著者
大原 佳世子 川西 秀則 伊藤 大 正岡 亮太 藤井 光子 福本 幸夫
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.99-104, 2000 (Released:2018-11-03)
参考文献数
10

広島県(農林水産部)が1994年から実施したツキノワグマ保護管理計画に基づいて捕獲された野生ニホンツキノワグマの, 薬物による不動化を実施した。不動化の方法は, 箱罠またはくくり罠で捕獲された個体に対して, 20%塩酸ケタミンと2%あるいは5%塩酸キシラジンの混合液を, 吹き矢, 麻酔銃または注射器によって筋肉内注射した。実施した26例のうち, オス12例, 雌3例の合計15例で, 初回の注射で不動化することができた。基準投与量は体重1kg当たりケタミン10mg, キシラジン1mgとし, 推定体重に基づいて投与量を計算し, 不動化後に実測した体重から体重1kg当たりの投与量を逆算した。実際の投与量は体重1kg当たり, 最低ケタミン6.25mg+キシラジン0.625mgから, 最高ケタミン20.00mg+キシラジン2.00mgで, 注射後3〜11分で不動化した。また, この不動化に要した注射液の注入量は, 最少が体重26kgの個体に対する1.75ml(20%ケタミン液+5%キシラジン注射液使用), 最多が体重75kgの個体に対する15ml(20%ケタミン液+2%キシラジン注射液使用)であった。不動化薬投与による副作用と思われる症状は, 1頭において軽度の全身性痙攣と唾液分泌昂進を認めたが, 無処置で覚醒した。
著者
山本 向三 飯塚 万利子 赤坂 江美子 馬渕 智生 梅澤 慶紀 太田 幸則 松山 孝 小澤 明 藤井 光子 川端 寛樹 渡邉 治雄 古屋 由美子 黒木 俊郎 谷 重和
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1161-1164, 2005-11-01

要約 62歳,女性.神奈川県宮ヶ瀬の山林にハイキング後,右膝に吸血したヒルに気付いた.その14日後より吸血部に紅斑と,同部の疼痛が出現し,38℃台の発熱も認め,さらに2日後には,吸血部を中心に環状に紅斑が拡大した.また,全身に発疹が出現し,頭痛,関節痛,全身倦怠感などの全身症状も伴っていた.セフェム系抗生剤点滴を行い,これらの症状は改善した.なお,Lyme病抗体価は陰性であった.皮膚症状としての環状紅斑,また全身症状を呈したヒル咬傷は稀と思われた.