美香 那須 清吾 豊田 裕貴
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.21-31, 2017 (Released:2019-03-05)
参考文献数
17

本研究では、日本企業がビッグデータ、IOTなどの概念が先行しているわりには、うまく進んでいないことを問題意識としている。この問題意識から、データを使ったビジネス変革をデジタルトランスフォーメーションと呼び、初動のステップに影響する要素を事例から抽出し、それらの事象から質的比較分析(QCA分析: Qualitative Comparative Analysis)を用いた分析を行い、メカニズムを明らかにすることを目的とする。事例から導きだした原因要素が結果に関連するメカニズムを分析することによって、QCAのアプローチが事例にもとづく研究に有効であることを示し、デジタルトランスフォーメーションを進める上での必要要素によるメカニズムのパターンを抽出した。
著者
村尾 佳子 那須 清吾
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-12, 2019 (Released:2019-11-01)
参考文献数
15

事業承継には大きく親族への承継,従業員への承継,第三者への承継の3種類がある.中でも,親族への承継は数的にも多く,日本の中小企業経営において重要な意味を有するが,先代と後継者の間で承継プロセスが円滑に進まず,頓挫してしまうようなケースも少なくない.経営者と後継者の承継プロセスについては,近年では,経営者と後継者の相互作用的関係性の中で承継プロセスが段階的に進んでいくという研究がされている.しかし.承継プロセスを進めるために信頼の獲得が重要であるという指摘はあるが,具体的にどのような要素が信頼獲得に繋がっているかという点については明らかにはされていない.本研究では,ファミリービジネスにおける事業承継のプロセスを円滑に進めるために必要な要素とその関係性について事例研究を通じて明らかにした.
著者
坂本 ひとみ 那須 清吾
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.17, pp.7-12, 2014-03-16

豊富な労働力を有するアジアが注目されている。しかし、近年の労働者の確保難と賃金の高騰は、それらの国にも現れはじめた。東アジアでは、失業率は低下しているものの各国の労働法の改正により、進出した日系企業へも影響を与えている。そこで、東アジアの人材確保と育成の状況について各国の調査をし、共通している課題が多いことがわかった。第1に、日本人が暮らすためのインフラでは、日本人が現地で暮らすことについても、単身赴任か家族連れかで生活スタイルは変わってしまう。とくに子どもが中学生になるころに日本での教育を望む親が多いため、子どもの年齢により単身赴任になる男性が多いことがわかった。また、国によっては不安定な状況もあり、家族があまり外出できないことにストレスを感じている社員も少なくはない。第2に、「5S」や「ホウレンソウ」について各企業の努力が見られる。日本的な人材育成をどう企業文化として根付かせるか、経営品質という課題である。特に中小企業では、駐在員も少ないため、人材育成になかなか手が回らないのが現状である。
著者
岡村 健志 那須 清吾 熊谷 靖彦
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
no.6, pp.159-167, 2009

地方部における道路基盤や公共交通などのモビリティ環境は,都市部に比較すると十分に整備されておらず,さらに事業主体の財務状況が芳しくないことなどから,インフラ整備などの抜本的な対策は満足に進まない.このようななかで地方部の道路交通問題に対して,抜本的対策に比べ低予算で実行可能なITSは,実践的な対策として注目を浴びている.本稿では,高知県下で実施された「トンネル歩行者問題」と「ノーガード電停問題」をケーススタディに,それぞれの固有の道路交通問題を構造化し,ロジックモデルによりITSの効果構造を明らかにするとともに,ITSの効果を紹介する.また,それらを踏まえ,地域固有の道路交通問題を解決する手段として,地方部におけるITSの位置づけと重要性について考察する.
著者
村尾 佳子 那須 清吾
出版者
一般社団法人 グローバルビジネス学会
雑誌
グローバルビジネスジャーナル (ISSN:24340111)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.13-24, 2019 (Released:2020-01-29)
参考文献数
10

ファミリービジネスの事業承継で多くを占める親族への承継において,先代と後継者間のコミュニケーションに課題があり,承継が上手く行かず,時には承継候補者が会社を辞めてしまうといった問題にまで発展することがある.先代から後継者への承継を成功させるためには,先代と後継者間で円滑なコミュニケーションが行われる必要があるが,そのプロセスにおいて,どのようなことに留意しながら,コミュニケ―ションを行えばよいのか,といった点について明らかにしている先行研究は存在しない.本研究では,ファミリービジネスにおける先代と後継者間のコミュニケーションに着目し,事業承継のプロセスにおける必要要素が継承されるコミュニケーションのメカニズム,留意点と,コミュニケーションの支援者の存在の効果のメカニズムについて,事例研究を通じて明らかにした.
著者
榎本 惠一 堀澤 栄 有賀 修 松元 信也 大濱 武 角 克宏 両角 仁夫 井上 喜雄 冨澤 治 那須 清吾 平野 真 草柳 俊二 馬渕 泰
出版者
高知工科大学
雑誌
高知工科大学紀要 (ISSN:13484842)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.125-131, 2010-07

森林や海洋の自然環境の保全には、その資源の適切な利用と管理が欠かせない。森林資源である木質バイオマスを利用するために、木材腐朽菌が生産するセルロース分解酵素の遺伝子配列の決定を試みた。他生物で明らかにされているアミノ酸配列などの生物情報を参照し、遺伝子増幅に必要なCODEHOPプログラムを用いて、迅速簡便に標的遺伝子配列を得ることができた。また、殺藻作用をもつ赤色色素であるプロディジオシン類を生産する細菌を用いて赤潮制御技術の研究を行った。この細菌の赤色色素は、赤潮プランクトンを迅速に溶菌させる作用を示した。この細菌を固定化したアルギン酸ゲルビーズは、赤潮プランクトンの増殖を抑制し、プランクトン数を減少させることができた。For the conservation of forests and marine natural environment, the proper use and management of their resources are essential. In order to use woody biomass of forests, genetic sequences of cellulases produced by woodrotting fungi were determined. Based on the biological information, including amino acid sequences, revealed in other organisms, target gene sequences could be easily and quickly obtained by the CODEHOP program for gene amplification.Technologies to control red tide were also studied, employing bacteria that produce algicidal red pigments, a family of prodigiosin. The red pigments from the bacteria showed quick lytic action to red tide plankton. Alginate gel beads containing immobilized bacteria inhibited the growth of red tide plankton and could reduce the number of plankton.
著者
佐藤 暢 松本 泰典 那須 清吾
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.2_144-2_154, 2017 (Released:2018-01-18)
参考文献数
25

本稿では,高知工科大学社会連携部と高知県工業会が初めて組織的に連携した事例を取り上げ,研究開発体制の構築に至った背景と経緯について報告した.そして,この産学官連携の体制構築に当たり,組織としてのコーディネート部門およびそこに属する個人としてのコーディネータが果たした役割を述べ,地域イノベーション創出における産学官連携コーディネート活動のありかたについて考察した.その結果,産学官連携コーディネート活動をより効果的,効率的に進めるために,関係する組織間の意思決定が必要であり有効であることが示された.また,組織間連携に支えられることで,個々のコーディネート活動の公平性と透明性が確保されることも示した.そして,産学官連携コーディネート活動に内在する要素である,「生きた情報」と「密なる人的ネットワーク」をより有効に活用するためには,組織間の意識共有と意思決定が重要であることが,本事例から示された.