著者
浅野 一朗 藤井 繁佳 尾崎 和人 竹原 功 矢野 夕幾 福原 育夫
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.133-141, 2005-06-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
17
被引用文献数
8 9

コーヒー飲料製造業において, コーヒー抽出粕は燃料や産業廃棄物として処理されている.コーヒー抽出粕にはβ-マンナンが多く含まれており, 著者らはコーヒー抽出粕の有効利用法として, 抽出粕に含まれるマンナンを加水分解して得られるマンノオリゴ糖 (MOS) の生理機能性について検討してきた.本研究では, MOSを含むコーヒー飲料の体脂肪に及ぼす影響について, 二重盲検ヒト試験で検討した.肥満 (1度) (25kg/m2≦BMI<30kg/m2) の成人30名を2群に分け, 一方には1日300mLの飲用でMOSを3gが摂取できる試験コーヒー飲料を.もう一方にはMOSをコーンシロップソリッドで置換したコントロールコーヒー飲料をそれぞれ12週間摂取させた.そして, 摂取開始時, 4週目, 8週目, 12週目に医師による診察, 採血尿, 理学検査, CT撮影を行った.試験飲料群は, コントロール飲料群に比べ臍部横断面全脂肪面積, 皮下脂肪面積, 内臓脂肪面積の有意な低下が観察された.これより, 本試験飲料 (MOS摂取量: 3g/日) の摂取により, 体脂肪を減少させることができると考えられた.
著者
浅野 一朗 中村 保幸 星野 宏充 青木 敬司 藤井 繁佳 井村 直人 飯野 久和
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.1077-1083, 2001-10-01
参考文献数
19
被引用文献数
10 29

コーヒー抽出粕の熱加水分解抽出物を脱塩,脱色して精製したマンノオリゴ糖混合物から,活性炭クロマトグラフィーによりβ-1, 4-D-マンノビオース, β-1, 4-D-マンノトリオース, β-1, 4-D-マンノテトラオース, β-1, 4-D-マンノペンタオースを単離精製した.これらのマンノオリゴ糖について,ヒト腸内フローラ構成菌種による資化性を調べた.重合度にかかわらずマンノオリゴ糖は, <i>Bifidobacterium adolescentis</i>と<i>Lactobacillus acidophilus, Lactobacillus gasseri</i>に利用された.一方腸内有害菌にはほとんど利用されなかった.その結果,マンノオリゴ糖にはヒト腸内フローラの改善作用をもっことが期待できると考えられた.