- 著者
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萩原 知明
- 出版者
- 一般社団法人 日本食品工学会
- 雑誌
- 日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.1, pp.1-8, 2009-03-15 (Released:2015-06-27)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
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ガラス転移の食品科学・工学への応用について,研究事例を述べながら解説した.初めにガラス転移の応用についての概要を述べ,次にガラス転移と食品の諸性質との関連を調べた研究例の説明を行った.熱分析測定の結果,カツオ節は,ガラス状態を取りうることが確認され,また,ガラス状態とカツオ節の切削性には密接な関係があることが確かめられていることを述べた.凍結濃縮相をガラス状態にすることで,マグロ魚肉中の酵素反応,スクロース溶液中の氷結晶の再結晶化は劇的に進行が抑制された.この結果は,凍結濃縮相のガラス転移温度以下で顕著な品質安定性が得られることを示唆していることを説明した.種々の糖溶液に関して,凍結濃縮相の水の自己拡散係数と氷結晶の再結晶化速度との間には良好な正の相関関係あることを述べた.以上,ガラス転移現象に着目することで,食品の製造・貯蔵時にみられる現象や食品の諸性質の理解が進展する可能性を示した.