著者
菊地 仁
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.9-17, 1996

古代末期から中世初頭にかけて、歌人がハレの場で時に失笑を買いつつも苦労しながら当座で名歌を即吟した、という説話が散見されるようになってくる。それらの和歌説話は、事実に基づくものであったにせよ、まったく事実無根のものであったにせよ、その即興的性格の強調だけは共通する。この種の説話は、構造的には神人問答譚というような話型と関わる一方、文学史的には「後悔」という歌病に対する再評価によって支えられている。
著者
田中 俊昭 関野 公彦 菊地 仁 梅澤 克之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.74, pp.201-208, 2003-07-17
参考文献数
4
被引用文献数
4

携帯端末を用いた決済サービス(モバイルコマース)の普及促進を目的として,利便性・安全性の高いサービスの実現が必要となる.この要求を満たすセキュリティ基盤技術として 公開鍵基盤(PKI:Public Key Infrastructure)が一つの有力な候補と考えられており,その利用が期待される.しかしながら,PKIに基づくモバイルコマースを実現するためには,モバイル特有の利用環境や具体的なサービスを想定し,その課題の明確化・検討を通じて,PKI技術の利用可能性を検証する必要がある.従って,本稿では,mITFモバイルコマース部会・認証WGで検討を行っているPKI技術に基づくモバイルコマースを実現する際の課題および、それらの課題に対する検討状況について報告する.Aiming at the penetration mobile commerce into mass market, its service are to be secure and usable. public key infrastructure (PKI) is considered as one of the promising technology for the provision of such secure mobile is further necessary to verify its applicability from the viewpoint of mobile environments and real payment models. Accordingly, this paper clarifies and discusses the issues when applying PKI to mobile commerce, those are mainly from the result of the study on Authentication WG, MC Committee of mITF.
著者
西澤 美仁 居駒 永幸 菊地 仁 木下 資一 小林 幸夫 錦 仁 浅見 和彦 花部 英雄
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成16年度から19年度まで、8月上旬または下旬に、和歌山(高野山及び熊野)・伊勢、香川(白峯及び善通寺)・静岡(小夜の中山及び専称寺)の実地調査を西行伝承研究会(第9回〜第12回)として開催した。その間、現地の研究者との交流を行い、口野西真定(高野山奥の院維那=当時)・樫山茂樹(南方熊楠記念館常務理事=当時、故人)・晝川楠茂(伊勢市立郷土博物館)岩井田尚正(伊勢御師)・岡田登(皇學館大学教授)・高橋弘(坂出郷土資料館)・中井博一(鎌刃越開拓)・片山友一(水茎の岡西行庵管理)ほか多くの方々から有益な御協力を得た。研究会の開催以外にも、和歌山県博物館で木村蒹葭堂『熊中奇観』を調査したほか、岡山県瀬戸内市長船で「西行腰掛石」の縁起を調査、山梨県南部町西行で西行の一族を伝承する遠藤家系図・西行像を調査、長野県山ノ内町で興隆寺の縁起に連なる『寺志』『萬松山興隆寺之賦』を調査するなど、全国各地の西行伝承調査を行った。中でも、日比・渋川から白峯への航路及び鎌刃越を経由する伝承ルートを直接体験することができたこと、『佐久郡三十三所縁起』との関連で、布引観音から善光寺に至る西行伝承が滋野一族のアイデンティティーを語るものとして真田信之の松代藩政に利用された可能性を見出したこと、『紀伊続風十記』『紀伊名所図会』に連なる紀伊国地誌の原点ともいうべき『紀路歌枕抄』校本を完成させ、西行伝承の形成を具体的に判明させつつあること、は大きな収穫と思われる。19年年末には名古屋大学阿部泰郎教授が主催する研究集会を共催して、シンポジウム・講演会ほかを行い、三次10年間に及ぶ「西行伝説の説話、伝承学的研究」及び12年間に及ぶ「西行伝承研究会」の締めくくりとした。