- 著者
-
藤井 香菜子
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 巻号頁・発行日
- pp.0914, 2017 (Released:2017-04-24)
【はじめに,目的】小児に関わる理学療法士の職域は拡大しており,当施設も職員配置基準に理学療法士(以下,PT)が含まれていないにも関わらず,昭和58年の開設間もなくからPTが携わっている施設である。当施設は,平成24年4月の児童福祉法の改正以前は肢体不自由児療護施設であり,主な入所者は常時医療を必要としない肢体不自由児であった。職員体制は,保育士などの直接処遇職員が23名,看護師が約2名/日,PTは1名である。嘱託医として整形外科医が1回/月来園している。旧肢体不自由児療護施設は,全国に6施設のみであり,その内PTの常勤配属は当施設のみである。診療報酬を算定していないこともあり,PTの業務内容は多岐にわたる。今回,当施設入所者の状況と,PTの業務内容を提示し,福祉型障害児入所施設におけるPTの役割や課題を明らかにすることを目的とした。【方法】平成28年9月における当施設入所者の内訳を,1)年代,2)就園・就学の状況,3)主たる疾患・障害,4)日常生活動作(Barthel Index)において分類した。PTの業務は,業務管理・評価シート(以下,Do-CAPシート)を用い,平成28年4月から9月までの主要業務とそのウエイトを出した。【結果】入所児童の年代は,幼児が9名,小学生が17名,中学生が11名,高校生が11名,18歳以上の方が2名であった。就園・就学の状況として,幼稚園に2名,地域の小学校特別支援学級に9名,地域の中学校特別支援学級に3名,一般高等学校に2名,県立養護学校に25名であった。主たる疾患・障害の状況として,50人定員中,脳室周囲白質軟化症を含めた脳性麻痺が12名,知的障害が7名,自閉症スペクトラム障害が5名,硬膜下血腫後遺症が4名,頭部外傷後遺症1名,SBS症候群1名などであった。日常生活動作としては,項目[歩行]では,15点が28名,10点が6名,5点が7名,0点が9名であった。PT業務として,①理学療法評価や機能訓練,②補装具関連業務,③入所児童の通院付添,④カンファレンスを含む現場職員との連携業務,⑤施設内デイケア,⑥食事や摂食関連,⑦嘱託医健診の対応,⑧学校教員との連携,⑨身体測定,⑩新入所児の対応が,順に25%,20%,20%,15%,7%,7%,3%,1%,1%,1%であった。【結論】入所児童の年代も疾患も多岐にわたり,就園・就学している数も多い。生活施設のPTの役割は,理学療法評価や機能訓練と殆ど同じ割合で,他の業務の割合が大きかった。これは,①や②の入所児童と個別に関わる業務だけではなく,生活の中で機能維持や向上を目指すために,他職種との連携に時間を費やしていたことを意味している。また,③のPTが通院に付添う割合が20%と多く,施設全体として医療知識の向上が課題だと示唆された。