著者
尾石 和弥 村上 紀子 菊池 眞之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.16, pp.117-120, 2011-03-08

本研究では,描画活動である写生を行っている場合の視線について注視点計器を用いて調べた.モチーフは,柄の無い白色の紙コップ画像,柄付きの紙コップ画像,閉曲線図形画像の3通りで,いずれも3分間で描画を行い,その時の視線を計測した.実験の結果,若年者に比べ高齢者はサッケード距離が短い傾向があった.また,モチーフが複雑になるほど,美術訓練を受けていない人はモチーフを見る時間が長くなり,美術訓練を受けている若年者はモチーフを見る時間があまり長くならないことが明らかになった.
著者
奥 晋吾 菊池 眞之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.461, pp.19-21, 2011-02-28
参考文献数
6

2次元パターンの視覚認知において,輪郭の凹凸特徴のうち凸のほうが凹に比べ重視されていることが示されている.本研究では両眼立体視が行われる際に3次元的な凹凸特徴がどのように知覚されるかを,ランダムドットステレオグラムにより表現される凹凸のある面を刺激に用いた心理物理実験により調べた.各試行において凹凸刺激のうちの1か所の尖り具合に変化を与え,被験者はその変化を検出する課題を行う.凹/凸特徴の変化の検出率を比較したところ,凸特徴の検出率のほうが相対的に高いという結果になった.この結果は2次元のみならず両眼立体視でもヒトは凸特徴を重視した知覚を行うことを示唆する.
著者
掛川 茉祐 小宮山 諒 政倉 祐子 菊池 眞之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.46, pp.25-28, 2014-11-21

本研究では,音楽聴取時の前頭葉の脳活動を2ch NIRSを利用して得られた脳活動データの分析を行った.分析ではジャンル識別やSD法による感性評価との関連性について検討を行った.脳活動データに対してベースライン補正を施したうえで,ジャンル識別についての分析を行った.脳活動と感性評価それぞれを多次元空間中のデータと見なしたときの,任意の2曲間の各空間内での距離同士の相関を調べてみたところ,最も相関の高い被験者・ジャンルの組み合わせでも高々3.0%程度となった.また,2クラスのジャンルの楽曲を用いたジャンル識別においては比較的高い識別率も得られているが,ジャンルによっては識別できていないものもあった.これらの分析より,前頭葉脳活動から聴取楽曲のマクロな性質を見出せることが示唆されたが,客観的脳活動データと主観的感性データの対応を取るための尺度については今後さらに模索する必要がある.
著者
北野 智也 菊池 眞之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.17, pp.69-72, 2009-03-18
参考文献数
4

世の中にはさまざまなデザイン(図)があり,それらの知覚のしやすさは,ウェルトハイマーが提唱したゲシュタルト心理学(Wertheimer,1923)で定義されるゲシュタルト要因によって決定される.近接の要因と閉合の要因が複合した際については閉合の要因が強く働きやすいことがすでに研究されているが,近接・閉合の要因に類同の要因などを含む他の要因を複合させてその強弱を調べた先行研究は少なく,両眼立体視(左右眼網膜像のずれに基づく奥行知覚)のもとでゲシュタルト要因が複合する場合の知覚について調べた先行研究はない.本研究では,以下の2点について実験を行った.第1の実験では,前額平行面の水平・垂直方向や,奥行方向に関して知覚的な距離に差異があるか否かについて調べた.第2に残りを生じさせない要因を含ませない刺激を使用し,幾つかの要因の3次元的な側面について調べるべく,両眼視差による3次元刺激を用いて実験を行った.その結果,第1の実験よりX軸方向,Y軸方向,Z軸方向の知覚的距離はほぼ同一であることが導かれた,第2の実験より,閉合の要因に3次元的な凹凸を持たせるとグルーピング力が強くなることが示唆された.
著者
掛川 茉祐 小宮山 諒 政倉 祐子 菊池 眞之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.480, pp.233-238, 2013-03-13

本研究では脳活動データと感性評価結果から,音楽のジャンル識別を行う.脳活動の計測にはNIRSを用いて行い,感性評価の指標としてSD法を用いて実験を行った.これら2つのデータから既知の曲判別やジャンルによる感性評価と脳活動の関連性を見出すことを行った.結果として,既知の判別であれば平均88%で判別が可能であり,2ジャンル間での識別では平均66%で可能であった.感性評価の回帰に関しては,一部の感性評価において回帰が可能であることが示唆された.
著者
大嶋 詩緒利 菊池 眞之 荻谷 光晴
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.670-673, 2014 (Released:2015-04-01)

近年,インターネットの普及により,カラー画像を用いたデジタルコミックが多くなっている.しかしながら,色覚異常者を考慮してカラー配色をされていない.本研究では,色覚異常でも見やすいデジタルコミックについて,心理物理学的に検討する.具体的には,通常配色のデジタルコミックと色覚異常を考慮した配色のものを鑑賞している時の視線を比較することで,見やすい配色について検討を行う.
著者
森拓真 宇田隆哉 菊池眞之
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1518-1525, 2011-06-30

近年,ボットプログラムよるWEBサービスのアカウントが自動で大量取得され悪用されることが大きな問題となっている.これを防ぐ手法としてCAPTCHAを導入するのが一般的となっている.CAPTCHAとは,人間と機械を判別するための認証テストである.現在で最も多く利用されている方式は,文字列CAPTCHAであるが,OCR技術の進歩により高い確率で解析されてしまうことがわかっている.また,文字に歪みを加えて読みにくくしたCAPTCHAも提案されているが,ユーザより機械の正解率のほうが高いというジレンマを生み出している.これに対し,本稿では,人間の視覚補完能力であるアモーダル補完を動画に応用することで,人間のみ正解できる実用的なCAPTCHAを提案する.