著者
奈良 真美 押本 浩一 堀内 克彦 豊田 満夫 片貝 堅志 増田 淳 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.114-115, 2005-11-25 (Released:2013-11-21)
参考文献数
2
被引用文献数
3

症例は58歳,女性。発熱にて近医受診し,A型インフルエンザと診断。リン酸オセルタミビルを処方され,内服後に腹痛,下痢,血便となり当院受診。緊急大腸内視鏡検査で左側結腸に縦走潰瘍を認め入院。内視鏡所見,病理所見,便培養陰性などから,下痢が誘起となった虚血性腸炎と考えられた。リン酸オセルタミビルが原因の出血例は稀であり,使用頻度の高い薬剤でもあることから注意が必要であると思われた。
著者
荒井 泰道 松本 純一 小田 島博 近藤 忠徳 関口 利和 石田 稔 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.1439-1445_1, 1982

急性回腸末端炎はYersinia enterocoliticaやアニサキスの感染によって発症することがしられている.しかし多くは原因不明の疾患である.著者らはYersinia enterocoliticaの検出された1例を含めて4例の急性回腸末端炎を経験した.4例とも発熱,右下腹部痛,下痢を主訴として来院した.急性期の内視鏡所見は回腸末端部に不整形の潰瘍やびらんの形成がみられ,1例ではあるがいわゆるcobble stone像を示した.回復期に入ると潰瘍やびらんは消失し,粗大結節状あるいは微細顆粒状の隆起性病変を認めた.生検によって炎症性細胞浸潤とリンパ濾胞の形成がみられたことから,それらはリンパ濾胞の増殖によるものと考えられた.経過とともに隆起性病変も消失することが認められた.急性回腸末端炎の急性期内視鏡所見及び内視鏡的に経過観察を行なった文献はみられていないように思われ意義あるものと考え報告した.
著者
矢作 和也 金子 香里 松本 達彦 増田 淳 橋本 良明 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.215-217, 1993-12-01 (Released:2015-07-15)
参考文献数
6

症例は50歳女性。下血を主訴に来院し,即日行った大腸内視鏡検査にて,S状結腸深部に白色半透明の膜様の剥離粘膜に被われた血腫がポリープ状に認められた。また,塩酸チクロピジン服用によると思われる出血時間の延長を認めた。4日後,剥離粘膜に被われた血腫の排泄があり,その直後に行った注腸X線検査,内視鏡検査にてS状結腸深部に約10cmにわたる全周性の潰瘍を認めた。成分栄養療法などを行い,約10ヵ月後ほとんど狭窄を残さずに治癒した。大腸の全周性粘膜剥離はまれであり,その原因の1つとして虚血性腸炎があげられているが,本例は発症時に腹痛がなく,また剥離部に隣接した粘膜には炎症所見がみられなかったことなどより,虚血性腸炎の可能性は低い。むしろ,塩酸チクロピジンによる出血傾向との関連の可能性が考えられた。興味ある症例と思われたので,若干の文献的考察を加え報告した。
著者
岡田 純卓 押本 浩一 飯田 智広 片貝 堅志 下田 隆也 増田 淳 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.60-61, 2004-12-01 (Released:2014-01-28)
参考文献数
4

次亜塩素酸ナトリウム水溶液誤飲による食道炎では,多くの市販品は3%前後と低濃度である為,狭窄を生じることは少ないとされている。今回,高濃度のものによって腐食性食道炎から食道狭窄を生じることを経験したので文献的考察を加えて報告する。