著者
菅原 正義
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
長岡工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:00277568)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.55-62, 2008-03

After rice cooking, retrogradation of starch in a cooked rice progresses quickly at under gelatinization temperature. Cold rice (aging rice) is tasteless, firm and digested slowly. My aim in this report is explained the relationship between cold rice tasteless and indexes of starch retrogradation. Starch gelatinization degree, starch whiteness index and resistant starch content that were indexes of starch retrogradation did not change remarkably of cold and aging rice that were very firm and bad eating quality by the sensory test. In spite of low resistant starch content of aging rice, the cecal content short chain fatty acids and starch content of rat fed aging rice powder were higher than that of rat fed fresh and warm rice powder.
著者
菅原 正義
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

動物の消化管に常在している細菌は、宿主に有害・有益な代謝を行い宿主の健康に大きな影響を及ぼすことが知られている。本研究では、脂質代謝や発ガンへの影響が示唆されている二次胆汁酸を一次胆汁酸から生成させる腸内細菌由来の酵素7α-デヒドロキシラーゼに関する知見の収集とその代謝制御を目的として研究を行った。これまで本酵素生産菌としてEubacterium sp. strain VPI 12708などが知られ、比較的菌数の低い強い酵素活性を有する菌が主として生産していると考えられてきた。我々は、これまで胆汁酸分析に一般に用いられてきたTLC、HPLC、GPCより感度が高いELISA法を用いて本酵素生産菌の探索を行った結果、総菌数の1〜10パーセント程度の多くの菌株が低い本酵素生産能を有することを確認した。その中でもEubactrium spと考えられる比較的酵素生産能の高い数菌株を用いて酵素精製を試みたが、継代培養を繰り返すにしたがって生産性が低下し精製することができなかった。本酵素活性の食品成分による制御を目的として酒粕粉末をラットに投与した結果、胆汁酸排泄量が有意に増加、二次胆汁酸の排泄が減少した。また、コレステロール吸収に重要なコール酸及びデオキシコール酸の排出が増加した。さらにパスタに難消化性澱粉素材である湿熱処理ハイアミロースコーンスターチを添加してヒトヘ投与した結果、胆汁酸排泄の増加とコール酸とケノデオキシコール酸の増加、デオキシコール酸とリトコール酸の減少を示し、食品成分によって胆汁酸排泄と7α-デヒドロキシル化を制御できることがわかった。
著者
山本 健 海野 剛裕 菅原 正義 合田 敏尚
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.475-482, 1999-12-31 (Released:2011-07-01)
参考文献数
21
被引用文献数
14 14

ニゲロースおよびニゲロシルマルトオリゴ糖含有シラップ(商品名:テイストオリゴ®)は,甘味の立ち上がりが緩慢で,芳醇な深み,こく味を有する優れた味質を有し,粘度,浸透圧,水分活性がショ糖に類似していた.吸・保湿性は,ショ糖より優れることから食品の調湿や乾燥防止に有効と考えられる.また,キャンディーテストにおいて,ショ糖と比較して直接還元糖の変化が少なく,pH変化がまったくないため,170℃ での構成糖の熱分解は少なく,テイストオリゴ®は安定性に優れていた. ラット小腸刷子縁膜によるα-グルコシド結合を有する二糖類の水解性は,その速度に差異はあるものの,α-グルコシド結合を有するすべての二糖類が水解されることが明らかとなった.とくにニゲロースは,マルトースの86%程度の水解性を有しており,比較的速やかに水解され,同様にニゲロシルマルトオリゴ糖の水解性は,マルトオリゴ糖とほぼ同じの値を示し,ショ糖の水解性とほぼ同様な数値であることが明らかとなった.またテイストオリゴ®の分解性は,ラット小腸刷子縁膜によりほぼ完全にグルコースにまで分解された.以上のことから,ニゲロースおよびニゲロシルマルトオリゴ糖のエネルギー値は,マルトオリゴ糖,ショ糖および乳糖と同様に4kcal/gであると考えられた. 以上の結果より,ニゲロースおよびニゲロシルマルトオリゴ糖含有シラップは,食品加工に幅広く利用可能な食品素材であることが示唆された.
著者
海野 剛裕 菅原 正義 中久喜 輝夫 岡田 嚴太郎
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.21-27, 1993 (Released:2010-06-28)
参考文献数
12
被引用文献数
4

β-グルコオリゴ糖のヒト腸内フローラに与える影響について検討した.β-グルコオリゴ糖は,微生物起源のβ-グルコシダーゼの糖転移・縮合反応を有効に利用して製造されたβ-グルコオリゴ糖を主成分とするシラップ(商品名:ゲントース)を用いた.In vitroでの腸内細菌による資化性試験においては,β-グルコオリゴ糖はBifidobacteria, Lactobacilliに選択的に資化された.また資化性試験に用いた4株のClostridium perfringensにはほとんど資化性は認められなかった. さらに,β-グルコオリゴ糖をヒトに投与し,腸内フローラの測定を行った結果では,49/日のβ-グルコオリゴ糖の投与によりBifidobacteriaの菌数が有意(p<0.05)に増加し,その占有率は21.5%にまで増加した.この期間の糞便のpHは投与前後に比較して約0.5pH単位の低下が認められた.また被験者の健康状態については異常なガスの発生および鼓脹感はみられず,約6割の被験者において便通および便の硬さの改善がみられた. 以上の結果からβ-グルコオリゴ糖は49/日の摂取量で有効なBifidobacteriaの増殖因子であること,便性改善効果がある新規な澱粉糖として利用できることが示唆された.
著者
竹内 政保 川村 三郎 菅原 正義 鈴木 陽子 蔀 花雄 尾形 ひろ美 太田 冨貴雄 綾野 雄幸
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.165-171, 1987-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

トウモロコシ外皮から調製したDF素材 (RCB) をラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間に及ぼす影響, ならびにRCBを添加したビスケットを女子大生 (221人) に摂食させ, 排便状況をアンケート調査により調べた。1) 飼料中に, RCBをNDF含量5%レベルで添加して成熟ラットに投与し, 食物残渣の腸内通過時間を測定した。糞が出終わるまでの時間は, DF無添加群50.8±1.2時間に比して, RCB群32.5±1.2時間と有意に短縮された。また, 糞の水分含量もDF無添加群40.6±1.6%に比べて, RCB群46.0±0.3%と有意に高い値を示した。RCBは比較として用いたWBとほとんど同じ結果を示した。2) 女子大生 (18~19歳) を被験者とし, 1日当たり5.5gのDFを強化したRCB添加ビスケットを2週間継続して摂食させ, 排便状況について調べた。その結果, 毎日排便のある人が37.6%から60.2%に増加した。被験者のうち, 便秘症とみなされる人は25.8%含まれていたが, 1週間のビスケットの摂取により, その59.6%の人に便秘改善効果が認められた。