3 0 0 0 OA 腎不全と運動

著者
上月 正博
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.371-379, 2006 (Released:2006-07-21)
参考文献数
34

The exercise capacity of the patients with renal dysfunction declines and this phenomenon is distinctly related to the extent of renal function deterioration. It is suggested that appropriate exercise training may improve the physical strength and the quality of life in patients with chronic renal failure(CRF)besides the improvement of glucose and lipid metabolism. However, it is required to consider the influence of exercise on renal function thoroughly, because acute exercise causes proteinuria and decreases renal blood flow and glomerular filtration rate. At present, there are few reports concerning the optimal intensity and duration of exercise training for patients with CRF. Moreover, there has been no definite conclusion as to whether or not chronic exercise training(EX)has any renal protective effect in animal models of CRF. Recently, the renal and peripheral effects of long-term moderate to intense exercise training in various rat models of CRF has been extensively reported. The effects of a combination of EX and rennin-angiotensin system inhibitors(ARI)on renal function were also assessed. The results indicated that moderate to intense EX and ARI can yield a renal protective effect in some models. They also suggested that the simultaneous treatment of moderate EX and ARI provided a greater renoprotective effect than treatment by ARI alone. Further investigations will be needed to examine the mechanism of the renal protective effect of EX. A better understanding of the mechanism may lead to improved exercise strategies and the establishment of a renal rehabilitation regime for CRF patients.
著者
上月 正博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.1296-1302, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
15

腎臓リハビリテーション(腎臓リハ)は,腎疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ,症状を調整し,生命予後を改善し,心理社会的および職業的な状況を改善することを目的として,運動療法,食事療法と水分管理,薬物療法,教育,精神・心理的サポートなどを行う,長期にわたる包括的なプログラムである.腎臓リハの中核的役割を担う運動療法は,透析患者の運動耐容能改善,protein energy wasting(PEW)改善,蛋白質異化抑制,QOL(quality fo life)改善などをもたらす.さらに,最近になって,保存期CKD(chronic kidney disease)患者が運動療法を行うことで腎機能(eGFR(estimated glomerular filtration rate))が改善するという報告が相次いでいる.腎臓リハにより,保存期CKD患者の腎機能改善や腎機能低下速度遅延が確実となれば,透析導入を先延ばしすることができ,多くのCKD患者にとって朗報となる可能性がある.2011年に日本腎臓リハビリテーション学会も設立され,CKD患者における腎臓リハのさらなる発展が期待される.
著者
上月 正博
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.245-251, 2018-11-05 (Released:2018-11-30)
参考文献数
23

わが国は,平均寿命,高齢化率,高齢化スピードの3点において世界一の超高齢社会である.超高齢社会では重複障害という新たな課題に直面している.その中でも呼吸器機能障害と心臓機能障害のような内部障害の重複や,呼吸器機能障害と脳卒中のような内部障害と肢体不自由の合併が多い.このことは,内部障害リハビリテーションがリハビリテーション関連職種の精通すべき基本領域になったことを意味している.重複障害時代のリハビリテーションを担うには,各臓器に特異的な問題とともに,脳・心・肺・骨関節などの臓器連関を考慮することが必要である.そのためには,呼吸リハビリテーション従事者は循環・腎・呼吸・代謝疾患の病態生理と障害,心電図,呼吸機能検査,血液ガスデータなどの基本的理解や心・腎・肺・脳・骨関節などの臓器連関の理解が必要である.
著者
本田 佳子 上月 正博 村勢 敏郎 佐藤 徳太郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.355-361, 2004-05-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
19
被引用文献数
2

糖尿病管理の問題点を明らかにすることを目的に, 糖尿病教育入院患者について, インスリン治療者および臨床データが不充分な患者を除いた, 男性360名 (年齢49±10歳) を対象に, 退院後の外来通院状況について追跡調査した. 24カ月の追跡期間中に通院を中断しその後1年以上にわたって通院していない通院中断例は1796, 追跡期間中に通院を中断しその後再び通院している中断後継続例は1896, 他院で治療を続けている継続通院例は2296, 継続通院例は4396であった, 通院中断者のHbAlc値は, 通院中断直前まで, 継続通院者に比して差はなくコントロールされていたが, 一旦中断した後はHbA1c値は有意に上昇していた. 通院中断の理由については, 転勤, 待ち時間が長い, 仕事が忙しくなった, 自覚症状がないので, 生活環境の変化, 医療側の対応の問題, 糖尿病療養への教育の問題等が混在していた.
著者
三浦 美佐 吉澤 亮 大和田 滋 平山 暁 伊藤 修 上月 正博 前波 輝彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.221-226, 2021-02-18 (Released:2021-04-14)
参考文献数
14

維持透析 (HD)患者は時間的制約,体調不良,易疲労性などにより不活動下に置かれ,合併症の増悪,サルコペニア・フレイルという悪循環に陥りやすい.本邦の多くの透析施設において,患者に軽負担で実施可能な電動エルゴメーターが採用されているが,その身体機能に与える影響を負荷量可変型エルゴメーターと比較検討した報告は少ない.そこで,本研究の目的を,外来透析患者に対する透析中の12週間の運動を,電動エルゴメーターと負荷量可変型エルゴメーターで比較検討することとした.週3回HDを行っている歩行可能な平均年齢71.5±1.6歳の患者15名を,負荷量可変型エルゴメーター (Tex)群8名と電動式エルゴメーター (Elex)群7名に振り分け,透析中の運動を各人の身体能力に応じ,週3回,12週間実施した.介入後にTex群のみが,下肢筋力,運動耐容能が有意に増加した.よって,運動様式により異なる影響があることが示唆された.
著者
上月 正博 椿原 彰夫 前田 真治 山口 昌夫 高岡 徹 永田 雅章 渡邉 修 田中 尚文 渡部 一郎
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.808-813, 2006-12-18

日本リハビリテーション医学会認定研修施設における心理関係業務の内容・臨床心理業務担当者の実態と望まれる資質に関するアンケート結果の報告と,それに基づく提言を行った.リハビリテーション(以下,リハ)診療において,臨床心理業務担当者のニーズは極めて高いことが確認された.対応疾患も脳血管障害,外傷性脳損傷,精神発達遅滞,自閉症のみならず,慢性疼痛,循環器・呼吸器疾患,骨・関節疾患,悪性腫瘍などにも及んでおり,臨床心理業務担当者がリハ関連医学(リハ概論,リハ医学など)をカリキュラムに組み込むことが必要であると考えられた.臨床心理業務担当者養成において診療現場のニーズにあったカリキュラムの導入と質の向上が,リハ診療の発展・質の向上のみならず,臨床心理業務担当者の国家資格の確立や心理関係業務に対する診療報酬のアップにもつながるものと期待される.

1 0 0 0 内科学

著者
前田眞治 上月正博 飯山準一執筆
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
2014
著者
伊藤 修 森 信芳 上月 正博
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

Wistar-Kyotoラット(WKY)と高血圧自然発症ラット(SHR)において、長期的な運動による大動脈のnitric oxide (NO)合成酵素(NOS)発現増強効果はNADPH oxidase依存性であり、腎のNOS発現増強効果はWKYではNADPH oxidase依存性、SHRではxanthine oxidase依存性であることを明らかにした。食塩感受性高血圧ラットにおいても、長期的な運動は腎保護作用を有することを明らかにし、その作用機序は 血圧とは独立したものであり、運動による酸化ストレスの軽減、NO産生系、腎アラキドン酸代謝の改善が関与している可能性が示唆された。