著者
中沢 次夫 稲沢 正士 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.491-494, 1979

カエルの体成分に起因するアレルギー症状(気管支喘息, 皮膚炎)を呈した稀有な1症例を経験したので報告する.症例は31才, 女性, 実験助手, 昭和42年, 食用ガエル(bull frog;Rana catesbeiana)の脳波壊実験を開始し1年後からカエルにさわると皮膚〓痒感出現, 昭和52年9月, 実験中に脳の付着した注射針を右中指に誤刺したところその部が腫脹, 20分後, 喘鳴呼吸困難が出現した.脳破壊実験に使用したbull frog 3匹から脳をとり出し作製した抗原液を用いて行つた各種アレルギー検査では, PK反応が陽性で, RAST値はscore 3であり, 特異的IgE抗体を証明しえた.一方, モルモットのheterologous PCA反応やゲル内沈降反応を用いて検索した特異的IgG抗体は検出できなかつた.これらのことから, 本例のアレルギー症状はbull frogの体成分に起因するものであり, それに対する特異的IgE抗体との反応, すなわちI型アレルギー反応の結果生じた症状であることが考えられた.
著者
梅枝 愛郎 北市 正則 松井 茂 色川 正貴 片貝 重之 中沢 次夫 飯塚 邦彦 三浦 進 笛木 隆三 小林 節雄
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.804-809, 1986

「蚕 (カイコ)」体成分の吸入に起因する過敏性肺炎 (養蚕者肺症) の1例を報告した. 症例は48歳女性, 養蚕農家の主婦で咳, 痰, 労作時息切れ等が「繭かき」「ケバ取り」などの養蚕作業と関連して出現. 初診時軽いチアノーゼを認め, 胸部で捻髪音聴取. 血沈亢進, CRP (2+), 白血球増多, 低酸素血症, 胸部レ線でスリガラス様陰影を認め, 肺機能で拘束性障害と拡散能の低下がみられた. 免疫学的検査ではツベルクリン反応陰性で, 蚕体成分の一つである熟蚕尿に対する沈降抗体陽性であった. 肺組織には胞隔炎, 類上皮細胞肉芽腫, マッソン体が認められた. 入院後症状の自然改善が見られ, 血沈等が正常化し, ラ音の聴取されないことを確認して熟蚕尿による吸入誘発試験を行った. 吸入後捻髪音が出現し, 拡散能は前値に比し30%低下したため, 誘発試験陽性と判定した. 以上より本症例は蚕体成分である熟蚕尿に起因する過敏性肺炎 (養蚕者肺症) と診断した.
著者
古川 充 中沢 次夫 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.760-764,779, 1974-11-30 (Released:2017-02-10)

毛垢アレルギーに起因する気管支喘息については職業との関連性から検討されているが, その報告は比較的少ない.今回, われわれは愛玩用にハムスターを飼育し気管支喘息の発症をみた1例を経験したので報告する.症例は23才, 男性, 会社員.下宿の8畳一間でハムスターを数匹飼育していたが, 5ヶ月後に咳嗽・喀痰を伴う呼吸困難発作が発現した.この発作は下宿にいなければみられなかった.実験用ハムスターからその毛およびフケを採取し, 生食水にて抽出した抗原液を用い各種アレルギー反応を行った.皮内反応, 眼反応, Prausnitz-Kustner反応, 吸入誘発反応はいずれも陽性反応を示した.皮内反応と吸入誘発試験は即時型および遅発型反応に陽性で, これらのいわゆる dual reaction について前述のハムスター抗原を用いて沈降反応やリンパ球の blast-like formation などを行って遅延型反応などを行い, その機序について検討を行ったが, 明確な結論はみいだせなかった.
著者
根本 俊和 青木 秀夫 池 愛子 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.635-639,659, 1973
被引用文献数
5

本邦においてはゴキブリを起因抗原とする気管支喘息はまだ報告されていない.ゴキブリ(クロゴキブリ)の虫体成分から作製された抽出液を用い, 39例の喘息例に皮内反応を行ったところ, 4例(10%)のものが即時型陽性であった.皮内反応陽性のもの3例に吸入誘発試験を行ったところ, 1例のものにゴキブリ抽出液(16PNU 1ml)の吸入呼吸困難と乾性ラ音が出現した.症例:36才, 主婦症例は1961年以来呼吸困難発作を起こし, 最近ゴキブリの臭いをかぐと息苦しくなるのに気づいている.26種類の抗原抽出液で皮内反応を行ったところ, 室内塵, ゴキブリ, ブロンカスマベルナの3抽出液に陽性であった.Prausniz-Kustner反応を室内塵とゴキブリについて行い, 両者とも陽性であったが, 熱処理血清で陰性であった.中和試験を行い, ゴキブリと室内塵とは互いに交叉しないことが証明された.ゴキブリ抽出液の吸入により, FEV_<1.0>は1620mlから1160mlと28%の減少をきたした.

1 0 0 0 OA 気管支喘息 II

著者
犬飼 敏彦 萩原 修 今 陽一 藤原 隆 吉江 康正 冨澤 貴 柁原 昭夫 小林 節雄 森松 光紀
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.423-429, 1983
被引用文献数
5 1

我々は, Adie症候群,分節性無汗症,起立性低血圧を伴つた皮膚筋炎の1例を経験し,類推例を見ない極めて希な症例と思われたので報告する.症例. 30才,女性.主訴:発熱,咳嗽.現病歴: 1979年8月上旬より両側下肢に関節痛,筋肉痛および筋力低下を自覚, 9月15日より約38°Cの発熱,咳嗽をきたし, 17日当科受診.四肢近位筋の萎縮およびGOT, GPT, LDH, CPKなどの高値と間質性肺炎像が認められ26日入院.筋電図,皮膚および筋生検組織より皮膚筋炎と確診. steroidの投与により皮膚筋炎に基づく臨床症状および検査所見は改善した.一方,初診時より両側性瞳孔緊張,深部反射消失を認め,またmecholyl点眼により両側に著明な縮瞳を確認し,両側性Adie症候群の完全型であると診断.また自律神経機能検査より分節姓無汗症,起立性低血圧の存在も明らかとなつた. Adie症候群と自律神経異常との合併はよく知られており, acute pandysautonomiaの概念で把えられ病態生理学的な検討がなされている.特に無汗症との因果関係については,報告者により見解の不一致を見るが,本例においてはその臨床所見より交感神経節性障害,あるいは広範な節後障害が推測される.一方,他の疾患に伴う"症候性Adie症候群"の報告は蓄積されているが,本例の如く皮膚筋炎との合併例は,我々の検索した範囲では報告されておらず,貴重な症例と考えられ,その病態解明には今後の慎重な経過観察が必要であろう.