- 著者
-
河野 透
葛西 眞一
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.102, no.4, pp.442-452, 2005 (Released:2005-06-06)
- 参考文献数
- 91
- 被引用文献数
-
1
炎症性腸疾患の現在の標準的外科治療の原型は四半世紀前にさかのぼる.潰瘍性大腸炎の標準的外科治療は大腸全摘,回腸パウチ肛門(管)吻合である.超音波メスの登場により肛門(管)吻合部の合併症が減少し,シンクロ法の開発により手術時間が短縮された.肛門管直腸粘膜を完全摘出し,肛門吻合するか,一部残した機械吻合がよいのかについては今後の検討課題である.手術適応としては社会的適応患者が増加している.他方,クローン病患者の手術適応に関してはできるだけ慎重にすべきで,術式に関しても腸管温存が主体で,狭窄形成術が推奨されている.クローン病による瘻孔に関してはインフリキシマブの出現で手術適応が変化する可能性があるが,今後の大規模な臨床試験が必要である.