著者
葛山 泰央
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.12, pp.188-198, 1999

"Autobiographical acts" not only describe or narrate a particular individual's life but also embody the norms and values acceptable to their (imagined) readers' community. Considering their own sociability, they have to be understood, not as a retreat or withdrawal from the public sphere into privacy or secrecy, but as a prefigured invention of social relationships (i.e., bourgeois public sphere) which supposes dynamism rather than opposition between public and private life. This paper aims to examine the historical interplay between autobiographical acts and their sociability, through various forms of self-narratives (confessions, exemplary autobiographies, novels of development, intimate journals, epistolary writings, etc.) in eighteenth- and nineteenth-century France, through figures or representations of adolescence, as well as through double trust in the veracity of language and the authenticity of self under which conditions they invent intimacy.
著者
佐藤 健二 落合 恵美子 赤川 学 中筋 由紀子 葛山 泰央 野上 元
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度として、これまでの研究会活動を通じて浮かび上がってきた問題を整理すると同時に、資料の共有の方法の模索を通じて、あるいはデータベースの構築に関わる問題点の検討を通じて、明らかになってきた情報と問題について、それぞれの立場から研究を進めた。第一に、歴史社会学の理論と方法の問題の焦点が、広い意味での資料論およびデータ論の構築のしかたにあることがしだいに明らかになってきた。歴史学と社会学の深い断絶は、一方では歴史学における理論や方法論の枠組みに対する認識論の感度の低さに、他方では社会学における資料やデータのとらえ方のなかの現在中心主義的な狭さに由来する。その双方の乗り越えが、歴史社会学の理論と研究方法の課題であると自覚したうえで、もっとも戦略的な研究フィールドとして、「社会調査」が浮かびあがってきた。第二に、いくつかのパイロットスタディから、手がかりとなりうるものも現れてきている。研究代表者を中心に薦めてきた(1)調査票画像データベース構築の実験、(2)歴史的調査研究の二次分析の試み、(3)社会調査史の構成に関わる基礎的情報の洗い出しは、それぞれその第一段階の見通しがついた。本格的に展開するためには、新たな科学研究費プロジェクトが必要となるだろうが、部分的にわかってきたことからも、社会調査の歴史社会学が、歴史社会学の理論と研究方法の構築にもつ大きな意味はうかがえる。第三に、この研究プロジェクトの一つの柱であった研究会活動について、当初の目標として掲げられた歴史社会学のテクストブックは、まだ論点を浮かびあがらせた段階にとどまっているが、それぞれの立場からの理論と研究方法の検討は、固有のテーマやフィールドのなかで展開された。論集という形での成果の公開に向けての検討も進んだ。