著者
山根 健治 河鰭 実之 藤重 宣昭
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.798-802, 1999-07-15
被引用文献数
5 18 24

フリーラジカル捕捉剤である安息香酸ナトリウムおよび没食子酸n-プロピル処理により, 切り離されたグラジオラス小花における花被のしおれの開始がわずかに遅れた.花被のスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)活性は花被の完全展開後2日間で著しく低下し, その後, 花被のしおれが開始した.300μMシクロヘキシミド(CHI)処理により花被のSOD活性の低下は緩和され, しおれは抑制された.花被のしおれが開始したとき, カタラーゼ(CAT)の比活性はほぼ一定であり, 花被当たりのCAT活性は低下した.CHI処理によってCAT活性はわずかに低下した.花被のペルオキシダーゼ(POD)活性は完全展開1日後から著しく上昇した.この上昇はCHI処理によりほぼ完全に抑制された.これらの結果から, フリーラジカル, SOD活性の低下およびPOD活性の上昇はグラジオラス花被の老化過程に関与することが示唆された.
著者
ピパタナウオン ナロンチャイ 藤重 宣昭 山根 健治 居城 幸夫 尾形 亮輔
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.101-105, 1996-09-01
参考文献数
23

中性イチゴは生育期を通して連続的に開花するため, ランナー生産性は低い.中性イチゴのランナー生産を改善することを目的として, GA_3,BAおよびGA_3+BA葉面散布処理並びに施肥量が3つの品種('サマーベリー', 'みよし'および'円雷')のランナー生産, 開花および生長パラメータに及ぼす影響について検討した.50ppmGA_3,50ppmBAおよび50ppmGA_3+50ppmBA処理によって'みよし'のランナー生産が2から3倍に有意に促進された.GA_3およびGA_3+BA処理により'円雷'および'サマーベリー'のランナー生産がそれぞれ約8および4倍に増加した.葉柄長は'みよし'と'円雷'ではGA_3処理により, 'サマーベリー'ではすべての散布処理により増加した.葉数は'みよし'においてはGA_3処理, 'サマーベリー'ではBA処理により増加した.花序数と葉面積はすべての散布処理によって増加しなかった.2週間ごとの1植物体当たり100mgのCDU化成(NPK(15-15-15))施用は50mgの施用よりも3品種の花序生産, 生長パラメータおよび植物体重を増加させた.また, '円雷'のランナー生産を有意に促進した.生長調節物質処理と施肥量によってランナー生産を改善しうるが, 品種によって反応の異なることが示唆された.これらの結果は熱帯におけるイチゴの栄養繁殖の問題に対しても示唆を与えると考えられる.
著者
藤重 宣昭
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

根菜類を円筒形のロックウールを用いて養液栽培を行うと、円筒空間に貯蔵根を形成する。この方法を用いて根菜の養液栽培を確立するため、ゴボウを用いて検討した。まず給液法を検討した。間断給液では地上部の生育は良好であったが、地上部に比べて根部の肥大が劣り、さらに岐根の発生が多かった。連続給液では岐根の発生が著しく減じた。根菜の水耕での給液法は連続給液に近い方法が望ましいと考えられた。円筒形ロックウール内の夏期の高温下での温度経過を測定した。90cm高の円筒において、1/2高の円筒空間の温度は底面の温度に比べて、高温で経過したのは6〜10時の間であり、最大で+1℃であった。それ以外の時間は低温で経過し、その差の最大は-5℃に達した。すなわち、円筒空間は昼は涼しく、夜は暖かくなり、他の部位に比べて温度較差が小であった。貯蔵根の直接観察をファイバースコープを用いて試みた。ゴボウでは主根の肥大が他の根菜に比べてそれほど大きくない上に、細根が主根に絡んで主根の正確な計測が困難であった。主根の肥大が著しい他の根菜を用いて、引続き検討する予定である。