- 著者
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高橋 有里
- 出版者
- 岩手県立大学看護学部
- 雑誌
- 岩手県立大学看護学部紀要 (ISSN:13449745)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.31-41, 2007
- 被引用文献数
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本研究の目的は,乳児の母親の育児ストレス状況とその関連要因を明らかにすることである.対象は,岩手の2村に住む乳児の母親199人である.6つの尺度,育児ストレス,対児感情,母性意識,夫との関係性のストレス,特性不安,そして特性怒りについて調査した.その結果,育児ストレスは,パーソナリティとしての不安になりやすさをベースに,夫との関係性のストレスや子どもへの否定的感情,母親役割の非受容感が影響していた.しかし,怒りやすさや子どもに対する肯定的感情は影響していなかった.乳児期の育児ストレスは怒りよりも不安や抑うつ感が主となっていると考えられた.また子どもに対して肯定的感情を持っていても育児ストレスが低いとは言えないことが明らかとなった.また出産直後からの人的支援は子どもの肯定的受容を促進すると考えられるが,それだけでは育児ストレス軽減には充分ではないことが分かった.また,生後6ヵ月頃からの子どもの発達の特徴は,母親の育児困難感を高める要因となり乳児期の育児ストレスに影響していると推測された.さらに,専業主婦や働いている母親よりも産休中・育休中の母親のほうが積極的・肯定的な母性意識が低く,逆に消極的・否定的な母性意識が高く,子どもに関連した育児ストレスが高いことが明らかとなり,産休・育休中の母親への支援が重要であると考えられた.