著者
藤原 英憲
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.29-37, 1982

近年, IgE によって mediate されるアレルギー反応の chemical mediator である histamine または bradykinin が, 標的細胞からの histamine の遊離を抑制するのみでなく, 遅延型アレルギー性反応または細胞性免疫応答の発来を阻止することが報告されてきた.今回, 私は IgE で mediate されるアレルギー性反応の chemical mediator (histamine, bradykinin, serotonin, acetylcholine) が, 抗原または mitogen (PHA, Con A, LPS) によって誘導されるリンパ球の活性化に及ぼす影響について検討した.その結果は次のとおりである. 1) 抗原で誘導されるリンパ球の活性化は, histamine (10^<-4>-10^<-5>M) または bradykinin (10^<-5>M) の処理によって有意に抑制された.また, serotonin の処理によっては軽度に抑制される傾向を示したにすぎず, また, acetylcholine の処理によっては何らの抑制作用も認められなかった. 2) mitogen (PHA, Con A) で誘導されるリンパ球の活性化は, 10^<-4>M serotonin の処理によって抑制されたが, acetylcholine によっては何らの抑制効果も認められなかった. 3) 抗原またはmitogen (Con A) によって誘導されるリンパ球の活性化に対する histamine または bradykinin の抑制効果は, H_1antagonist (dexchlorpheniramine) によって阻止されなかったが, H_2-antagonist (cimetidine) によってかなりよく阻止された.これらの結果は, histamine または bradykinin によるリンパ球の活性化の阻止は, リンパ球の H_2 receptor を介するものであろうことを示唆している.また, このことは, 即時型過敏反応はそれに引続いて起こる細胞性免疫反応に影響を及ぼすものであることを示す.
著者
森 欣司 藤原 英二 久保田 稔 呂 暁東 森山 甲一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、必要な情報サービスを得られるためには、状況に応じてユーザが動的に集まり協力して処理を行なう「コミュニティ」アーキテクチャを提案し、これに基づき、コミュニティ通信・処理技術を提案した。1. コミュニティメンバが個別に変化するサービス要求・機能・情報を持つ分散環境下において、機能不完全なサブシステムが存在する場合にもシステム全体の稼働を保証する自律分散システムコンセプトに基づき、各サブシステムがそれぞれの持つ機能・情報の部分的な共有を繰り返すことにより連携し、高信頼で柔軟な通信・処理を統一的に捉えるデータ指向型システムアーキテクチャを提案した。2. コミュニティ内のネットワークがサービスのレベルに応じて通信範囲を限定しながら自律交信する技術、とユーザが要求するサービスをネットワーク内にて逐次検索を行い、サービス提供者の応答の伝幡によってユーザ要求の拡散を抑制する技術を提案した。3. サービス提供者やユーザの分布等の状況を反映し、サービス情報が配布・共有されるコミュニティエリアを動的に構築する技術、コミュニティメンバのダウンなどの障害が起きたときに、所定の情報配布エリアに対して必要な情報を配布することができるノード間自律協調技術、とサービスの質とそのアシュアランス性を保証するため、各ノードが自律的に冗長ノードの確保と構造の再構築を行なうための自律負荷漸近調整技術を提案した。実際に自律分散コミュニティシステムプラットフォームを構築し、このプラットフォームによって、インターネットを介した研究協力者との共同実験を行い、提案技術の有効性を検証した。